マンションの買手が無事にみつかり、売買契約書を取り交わしていざ引き渡しというときに、「こんなはずではなかった」と後悔するような事態が起こることがあります。でも、ご心配なく!引き渡し前にきちんと準備や確認をしておけば、そうしたトラブルは事前に避けることができます。
では、いったいどんな点に気を付けたら良いのでしょうか?マンション引き渡し時に、売主が「これだけは気を付けたい」という3つの注意点をご紹介しましょう。
マンション引き渡し前の室内チェックを、買主・不動産業者の立会いのもとでしっかり行うこと
瑕疵担保責任に問われないよう、綿密な現地確認を行う
中古マンションの場合、物件を引き渡した後に「給湯器が壊れた」「床がきしむ」などの欠陥が発覚し、買主とトラブルになるケースが少なくありません。
売主には「瑕疵担保責任」といって、マンションの引渡し後に買主が知らない欠陥が見つかったときに、一定期間内は売主が責任を負わなければならないというルールがあるのです。そのため、もしも買主から不具合のクレームが入った場合は、売主は売却後であっても修理・交換をしなければなりません。
そのようなことにならないためには、引渡し前に売主・買主・不動産業者の3者で現地確認をするときに、室内をしっかりと漏れなく確認しておくことが大切です。たとえ売却後に不具合があっても、現地確認のときに買主が了承していれば、売主に責任はありません。
給湯器やインターフォン・食器洗浄機・24時間換気システムといった付帯設備の不具合はないか、ベランダや廊下・エントランスなどの外構はどうか、ドアやサッシの開閉は問題ないか、漏水がないかなども確認する必要があります。
生活に支障をきたすような事実があれば、引き渡し前に必ず告知を
また、「眺望がいいと思ってマンションを買ったのに、隣に大きなマンションが建つなんて聞いていなかった」「隣の子どもの声がやたらうるさい」「近くの工場の有機溶剤の臭いに耐えられない」といったクレームも、引き渡し後に発生する可能性があります。
告知義務違反に該当するような情報や、買主が暮らし始めたときに生活に支障をきたすような情報は、事前に伝えずに引き渡してしまうとトラブルの原因になります。どこまで告知すべきかは不動産業者にも相談するとして、引き渡し後に買主とトラブルにならないよう、告知すべきものは必ず買主に伝えることが大切です。
マンション引き渡し日までに間違いなく引っ越せるよう、万全の準備をすること
引き渡しの遅延は、基本的に許されない
売主の中には、引き渡し日までに引越しができずに、買主を困らせてしまうケースがあります。「新築住宅の完成が延びてしまった」「家族が病気になってしまった」「ハウスクリーニングを頼み忘れた」など、理由はさまざまですが、そのような事態は契約上許されるものではありません。
売主の買い替え先が見つからずに、取りあえず仮住まいをする場合でも、予定していた入居日に賃貸住宅の入居者が退去せずに引越しが延びてしまうこともあります。これもまた、売主の一方的な事情ですので許されざる事態です。
そのようなことにならないよう、引越し先とのコンタクトは綿密にとり、引越し業者の手配も万全に行いましょう。
万が一引き渡し日が遅れてしまった場合は、どうしたらいい?
万全の準備をしても、なおかつ何らかの事情で引き渡し日が遅れてしまう場合は、いったいどうしたら良いのでしょうか?不動産業者を通して買主に引き渡しの猶予を求める方法もありますが、買主が認めない場合は、契約不履行を理由に契約を解除されてしまう可能性もあります。
まずは不動産業者に相談し、引き渡しの遅れが数日で済む場合は、遅れによって買主にかかる費用を補償することで解決する場合もあります。どうしても引き渡しの猶予が不可能な場合は、荷物をいったんトランクルームに異動して家族はウィークリーマンションに住むなど、何らかの方法をとるしかないでしょう。
マンション引き渡し当日の書類やお金の手配を、抜かりなく行うこと
マンションの住宅ローンが残っている場合は、十分に注意が必要
マンションの引き渡しは、一般的に取引先の銀行で行われます。当日は売主・買主のほかに司法書士・不動産業者が同席し、売主は買主から売却代金の残金(すでに受け取った手付金を差し引いた金額)を受け取り、住宅ローンの残金がある場合はそれでローンを完済して、抵当権を抹消します。この抵当権が抹消されないと、所有権の移転手続きを行うことはできません。
売主の中には、マンションの売却代金だけでは住宅ローンの完済ができずに、残金を現金で清算する人もいます。その際は、当日になって「お金が足りない」などという事態になると、引き渡しが成立しなくなってしまうので、くれぐれも注意しましょう。
税金や諸経費の精算、細かい用事などもある引き渡し日
また、引き渡し当日は残債の支払いだけでなく、固定資産税や都市計画税・管理費・修繕積立金などの諸経費の清算も行われます。管理規約や付帯設備の保証書・取扱説明書などを買主に渡すなど、細かい用事もいろいろとあります。
あまりにいろいろあって忘れてしまいそうな場合には、事前にやるべきことをメモしておくのが、賢明な方法です。
引き渡し当日は実印と鍵を忘れず、注意深く書類の記入を
無事に売却代金の引渡しと住宅ローンの完済・抵当権の抹消が終わったら、いよいよ売主から買主へ、所有権移転登記の手続きを行います。引き渡し日に司法書士立ち会いのもとで書類を記入するので、ほぼ問題ないとは思いますが、間違っても「実印を持ってくるのを忘れた!」などということのないよう気を付けましょう。
すべての手続きが滞りなく行われた時点で、売主は買主にマンションの鍵を渡し、引き渡し完了となります。
引越しは「無料引越し一括見積り」を利用してスムーズに
不動産業者を選ぶときには「無料マンション一括査定」を利用するのが便利ですが、引越しのときもまた、「無料引越し一括見積り」を利用するとスムーズに決めることができます。
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その点、一括見積りに出すとその場で業者間の見積り比較ができるので、よりお安くスムーズに引越し料金を決めることができます。
マンション引き渡し時の注意点に関するまとめ
マンションの引き渡しは、マンション売却のまさにラストスパート!不動産会社と媒介契約を結び、何とかがんばって買手がみつかり、ついホッとして気が緩みがちです。しかしマンションの引き渡し作業には、住宅ローンの清算や抵当権抹消、所有権移転手続きなど、マンション売却にとって最も大事な作業がギッシリと詰まっています。
最後まで気を緩めることなく、グッと心を引き締めて、マンション売却の一連の作業を無事クリアしましょう!