「中古マンションは、いったいいつが売り時?」 不動産市況を踏まえたマンション売却のタイミング

「中古マンションは、いったいいつが売り時?」 不動産市況を踏まえたマンション売却のタイミング

「中古マンションは、いったいいつが売り時?」、これはマンションに住んでいる人なら誰もが頭を悩ませる、重要なテーマです。マンションはいずれ老朽化するので、住み潰すか賃貸に出す覚悟がなければ、誰もがどこかで売却しなければなりません。

そこで、中古マンションはいったいいつが売り時なのか、“築年数”や“不動産市況”を踏まえてお話ししたいと思います。

「築年数」から見た、中古マンションの売り時

中古マンション売却の最初の大波は、“築10年”

新築時に10%下落し、1年経つごとにさらに1~2%ほど下落する中古マンション価格

マンションは、新築で購入した時点で10%下落し、1年経つごとにさらに1~2%ほど下落していきます。そうなるとマンションの売却は早ければ早いほどいいということになりますが、せっかく新築を購入したのですから、最初の7~8年間はよほどのことがない限り売却は考えないでしょう。

そこで中古マンション売却のひとつの大きな節目となるのが、“築10年”です。なぜなら、中古マンションの購入希望者の実に半数近くが、築10年以内を希望しているからです。

築10年で中古マンションを売却すると、新築時の6~8割の価格になる

たとえば築10年で中古マンションを売却するとなると、物件の資産価値によって6~8割の売却額になると言われています。

諸経費や減価償却を考えずに単純計算をすると、新築時に3,500万円でマンションを購入した場合、築10年で7割の金額で売却すると、売却額は2,450万円。差額は1,050万円なので、それを10年居住した月数で割ると、1ヶ月87,500円で住んだという計算になります。

同様のマンションに賃貸で住むとなると、分譲賃貸の築浅物件なので11~13万円ほどはするでしょう。そう考えると、築10年で売却しても損はないという見方はできます。

これがもし築11年以上になってしまうと、築10年以内の枠から外れてしまうために、購入希望者が激減します。そう考えると、売りやすさという観点から“中古マンションの売り時は築10年以内”ということができます。

“築15年”で中古マンションを売却するのも、選択肢のひとつ

築10年ではまだ子育て中のため、家族が引っ越しを望まない場合も多い

中古マンションをできるだけ早く高く売却するには、家族の事情を一切考慮しなければ、築10年以内に売却するのが理想的といえます。

しかし、新築マンションの購入者の多くは子育て中のファミリーのため、築10年では子どもが中学生や高校生というケースも少なくありません。学区内の一戸建てに買い替えるなどの経緯があれば別ですが、それ以外は「まだ引っ越したくない」とご家族が思っている場合も多いことでしょう。

築15年以内に中古マンションを売却するのも、ひとつの考え方

家族が築10年以内に中古マンションを売却することを望まない場合には、あと5年間延ばして築15年以内を無理のない売り時と考えることもできます。

築15年ともなると、新築入居時に未就学児だった子どもも大学生になり、自立して家を出ている場合もあるでしょう。その時点で所有者も「このマンションに長く住むことができた」という満足感が生まれ、「そろそろ売り時かもしれない」と自然に考えられるようになります。

築15年以内に中古マンションの売却を勧める大きな理由は、“管理費の増額”

中古マンションの多くは、築15年を過ぎた頃から管理費や修繕積立金の増額をし始めます。それも1,000円単位の増額ではなく、今まで20,000円だった管理費・修繕積立金の総額が35,000円になるといったような、家計に大きく響く増額です。

増額というよりは、もともと必要だった管理費や修繕積立金の金額に修正されるといった方が、正確かもしれません。いかにデベロッパーが低い金額を設定していたか、入居者は住んでみてはじめて気づかされるのです。

中古マンションの売り時を考えるなら、管理費や修繕積立金の大幅な増額が実行される前に中古マンションを売却するのが、極めて賢い選択といえます。

築10年以内に比べて売却価格は下がるが、購入希望者がいないわけではない

ではマンション自体の価値はどうかというと、さすがに中古マンションも築15年になるとだいぶ売却価格は下がり(新築時の5~6割ほど)、購入希望者も減ります。それでも「築15年以内ならまださほど古くないから、選択肢に入れよう」という購入希望者はいるという現状です。

つまり、築10年以内のようにすんなり売却するのは難しいけれど、売れない訳ではないという状況です。さらに、築11年から15年の間に室内のリフォームを行う人は多いので、ガスコンロや給湯器などを交換するタイミングで売却すれば、一度もリフォームをせずにマンションに住み続けられたということになります。

築15年以内なら、中古マンションの購入希望者が少なからずいること。管理費・修繕積立金の増額前であること。そしてリフォーム前に退去できること。こうしたもろもろの要素を考えると、中古マンションの“売り時”は築15年ということもできるでしょう。

築15年の中古マンション売却には、築10年にはないデメリットもある

購入希望者が最長35年の住宅ローンを組めない場合がある

築15年以内が中古マンションの売り時というお話をしましたが、築15年の中古マンション売却には、築10年にはないデメリットがいくつかあります。たとえば住宅ローンを組む場合、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数が47年のため、借り入れできる年数は47-15=32年となります。

住宅ローンを組む人の多くが最長の35年を希望するのですが、それよりも3年ほど短くなってしまうため、月々の支払額が多いのを嫌がる人もいます(資産価値の高い中古マンションの中には、築15年でも35年ローンを組めるケースがあるので、不動産会社に問い合わせてみましょう)。

大規模修繕の問題がネックになることも

また、中古マンションは築10年を超えると、大規模修繕の問題が現実になってきます。大規模修繕は12年に一度ほど行うのが一般的です。修繕費用がマンション内で順調にまかなえていれば問題ありませんが、いまその資金が大幅に足りずに、問題になっている管理組合が少なくありません。

その原因は、マンションの新築当初に販売会社が少しでも購入意欲を高めるために、管理費や修繕積立金を安めに設定していたことが大きくのしかかっています。さらに工事費の相場がアップしたことや、消費税増税の問題も修繕コストに影響しています。こうした問題が噴出するのが、まさに築11年~15年。その頃に売却するとなると、当然ながら修繕費用のことは買主も大いに注目するでしょう。

そこで「修繕費のことで揉めている」というような事実があると、売りづらさは否めません。こうした点を考えると、「やっぱり築10年以内が中古マンションの売り時」と言いたいところですが、住まいは物品のように思い通りに動かせないのが難しいところです。

“築20年”を過ぎたら、焦らずにじっくりと中古マンションの売却を考える

中古マンション価格の下落が緩やかになるので、じっくり考えて決断を

中古マンションを売却しそびれて築20年以上になった場合は、今まで急カーブだった中古マンションの価格下落も緩やかになるので、焦って売却する必要はありません。今後どうするかは、家族でじっくり話し合いながら、納得できる選択を下すと良いでしょう。“売らずに住み潰す”とう方法も、あるかもしれません。

ただし、ひとつだけ気を付けたいのが「住宅ローン控除」のことです。中古マンションが築25年を超えると、住宅ローン控除を受けられなくなるので、買手にとってのメリットが少なくなります。中古マンションを売却したいという意思があるのなら、築25年以内の方が売りやすさはあると言えます。

人生のひと区切りという点では、売り時ともいえる築20年

新築時から20年以上も経つと、家族構成も変わる人がほとんどなので、「この辺でひと区切り」という意味では売り時といえるかもしれません。子どもたちも独立し、中古のファミリー向けマンションを売却して夫婦二人で住む場所を他に見つけるか、生まれ育った故郷に帰るという人もいるでしょう。

築20年と築30年では、資産価値がかなり違う

「築20年を超えたらどうせ築古物件だし、いっそのこと築30年を過ぎて売却してもいいのでは?」と思う人もいますが、それは違います。中古マンションは築30年を過ぎると、さすがに老朽化が目立ち始めます。資産価値もグッと落ち、中には“都会の限界集落”と呼ばれるようなゴーストマンションも出現し始めます。

「マンションが売却できなければ終の棲家にすればいい」と安易に考えていると、いつの間にか半分以上の部屋が空室になってしまい、中古マンションの管理機能がマヒするというような事態も、まったくないとはいえません。

その点、築30年の声を聞く前に売却すれば、「あと20年ぐらい住めればいい」というシルバー層の需要も見込めるでしょう。築20年が売り時というよりは、築30年前に何とか売っておいた方が、売却できなくなる不安からは逃れることができます。

“築30年”を超えた中古マンションは、売却するか、終の棲家にするかの二者択一

築30年で中古マンションの価格は下げ止まるが、設備の古さは大きなネックになる

中古マンションも築30年を過ぎると、いよいよ高齢期に突入します。さすがに売りにくくなってはきますが、「ここまで住めたのだから満足」という気持ちもあるでしょう。そういう意味では、売り時と言えなくもありません。

しかし、築30年以上の中古マンションを売却しようとした場合は、設備の古さが大きなネックになることは覚悟しておきましょう。30年経てば、建築の技術は様変わりします。現に1981年の新耐震基準制定前の中古マンションは、耐震性の問題からかなり安い金額で売却されています。

築30年以上の中古マンションを持ち続けるリスクも、考慮すること

また、築30年以上の中古マンションを持ち続けることが、大きなリスクを伴うことも覚悟しておく必要があります。一番心配なのが、中古マンションのスラム化です。実際に築40年近くになって住民が次々といなくなり、管理不能になって荒れてしまうマンションが、いま徐々に増えつつあります。

昭和の高度成長期に大量供給されたマンションのスラム化問題は、今後も大きな社会問題となるでしょう。管理費を払わない無責任な住民が増え、マンションは傷んでいくばかり。しかし所有者である以上は、修繕積立金や管理費を払い続けなければならず、頭を抱えている人は少なくありません。

建て替えの案が出ている中古マンションなら、住み続けた方がいい場合もある

けっして多い例ではありませんが、築30年以上の中古マンションの中には、建て替えに向けて計画を練っているマンションもあります。建物を取り壊して今までより世帯数の多いマンションを建て、それを分譲することで建築費用をまかなうといった計画です。このような前向きな案が出ている中古マンションなら、むしろ売り時を考えるよりも住み続ける方が、お得な選択といえるでしょう。

築30年以上の中古マンションを所有している人は、今の中古マンションが今後も住み続けられる可能性の高いマンションなのかどうかをしっかりチェックし、無理と判断した場合は早期売却を考えた方が賢明です。

結局のところ、中古マンションの“売り時”はいつなのか?

中古マンションの売り時は“築10年以内”または“築15年以内”

では、結局のところ中古マンションの売り時はいつなのかということですが、築年数だけを見た場合の中古マンションの売り時は、やはりベストは築10年以内、その次が築15年以内となるでしょう。

ただし、ブランド力のある中古マンションや好立地の中古マンションであれば、築20年以上経ってもいい値で売れるケースもあります。その辺は不動産会社に問い合わせて相談するなど、住んでいる中古マンションの資産価値をしっかりと見極めることが大切です。

「不動産市況」から見た、中古マンションの売り時

気になるオリンピック景気、五輪開催後の価格下落に注意!

昭和のバブル崩壊では、都心のマンションが半値近くに下がったこともある

中古マンションの売却は、築年数だけでなく、不動産市況にも大きく影響されます。たとえば一番大きな影響を与えたのが、1980年代後半から90年代にかけて起こった、昭和のバブル崩壊です。東京都内の3DKのマンションが、バブルの絶頂期には6,000万円で売却されていたにもかかわらず、バブル崩壊後は一気に価格が下落。わずか数年間で3,000万円代にまで下がってしまったこともあります。

このバブル崩壊は極端な例ですが、2020年の東京オリンピックに向けて、平成のバブル現象も問題視されています。オリンピック開催年までは価格が緩やかに上昇し、開催後は中古マンション価格が大きく下落するのではないかという予測もあります。このタイミングは、もしかしたら“築何年”というタイミングよりも重視すべき事柄かもしれません。

不動産市況の価格変動は、築年数のようにわかりやすい変動ではない

ただし、この不動産市況による中古マンション価格の変動は、築年数のようにわかりやすい変動ではありません。「オリンピックまでは中古マンション価格が上がる」と言われていても、実際には途中から下落が始まることもあれば、五輪開催後に価格が下がらない可能性もあります。

中古マンションの売り時に関しては、こうした不動産市況の読みの難しさがあり、ある意味マンションの売買はバクチと同じようなものなのかもしれません。

市場価格の変動は、中古マンションの売り時に大きく影響する

市場価格が1%動いただけで、数十万円単位の中古マンション価格が変動

こうしたオリンピックのような特別な節目がなくても、中古マンションの売り時は市場価格に大きく影響されます。マンションの売却価格は非常に高額のため、たかだか1%市場価格が下落しただけでも、3,000万円の中古マンションなら30万円の価格差になるからです。逆に市場価格が1%上がれば、30万円の価格が上乗せされるわけです。

たとえば四半期ごとに市場価格が1%下落したとしたら、1年で4%の下落となります。3,000万円のマンションであれば、わずか1年間で実に120万円の価格差ができることになり、中古マンションの売却にとって市場価格がいかに影響するかを思い知らされます。

平成のバブルが昭和のバブルと異なる点は、“人口減少”

昭和のバブル崩壊の頃は、中古マンション価格が下落しても人口は増加していたので、まだ上向きになることへの期待が持てました。しかし、平成のバブルには“人口減少”という、非常に厳しい現実があります。

人口が減り、中古マンションの売却が加速されてくると、マンション価格がどうなるのかは非常に気になるところです。いま中古マンションの売却を検討中の人も、しばらくは売却しない方向で考えている人も、市場価格の変動には常に注意を払っておく必要があるでしょう。

中古マンションの売り時に関するまとめ

中古マンションの売り時について、築年数と不動産市況からみた一般論をお話しましたが、実際は中古マンションの売り時というのは物件ごとにかなり違います。都内の交通至便な立地にあるマンションの中には、築40年近い築古物件ながら、抜群の管理体制から高額で売却されている物件もあります。

逆に築浅のピカピカのマンションでも、印象が悪いためになかなか売却できないマンションもあります。築15年で売ろうと思っていたら、自殺や交通事故などで思いがけず事故物件になってしまい、「もっと早く売っておけば良かった」と後悔する場合もあるでしょう。

そうしたイレギュラーのパターンも数多くあることを踏まえつつ、自分自身で物件の資産価値をしっかりと見極め、不動産のプロに相談しながらベストの売り時を判断することが大切です。