近年は新築よりも中古物件に焦点を絞って、マイホーム購入を検討している人が多くなってきました。
これは中古物件は新築よりも安いため、想定予算では購入できないマイホームが購入できるなどのメリットが大きく影響しています。
ですが、価格だけにとらわれていては購入後に後悔する羽目にもなりかねないので、今回は中古一戸建てを購入する時の流れとともに注意点について徹底解説していきます。購入の際は参考にしてください。
中古一戸建てを購入する際はまずメリット・デメリットを知ろう!
中古一戸建てを購入する際は、まずそのメリット・デメリットをしっかり理解しておく必要があります。
理解せずに安易に手を出してしまうと、購入後に後悔することが出てくるからです。
しかし、そもそも中古一戸建てとはどのような状態の物件を指すのかというと、不動産業界では一般的に下記のように狭義されています。
- 築年数2年以上の物件
- 築年数に関係なく、誰かが入居したことがある物件
一方で新築物件は品確法という法律によって、下記の通り提議されています。
- 工事竣工日から1年未満の物件
- 誰も入居したことがない物件
また中古物件と混同しそうなものに新古物件と呼ばれるものもあります。
これは新築物件にも中古物件にも当てはまらない物件で、下記条件に該当するものです。
- 築年数1年以上で2年未満の物件
- 誰も入居したことがない物件
中古物件として販売されていた時期もありましたが、中古という響きが販売価格に影響することを避けるため、今では新古物件という俗称が用いられるようになっています。
それでは中古一戸建ての定義を理解してもらったところで、そのメリット・デメリットを見ていくことにしましょう。
中古一戸建てのメリット
まずは気になるメリットからです。
中古一戸建てのメリットには、下記のものが挙げられます。
- 新築よりもリーズナブル
- 好条件の物件が見つけやすい
- 物件をチャンと目にして購入できる
- 売出物件の増加で購入しやすくなる
それではこれら各メリット内容を、順を追って見ていくことにしましょう。
新築よりもリーズナブル
中古一戸建てを購入した人が理由として最も多く挙げたのは、下記の通り「予算的に見て中古住宅が手ごろだったから」という理由です。
順位 | 購入理由 | 回答割合 |
1位 | 予算的に見て中古住宅が手ごろだったから | 66.6% |
2位 | 新築住宅にこだわらなかったから | 40.0% |
3位 | リフォームで快適に住めると思ったから | 29.3% |
4位 | 間取りや設備、広さが気に入ったから | 25.5% |
5位 | 外装、内装、水回り等がリフォームされてきれいだったから | 15.2% |
6位 | 住みたい地域に新築物件がなかったから | 14.8% |
*参照先平成30年度住宅市場動向調査 ~調査結果・国土交通省
事実、一戸建て住宅はマンションと比較して経年による市場価格の下落幅が下記のように大きいため、築5年の物件でも新築住宅の3割引きで購入できることになります。
築年数が5年なら新築一戸建てとそんなに変わらないじゃないかと思った人も多いのではないでしょうか。
さらに築年数10年ともなれば市場価格は45%くらいにまで落するのですから、このリーズナブルさは見逃せない大きなメリットです。
となれば希望条件に合った中古物件が見つかりさえすれば、中古物件でも満足度の高い買い物になるケースは多くなってくるでしょう。
好条件の物件が見つけやすい
マイホーム購入で大抵の人がいの一番に条件として挙げるのが、立地条件と間取りです。
立地条件として挙げられるのは下記の4つです。
- 通勤・通学の便がいい
- 近隣に公共施設や商業施設がある
- 近隣に災害の痕跡がない
- 治安や防犯性が高い
しかし、このような立地条件がいいところは地価が高くなるため、自分が望む条件に合った土地を購入できるとは限りません。建売の分譲住宅にしても同じです。
ですが、中古一戸建てならこれら条件に合った物件が予算内で、売り出されている可能性も出てきます。
先ほどの購入理由で「住みたい地域に新築物件がなかったから」という理由が第6位でしたが、この理由は裏を返せば住みたい地域で、中古一戸建ては見つかったということです。
また、中古一戸建てなら購入価格が抑えられるため、新築戸建よりも広い戸建を購入できる点も見逃せません。
新築戸建てよりも建物面積が大きい物件を購入できるため、家族の希望に沿う工夫された間取りの物件を、購入できるチャンスが広がります。
事実、先ほどの購入理由でも「間取りや設備、広さが気に入ったから」という理由は第4位ですから、見つけられた人が多かったという証です。
予算に合わなかったから諦めた間取りの家を、中古ならリーズナブルに購入できる可能性が高くなるのは間違いなく大きなメリットでしょう。
物件をしっかり目でみて購入できる
建売の分譲一戸建て住宅なら話は別ですが、家族の希望を盛り込んだ注文一戸建て住宅を購入する際は、実際に竣工するまで実物を確認することはできません。
でき上った家を見て、イメージと違っていたと感じることも少なくないようです。せっかく大金をはたいて購入したマイホームが、それでは、さぞいたたまれない思いをすることになるでしょう。
しかし、中古一戸建てなら実際の建物を見ることができるため、イメージと違ったと後悔することもありません。
実際に建っている家でしか実際の風通しや日当たりは分かりません。実際に暮らしてみて、風通しや日当たりが悪かったと後悔することも多いのです。
これも中古戸建てならちゃんと確認することができるので、購入してから後悔する要素を大きく減らせるのは、大きなメリットになってくるでしょう。
売出物件の増加で購入しやすくなる
近年は社会問題化した空き家対策として、2015年に「空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」という新しい法律が施行されました。
この法律では自治体による確認で空家と認定された場合、固定資産税が最大6倍以上に加税されるため、空家を所持する多くの所有者が手放すようになっています。
そのため売出物件が多くなることで希望条件に合った中古一戸建てを見つけやすく、購入しやすい市場が形成されているのです。
中古一戸建てのデメリット
次はメリットよりもよく理解しておいて欲しいデメリットです。
このデメリットを了解した上でなければ、中古一戸建ての購入に失敗してしまうことになるでしょう。
中古一戸建て住宅のデメリットには下記のものが挙げられます。
- 新築より維持費が高い
- 新築より住宅ローン返済期間が短い
- 築年数によっては住宅ローンが組めない
- 新築より住宅ローン控除率が低い
それではこれら各メリットの内容を、順を追って見ていくことにしましょう。
新築よりも維持費が高い
建物は一戸建てに限らず、築年数が古いものほど維持費が掛かります。古い物件ほど建物が老朽化しているため、補修や改修が必要になるからです。
また屋内外の設備等は老朽化にともないメンテナンスや買い替えが必要になるので、購入時には購入後の維持費を想定した上で検討する必要があります。
築年数にもよりますが、中古一戸建てを購入する際は長期的に発生する維持費管理を見越した計画を立てるようにしてくさい。
新築より住宅ローン返済期間が短い
今では楽天銀行のように新築、中古にかかわらず、住宅ローンの返済期間が変わらない金融機関も見られるようになりました。
しかし、築年数に応じて返済期間が短縮されるのが一般的で、新築のように35年ローンが組めない住宅ローンも多く見られます。
返済期間が短くなれば毎月の返済額が大きくなるので、返済負担が高くなってしまいます。
この点をよく検討して住宅ローンを組む必要があるでしょう。
築年数によっては住宅ローンが組めない
住宅ローン契約時、金融機関は対象物件に抵当権を付けて、返済不能に陥った場合、それを転売することでローン残債に充てます。
よって、築年数が余りにも古い物件だと担保価値がないと判断され、住宅ローン審査に落ちやすくなってしまうのです。先ほどの返済期間が短縮される理由もこれと同じです。
中古戸建てならば下記計算でゼロにならないのが、審査通過の1つの目安となってきます。
・60年-築年数-住宅ローン期間
築年数と返済期間を考慮した上で、購入物件を探す必要があるでしょう。
新築より住宅ローン控除率が低い
中古戸建ては仲介業者を介した個人からの購入となります。
実はこの場合は不動産業者から購入した場合よりも、受けられる住宅ローン控除額が違ってきます。
- 不動産業者から購入:最大400万円の控除
- 個人から購入:最大200万円の控除
この点は大きなデメリットとなってきますが、個人からの購入では避けることができません。
また、築20年以上の物件では、さらにデメリットが発生します。
住宅ローン控除を受けるには築年数20年以内であることが条件とされ、この条件に該当しなくても下記書類を提出できれば住宅ローン控除を受けることはできます。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書
- 既存住宅瑕疵担保保険の保険付保証明書
これら証明書は購入物件が耐震基準を満たしていることを証明する書類です。
そのため基準を満たしていない場合は、改修工事が必要になるためその費用を負担することになってしまいます。
中古で購入しようとしている物件の築年数が20年を超える場合は、十分に注意するようにしてください。
中古一戸建てを購入する時の流れ
続いて中古一戸建てを購入する時の流れについて解説していきます。
購入申込から入居までの流れを下記4つに分けて分かりやすく解説するので、大まかな流れを理解するようにしてください。
- 購入申込までの流れ
- 購入申込から売買契約前までの流れ
- 売買契約時の流れ
- 売買契約後から入居までの流れ
それではこれら各流れと注意点を、順を追って確認していくことにしましょう。
①購入申込までの流れ
中古一戸建てを購入する時のファーストステップは、購入したいと思う中古一戸建てを見つけることから始まります。
良いなという物件を様々な検索方法で探し出し、ここから不動産会社との付き合いが始まっていきます。
- 物件情報を収集する
- 気に入った物件があれば管理先の不動産会社へ連絡する
- 不動産会社詳細情報を入手する
- 物件見学を行う
- 複数の中から一番いいと思える物件に絞り込む
- 購入予定物件を決定する
良いなと思ったら必ず管理している不動産会社へ資料請求してみましょう。直接訪問するのもおすすめです。
何と言ってもいい物件に巡り合うためには、不動産会社の力量がものを言います。
早い段階で多くの不動産会社を訪問して、信頼できて誠意ある不動産会社を見つけるようにしてください。
そうすれば相手から希望条件あった優良物件も紹介してもらえます。あとは物件見学を行いながら候補に挙がった中から、購入予定物件を決めるだけです。
②購入申込から売買契約前までの流れ
実はこの過程は買主にとって、中古一戸建て購入までで1、2を争うほど手が掛かります。
- 購入申込をする
- 売主と契約締結や契約条件について調整を行う
- ホームインスペクション(住宅診断)を行う
- 重要事項説明書と売買契約書の内容を事前確認する
- 手付金を準備する
最初にする購入申込は売買契約とは異なります。
これ売主に対して購入したい旨と、契約条件についての意思表示を表す書類です。しかし、購入を断ったとしても何らかのペナルティが課せられることはありません。
購入申込を行う際には5万円から10万円ほどの購入申込金が求められる場合もあるようですが、この購入申込金もちゃんと返金されるので安心してください。
後は購入申込書に記載した契約条件について売主と調整を行い、事後の売買契約時に支払う手付金を用意するだけです。
また筆者としては、この期間内に下記の2点を実施することをおすすめします。
- ホームインスペクション(住宅診断)
- 重要事項説明書と売買契約書の内容確認
ホームインスペクション(住宅診断)と重要事項説明書の重要性は後述するのでここでは割愛しますが、重要事項説明書と売買契約書の内容は、契約時に説明されてもすぐに理解できるものではありません。
事後のトラブルを回避するためにも、内容は事前に確認しておくようにしてください。
➂売買契約時の流れ
売買契約時はまず仲介業者から重要事項説明書の説明を受け、それに納得した上で、売買契約書を締結します。
売買契約書が締結すれば、次は住宅ローンの申込書類の準備に取り掛かるだけです。
- 重要事項説明書の説明を受ける
- 売買契約書の締結
- 住宅ローンの申込準備
事前に重要事項説明書と売買契約書の内容を確認しておけば、ここで戸惑うことなく、スムースに契約締結できるでしょう。
④売買契約後から入居までの流れ
申し込んだ住宅ローンの融資が決定すれば、あとは引き渡しに必要な手続きを行い引き渡し日を待つだけです。
- 住宅ローン申込をする
- 金融機関から融資決定の連絡が入る
- 引き渡し日の調整を行こなう
- 当期に必要な書類を司法書士に提出する
- 購入代金の支払いと登記手続きを完了する
- 入居
引き渡し日は売買契約時に決定されていますが、ここで再度変更がないかを確認してください。
また購入する中古一戸建ての登記手続きは購入代金を支払い、引き渡し後に完了されます。引き渡し日に登記変更されていることはほとんどありません。
引き渡しが行われたからといって、登記変更されているわけではありません。引き渡し後に司法書士から送られてくる登記事項証明書で、登記が自分になっているかを必ず確認するようにしてください。
中古一戸建てを購入する時の注意点7個
①ホームインスペクション(住宅診断)を受ける
中古一戸建てを購入する際には、ホームインスペクション(住宅診断)を受けることをおすすめします。
ホームインスペクション(住宅診断)については「中古一戸建てを購入する時の流れ」の中でも少し触れましたが、一番注意して欲しいのは、正しく物件状態を把握することです。
素人がパッと見ただけでは、建物の劣化状況や欠陥を見抜くことはできません。多くの方が欠陥住宅を購入してしまうのも、素人目では認識できない多くの劣化や欠陥が建物に潜んでいるからです。
特に中古一戸建てとなれば経年劣化を伴っているため、新築戸建てと違い補修や改修が必要な部分が点在することは十分に考えられます。
中古一戸建ての売却後に新しい欠陥が見つかれば、売主は補修改修費用を受け持つ瑕疵担保責任の義務を負いますが、個人間売買となる仲介業者を介した契約では、その期間は最長で2ヵ月程度が一般的です。
となれば安心して購入することはできませんよね。
そんな心配事を払しょくしてもらううためにも、是非とも受けてもらいたいのが、このホームインスペクション(住宅診断)です。
ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅診断のプロであるJSHI公認ホームインスペクターが建物の下記状態を診断してくれます。
- 劣化状況
- 欠陥の有無
- 改修すべき箇所と時期、おおよその費用
プロによる診断でコンディションが把握できれば安心して購入できますし、補修や改修が必要であれば売主に対して求めることもできます。
まだ日本ではメジャーではありませんが、アメリカでは中古市場の売買では常識です。費用負担はありますが、後でそれ以上の高額負担を負わされることを考えれば安いものでしょう。
②受けられる税金控除を確認する
中古一戸建てを購入する際にまず確認してもらいたいのが、利用できる減税制度です。
中古、新築を問わずマイホーム購入時に受けられる減税制度は、実に多くのものが設けられています。
住宅ローン控除は誰もが知る減税制度ですが、マイホーム購入時に利用できるのはまだまだたくさんあるのです。
中には新築限定のものもありますが、中古一戸建てでも利用できるものも数多くあります。知らずに申請せず、減税措置を受けていなかったという人も少なくありません。
そこでせっかく利用できる減税制度を逃すことのないように、中古一戸建てを購入した際に受けられる減税制度について知っておきましょう。
住宅ローン控除
中古物件の場合、下記条件をクリアする必要がありますが、住宅ローン控除を受けられます。
- 築年数が20年以下(*耐火建築物は25年)
- 現行の耐震基準を満たしていること
築年数をクリアできなくても、耐震基準を満たしていれば住宅ローン控除を利用できるのです。
制度内容は下記のように13年間、毎年の住宅ローン残高の1%が所得税から控除され、控除しきれなかった分は住民税から一部控除されます。
居住開始時期 | 令和元年10月3月31日~令和2年12月31日 |
控除期間 | 13年間 |
控除率 | 1% |
最大控除額 | 1年目~10年目:400万円(*個人からの購入時は200万円) |
11年目~13年目:①②の少ない方、①住宅ローン残高または取得対価の少ない方②建物の取得価格×2%÷3 | |
住民税減額額 | 年136,500円(前年度課税所得×7%) |
詳しい内容は下記HPで確認ください。
参照先:国土交通省・住まい給付金
すまい給付金
令和3年12月31日まで実施されている給付金制度で、住宅取得者の年収や持ち分割合で最大50万円の給付額が支給されます。
以前はこの制度が受けられる年収目安は550万円以下とされていましたが、10%への消費税増額に伴い、775万円以下へ引き上げられました。
詳しい内容は下記HPで確認ください。
参照先:国土交通省・住まい給付金
贈与税の非課税措置
父母や祖父母といった直系卑属から住宅購入資金として贈与を受けた場合、その全額を住宅購入資金に充てれば、下記金額を上限として非課税措置が受けられます。
契約締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
詳しい内容は下記国税庁HPで確認ください。
参照先:国税庁・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
不動産取得税の減税措置
中古住宅でも建物、土地の双方で不動産取得税の軽減措置が受けられます。
減税額 | |
建物 | (固定資産税評価額-控除額)×3% |
土地 | (固定資産税評価額×50%×3%)-控除額(下記①②の多い金額) |
①45,000円 | |
②(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×50%)×(課税床面積×2)×3% |
不動産取得税は地方税です。詳しい内容は住んでいる地域の自治体HP等で確認ください。
固定資産税の減税措置
固定資産税の減税措置は土地と建物に適用されますが、中古住宅では双方の減税措置は受けられません。
しかし、土地部分に関しては、新築住宅同様に下記の減税幅で減税措置を受けることができます。
用地種類 | 固定資産税 | 都市計画税 |
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 6分の1 | 3分の1 |
一般住宅用地(200㎡超えの部分) | 3分の1 | 3分の2 |
固定資産税と都市計画税は市町村区からの納税通知です。詳しい内容は住んでいる地域の自治体HP等で確認ください。
登録免許税の減税措置
購入者へ不動産の所有権を移す時に行われる不動産登記では、登録免許税が課税されます。
この登録免許税も令和2年3月31日まで、下記の軽減措置を受けることが可能です。
登記項目 | 基本税率 | 軽減税率 |
土地売買時の所有権移転登記 | 2,0% | 1.5% |
住宅の所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% |
住宅の所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% |
住宅ローンの抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
詳しい内容は下記参照先で確認ください。
➂購入費用の目安を付けておく
新築よりも安価な中古一戸建てと言えども、好条件の物件を購入しようとするとそれだけ高額な費用が必要になります。
しかし、「一生の買い物だから、ここはひとつ無理して見るか!」こういう考えだけは止めてください。
近年は住宅ローンの借入可能額を算出する際、年収に占める年間返済額を数値化した返済負担率が用いられますが、この数値だけにとらわれた資金繰りは絶対にNGです。
フラット35で返済負担率は30%から35%、ネット銀行だと40%を超えるところも見られますが、ローンを返済しながら負担なく暮らせるのは、10%ほどだと言われています。
しかも、将来的には家族構成も変わり、新しい支出が増えるため、住宅購入時とは状況が全く変わってしまいます。将来を見据えた予算繰りが必要になるのです。
金融機関は可能なだけ貸し付けしようとしますが、専門家のいうことだから大丈夫と安心してはいけません。自分自身が本当に10年後、20年後に無理なく返済できる金額なのかを検討すべきなのです。
大事なのはいくら借りられるかではなく、いくらなら無理なく返済できるかです。この点は勘違いしないよう、慎重に購入金額の目安を付けてから物件探しをするようにしてくだださい。
また、購入予算に引っ越し費用を入れるのを、忘れている人は少なくありません。結構な金額が必要になるので、これもちゃんと予算に組み込むようにしてくださいね。
④重要事項説明をシッカリ受ける
重要事項説明書と売買契約書の内容は、事前にチェックする必要があると話しました。
これは重要事項説明書は、購入予定物件の取引条件に関する重要事項が記載された書類であり、その内容がちゃんと売買契約書内で契約事項として反映されているかを確認する必要があるからです。
重要事項説明書の内容は宅地宅建取引業法で仲介業者から売買契約締結前までに説明義務が課せられていますが、一般的には売買契約時に説明されます。
内容次第では購入条件に反して、契約自体を見送らなければならないケースも出てくるでしょう。
一項一項、丁寧に説明してくれるとは言いますが、専門的な説明となるため不動産取引に不慣れな素人にとっては理解しがたい内容のものも少なくありません。
そのため、事前に重要事項説明書を取り寄せて問題がないかを確認し、売買契約書の内容と照らし合わせる必要があります。
重要事項説明書で重要になるポイントは下記の事項です。
- 物件の基本的確認
- 法令上の制限
- 道路その他インフラ
- その他物件に関する確認
- 契約条件
- その他
この中でも「その他」の条項に含まれる、「瑕疵担保責任の履行」は重要なポイントになってきます。
これは引き渡し後に隠れた欠損等が見つかった場合、買い主が売り主にその修復をする責任について定めた規定で、この瑕疵担保責任が履行されているか、その責任期間はどうなっているかの確認が必要です。
重要事項説明が行われる際、説明内容をシッカリと理解しながら受けるためにも、事前確認は欠かさないようにしてください。
下記は公益社団法人 全日本不動産協会がHP内で推奨している、重要事項説明時のチェックリストです。
参照先:重要事項説明のチェックリスト
このチェックリストと照らし合わせながら、重要事項説明書を確認していくのもおすすめですよ。
⑤耐震性の確認
築年数の古い中古一戸建てを購入する際には、建物の耐震性の確認が必要です。
1981年6月以降は新耐震基準で、2000年以降は更に高い耐震基準で建てられているため耐震性に問題はありませんが、1981年5月以前の建物は、現在の耐震基準を満たしていないものが多く見られます。
ここで注意してもらいたいのが住宅ローンです。住宅ローンは上記の耐震基準をクリアした建物でなければ契約できません。
住宅ローンの耐震基準を満たしていない場合、改修工事を実施しないと住宅ローンを利用することはできないので、購入金額の他に工事費用を用意する必要が出てきます。
そうならないためにも、築年数が古い中古一戸建てを購入する際には一番に耐震性を確認するようにしましょう。
⑥安全性と防犯性の確認
中古一戸建てを購入する際には物件だけでなく、周囲の環境確認も重要です。
たとえば建っている場所が家が密集した地域の路地裏で隣家とのスペースが狭い場合、もらい火による火災が起きやすくなります。
しかも、消防車が貼れるスペースがなければ安全性はグンと低くなってしまい、全焼等の大きな被害を受ける可能性も高いでしょう。
また、繁華街の近くなど、深夜になっても人がうろつくような地域は治安が悪く、安心して暮らすことはできません。
このように周囲環境が悪ければ、どれだけ物件を気に入ろうと後で必ず後悔することになってしまいます。
購入する中古一戸建ての近隣環境も忘れず、購入条件に織り込むようにしてください。
⑦リフォームが可能かどうかの確認
これも先ほどと同じ立地条件関連の問題ですが、建物の構造や土地の形状や場所などが影響してリフォームが難しい中古一戸建ても数多く見られます。
リフォームが難しいとされる物件全てがリフォームできないわけではありませんが、できても通常よりも高額な費用になってしまうことが大半です。
中古一戸建てを購入する人の中にはリフォームを予定している人も多いでしょう。そのため、事前に物件がリフォームに支障がないか確認を怠らないようにしましょう。
中古でも新古一戸建てを購入すれば新築同様の扱い!
一番最初に新古住宅について解説しましたが、この新古住宅にはフラット32の住宅ローンを申し込む上でも、大きなメリットがあります。
フラット32での中古住宅への定義は下記の通りです。
- 竣工日から2年を超えている物件
- 既に人が住んだことがある物件
よって、フラット35では新古住宅は新築住宅扱いになるのです。
フラット35なら新築扱いの融資が受けられる!
フラット35では中古物件でも新築物件と変わらない条件で融資を受けることができますが、ただ一点、中古一戸建てを購入する場合には住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることがネックになってきます。
技術基準適合の証明で提出が求められるのが適合証明書です。
この適合証明書は下記いずれかへ物件調査を依頼して交付してもらう必要があるため、その費用が別途必要になります。
- 適合証明検査機関
- 適合証明技術者
この適合証明書は最新のものが求められるので、新築時に所得していても原則新たに取得する必要があります。
しかし、新古住宅ならば新築住宅の扱いとなるため、新築時の適合証明書でOKです。無駄な費用を掛けずに、フラット35に申し込めるというわけです。
住宅ローン控除等の税金控除も新築扱い!
先に紹介したように、中古住宅の場合、新築同様に税金の控除制度を利用することはできません。
利用できるものは少なくありませんが、全て利用できないのがデメリットとなってくるでしょう。
しかし、新古住宅ならば新築住宅扱いになって、中古住宅では利用できない下記の控除を受けることも可能です。
- 投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除)
- 固定資産税の減税(*建物部分)
これは新古住宅ならではの大きなメリットと言えるでしょう。
中古で一戸建てを購入する時の流れと注意点のまとめ
中古一戸建ての購入は新古一戸建ての購入よりも多くのメリットがありますが、それでもデメリットは存在します。
まずは購入するならメリットだけでなく、デメリットを納得した上でないと後悔することも出てくるでしょう。
また、現在住んでいるマイホームからの買い替えならば、一度査定して市場価値を確認してみることをおすすめします。
そんな時におすすめなのがマンション売却ガイドというサイトで使われている一括査定サービスです。下全国1,700社以上の優良な不動産会社が登録しており、一括で最大6社へ査定見積もりを依頼できます。
60秒もあれば全国どこからでも一括査定が依頼できるので、マイホームがどれくらいで売却できるか気になる人は、利用してみることをおすすめします。