空き家の軽減税率(譲渡所得税控除)まとめ!最大3000万円控除も?

空き家の軽減税率(譲渡所得税控除)まとめ!最大3000万円控除も?

近年空き家は増加傾向にあります。「相続したけどその家には住まない」など、理由はさまざまですが、日本にはいたるところに空き家がある状態になってきています。

しかし空き家は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金がかかるため、住んでもいないのにどんどん税金が取られるという状態になります。

今回はそんな空き家を所有している方が絶対に知るべき、空き家の税金や軽減税率について徹底的に解説しています。

空き家には3000万円もの特別控除がある!

「でも、売却したら所得税が発生して結局税金を払わなきゃいけなくなるんじゃ?」と思われる方も多いですよね。

実は現在、2023年12月31日まで相続空き家を売却すると3,000万円の特別控除が適用できる可能性があり、それが適用できると所得税が発生しない、もしくは発生しても金額がかなり低くなる措置がとられております。

詳しくは記事の後半でも解説しますが、それによって現在は相続による空き家を非常に売りやすい状況になっています。

空き家を売却したときの軽減税率(譲渡所得税控除)とは?

2015年5月に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称・空家法)」ができるまでは、空き家を売却すると多額の税金がかかる状態でした。

例えば相続で家を取得した場合、相続税を払わなければなりません。そしてその家に住まないからといって売却すると、譲渡所得が発生することから所得税まで払わなければいけない、というのが2015年5月までの状況でした。

そのため放置されている空き家が多かったのですが、空き家の中には倒壊の恐れなど危険になりうる空き家も多く問題となっていたため、空き家を売っても税金を発生しにくくする措置である軽減税率が制定されたのです。

空き家の売却について

空き家が発生する一番の原因は「相続」です。子供世代は自立し、それぞれの家庭を持ち家を建てます。そして親世代が他界し相続で家を取得するも、その家には住まないので結果として空き家となります。

これが現在の空き家発生の最も多いパターンとなっています。

そのため、空き家のほとんどは築年数が高く古い建物が多いので、空き家を売却する際には以下のどちらかを選択する必要があります。

  • その空き家をのこしたまま土地と一緒に売却する
  • 空き家を解体して土地だけ売る

ではそれぞれの違いを確認しましょう。

空き家を残したまま売却

空き家の築年数がそこまで古くなく、かつメンテナンスもしていてそのまま、もしくは少しリフォームするくらいで十分住めるという場合は建物を残して売却することもできます。

しかし建物が築25年以上経っていて建物の価値がゼロである場合、土地の価格が売り出し価格となります。

そして買主が購入後に自分で取り壊すという選択をする場合は、その土地の価格から取り壊し費用を差し引いた額で売却することになるのです。

空き家を解体して売却

建物の築年数が高く、リフォームしても住めるような状態でないのであれば、解体して売却することをおすすめします。

更地にしておいたほうが新築物件が建てれるだけでなく、駐車場や農地といった様々な用途に使える関係で多くの人が買い求めやすいため、値段も上がる可能性がるのです。

「売主が解体しようが、買主が解体しようが価格的に結果は同じなのでは?」と思われるかもしれませんが、更地のほうが購入者が決断しやすく、そのため早く売れる可能性も高くなります。

売主にとっては手間が増えてしまうかもしれませんが、空き家がある状態で売りに出して長期間売れないよりは、更地にして早く売れるほうがいいですよね。

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譲渡所得税控除の概要

さて、それでは空き家を売却した際の軽減税率である「譲渡所得税控除」ですが、内容はどのようなものなのでしょうか。

これは、マイホームを売却した際の「3,000万円の特別控除」が、マイホームだけでなく相続空き家にまで適用されるようになったということです。

マイホームを売却した際、売却益が3,000万以下の場合は譲渡所得税を払わなくてもいいのですが、空き家を売却した際もこれと同じで譲渡益が3,000万以下であれば、譲渡所得税を支払わなくてもいいということになります。

こうすることで、空き家を少しでも売却しやすくしよう、というのがこの譲渡所得控除の狙いなのです。

反対に住み替えのために戸建てを売りに出したままマンションに引っ越してみたけど、長期間売れなくて空き家だった、というような場合には適用されません。

そのほかにもいくつか要件がありますが、それに関しては次のセクションでお話します。

適用要件

譲渡所得控除が適用されるには、いくつか要件があります。

家屋に関する要件と譲渡に関する要件とにわかれますので、それぞれをしっかり確認してください。

家屋に関する要件

  1. 相続開始直前において被相続人が一人で居住していたこと
  2. 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること
  3. 相続開始直前においてその被相続人以外に居住したいた者がいなかったこと。(事業・貸付などの用に供されていないこと)

なお、家屋を取り壊して売却する際の要件は以下の通りです。

  1. 相続したときから取り壊しまでの間に、貸付、事業の用に供されていなかったこと
  2. 土地が相続したときから取り壊しまでの間に貸付、事業の用に供されていなかったこと

譲渡に関する要件

1.譲渡価格が1億円以下であること

2.家屋を譲渡する場合は、現行の耐震基準に適合する状態にすること

空き家の軽減税率を適用出来た場合の譲渡所得の計算方法

では、上記の要件を満たした相続空き家を売却する際の譲渡所得の計算方法を解説します。

「3,000万円の特別控除」ということは、建物をそのままにして売却した場合でも取り壊して土地だけ売った場合でもその譲渡所得から3,000万円を特別控除する、ということです。

つまり計算方法としては以下のようになります。

譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)-3,000万円

以下に言葉の説明を簡単にします。

  • 譲渡所得:売却価格
  • 取得費:減価償却後の価額(その不動産を購入したときの仲介手数料、売買契約書の印紙代、不動産取得税、登録免許税等を含むことができる)
  • 譲渡費用:売却に要した費用(売却時の仲介手数料、印紙代、建物の取り壊し費用など)

ここで少し疑問に思うことがありますよね。

それは、「取得費」ですよね。相続した不動産であれば、それは親の代、またはそのまた親の代から引き継がれた不動産であるため、当時の資料などが残っていない場合があります。

これでは当時の購入額はもちろん、仲介手数料などのその他の費用もわかりません。ではどうやって計算するか気になるかと思います。

当時の取得費がわからない場合は、「概算取得費」というものを用いて計算します。

概算取得費は、譲渡価格の5%で計算するので、例えば譲渡価格が3,000万円で、譲渡費用が95万だった場合の譲渡所得の計算は以下の通り。

譲渡所得=3,000万円ー(150万円+95万円)

となります。そうすると譲渡所得は2755万円となります。この額すべてに所得税がかかればかなりの額になるのは分かるはずです。

取得費が5%というのもそもそもかなり理不尽な感じがしますが、特別控除が制定される前は単純に上記のような計算方法で譲渡所得を求めていたので、相続した人は「わざわざ税金を払うために空き家を売却したくない」ということから、相続空き家が増えてしまっていたのです。

この状況を改善するために制定された「3,000万円の特別控除」は、2016年4月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間は、相続空き家の売却においても、3,000万円の特別控除が適用されますよ、というものです。

では、先ほどの計算式に3,000万円の特別控除をあてはめてみるとどうなるでしょう。

譲渡所得=3,000万円ー(150万円+95万円)-3,000万円

となります。そうなれば譲渡所得はマイナス215万円です

つまり譲渡所得税がマイナスとなった場合は、不動産売却による所得税は発生しないのです。

ただし、もちろん3,000万円の特別控除を適用しても、譲渡祖欲がプラスになった場合はその分の所得税は発生します。

仮にそうだとしても3,000万円の控除があるのとないのとでは所得税の額が大きく違ってくるので、これは相続空き家の処分に困っている人たちの救済措置と言えるでしょう。

空き家の軽減税率適用を受けるために必要な書類

相続空き家の売却を考えている方には3,000万円の特別控除を適用することはとても重要ですが適用を受けるためには特別な書類が必要なのでしょうか。

家屋だけ、または家屋と土地を売却した場合、または家屋を解体して土地を売却した場合に必要な書類を確認しましょう。

家屋だけ、または家屋と土地を売却した場合

  • 譲渡所得内訳書
  • 家屋、土地の登記事項証明書
  • 売買契約書の写し
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書
  • 被相続人居住用家屋の譲渡時の相続人の住民票の写し
  • 被相続人の除票住民票の写し

家屋を解体して土地を売却した場合

  • 譲渡所得内訳書
  • 家屋、土地の登記事項証明書
  • 売買契約書の写し
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 被相続人の除票住民票の写し
  • 被相続人居住用家屋の取壊し、除却または滅失時の相続人の住民票の写し
  • 閉鎖事項証明書の写し

なお、各市町村によって必要書類は異なる可能性があるので、事前に必ず確認することをおすすめします。

空き家の軽減税率と他の特例との併用は可能?

「3,000万円の特別控除」は、以下の特例と併用することが可能となっています。

自己居住用財産の3,000万円特別控除、または自己住居用財産の買換え特例のいずれか

「自己居住用財産の3,000万円の特別控除」と「空き家の3,000万円特別控除」を併用する場合で、それが同一年中に併用する際には、

2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となるので注意が必要です。

  • 住宅ローン控除
  • 小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人や被相続人と同一生計の親族の居住用や事業用の宅地において一定の条件を満たしている場合にのみ、評価額が最大80%減額されるという特例のことです。

空き家の軽減税率のまとめ

空き家問題は年々深刻化しており、特に「相続」が空き家が増える一番の原因として挙げられます。

「実家を相続して相続税を払わなくちゃいけない上に売却したら所得税も払うの・・・?」と、支払わなければならない税金の額に怯え空き家に手を付けられない状況の人たちがたくさんいました。

しかし、空き家は放火や倒壊の危険性など安全面からみても放置したままでいいはずはなく、国としても現状を改善したいと考えました。

そこで適用されることになったのが、「空き家の3,000万円の特別控除」です。譲渡所得から3,000万円を控除することによって、所得税を払わなくても済む可能性があり、もし3,000万円を差し引いても譲渡所得があった場合でも、所得税の額が大きく違ってきます。

これにより今増えつつある日本の空き家を少しでも減らそうという特例が、2023年(令和5年)12月31日まで行われます。

相続空き家をどうするか迷っている方は、今が税金を安く売却できるチャンスですよ。

もちろんあなたにとって「空き家を売却する」ということが最善の方法ではないかもしれません。

場所によっては駐車場やマンションといった再活用の方が得する場合もありますので、まずは価値を一括査定した上で不動産会社や税理士などに相談して決めていくことをオススメします。

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