「数ヶ月前からマンションを売却に出しているのに、なかなか決まらない。このままでは売れそうにないから、もう値下げするしかないのだろうか?」と思っている人は、ぜひこれを読んでください。不動産業者は、地域の物件に強い業者だったでしょうか?営業マンは、誠実に一生懸命売ろうとしてくれましたか?
もしも物件そのものの価値以外のことが理由で売れていなかったとしたら、すぐに値下げを決めてしまうのはもったいないかもしれません。まずは次の4つのチェック項目を確認し、「これが原因だったかもしれない」と思い当たるフシがあれば、値下げを断行する前に打開策を考える必要があるでしょう。
値下げを決める前に、現在の販売価格は市場の相場に即しているか確認
相場より高めの金額で出していたら、値下げをするのが妥当
もしもあなたの中に「これぐらいの金額で売りたい」という当初の希望があり、営業マンとのやり取りで「相場よりも高めですが、最初はこの金額で様子を見ましょうか?」ということになっていたとしたら、予想通り売れなかったと考えるのが妥当でしょう。
マンションの売主の多くは、新築時にかなりの高額でマンションを購入しています。そのため、最初だけはどうしても、高い販売価格を希望したくなるものです。しかし、数ヶ月して「この価格では売れない」ということに気付くと、これではまずいと値下げをするのはよくあるパターンです。
値下げをして相場の価格で販売することで、スムーズな売却につながる
不動産業者もそれを見越していて、最初の数ヶ月はできるだけ売り主の希望価格を尊重し、買手がつかなければ相場の金額まで値下げするという方法をとります。こうして順当な金額に仕切り直すことで、スムーズに売却が進むことになります。
値下げの最初のタイミングは「3ヶ月目」
最初は売り主の希望価格で販売し、売れなければ相場価格に値下げ
マンションの販売を始めてから成約に至るまでの期間は、一般的に約3ヶ月と言われています。不動産会社との媒介契約期間も、やはり3ヶ月です。そのため、最初の値下げを考えるタイミングになりやすいのが、売り出してから3ヶ月後のタイミングなのです。
たとえば、売却相場が2,800万円のマンションを、売主が「何とか3,000万円以上で売りたい」と希望した場合、営業マンは「無理かもしれない」と思いつつ、売主の希望を尊重して3,000万円で販売します。しかし、案の定売れずに契約期間満了が近づくと、営業マンは契約期間の延長と同時に、売主に値下げを提案することになります。
最終的には、必ず買手が見つかる金額で売り切る
そして売主と営業マンとの話し合いがあり、2,800万円に値下げすることになったとします。そこですぐに買手が決まればいいのですが、1~2ケ月経ってもまだ買手が決まらないと、今度はいよいよ最低価格に値下げして販売せざるを得なくなります。
そこで底値ともいえる2,600万円に値下げをして販売し、最後の勝負をかけると、さすがにお得感があるので買手もすぐ見つかります。このように、最終的には6ヶ月ほどかけて、多くの物件は成約という流れになります。
もちろん売主の中には、最初から安く販売してすぐに成約を決める潔い人もいれば、相場より高く販売したのに運よく買手が見つかる人もいます。“時の運”が大きく左右するのもマンション売却の大きな特徴ですが、一般的にはこのように2段階の値下げスケジュールを立て、最終的に売り切ることになります。
値下げを決める前に確認したいチェック項目
不動産会社は大手か、地域の不動産業者か?
大手で買手が見つからなければ、地域の不動産会社に乗り換える方法もある
もしも大手の不動産会社と専任媒介契約を結び、3ヶ月の契約期間満了時になっても買手が見つからなかった場合は、おそらく「契約期間を延長して、値下げに踏み切りましょう」と、営業マンから提案されることでしょう。
しかし、そこで値下げに踏み切らずに、思い切って地域の不動産業者と専任媒介契約を結ぶという方法もあります。大手には幅広く購入希望者を探せるなどの利点がありますが、逆にマンション周辺地域とのつながりはあまりなく、その点は地元の不動産会社の方が強い場合もあるのです。
たとえば「うちの娘が結婚することになって、家の近くにいいマンションがないか探しているので、近くの〇〇不動産に頼んでおいた」というような人を、地元の不動産会社は紹介できることもあります。
大手では紹介してもらえない“掘り出しもの”の購入希望者を見つけられる
地域密着型の不動産会社は、地元のお祭りに参加するなど、地域とのつながりをとても大事にしています。そのため、大手不動産会社の存在を知っていても、あえて地元の不動産業者を頼る人も少なくありません。
そのため、大手では紹介してもらえない“掘り出しもの”ともいえる購入希望者を見つけられる可能性があるのが、地域の不動産会社です。ただし、売却を急いでいる場合は、そうした可能性に期待している余裕はないので、値下げに踏み切るという選択肢もあるでしょう。
逆に、地元の不動産会社で売れない物件が、大手で解決することもある
それとは逆に、「地元の不動産業者と専任媒介契約を結んだけれど、なかなか買手が見つからない」という場合は、値下げに踏み切る前に、大手の不動産会社に乗り換えることで解決する場合もあります。
大手の不動産会社は、さすが大手だけに査定の出し方も根拠がしっかりしていて、事例などのデータが豊富で対応も迅速です。さまざまな意味で地域の不動産業者に比べてグレードが高いので、そのシステムに乗ることですんなり買手が決まる可能性もあるでしょう。
ただし、大手の場合は小回りが利かなかったり、営業マンがノルマをかかえて苦しんでいるケースもあります。どんな会社なのか、どんな営業マンなのかをよく見極めた上で、慎重に選択することをお勧めします。
値下げを決める前に、売却のための活動は十分に行っていたか確認
値下げに踏み切る前に、宣伝方法などを厳しくチェック
値下げを決める前に、営業マンが売却のための活動を十分に行っていたかどうかをチェックすることも必要です。物件がたくさん動く時期などは、営業マンが忙しいあまりに営業活動をおろそかにしている可能性もあるからです。たとえば、次のような媒体は必ずチェックしましょう。
① 不動産情報サイト
SUUMOやLIFELL HOME’Sなどの大手不動産情報サイトには、必ずと言っていいほど物件情報が掲載され、サイトを通して内覧を希望する人は数多くいます。もしもサイトを通しての内覧希望が少なかった場合は、その情報が買手にとって魅力的に伝わっていない可能性があります。
◆検索結果一覧の画像とキャッチコピーは、魅力的に掲載されていますか?
検索結果画面に表示される画像とキャッチコピーは、物件をクリックしてくれるかどうかにつながる命綱のようなものです。物件の魅力を最も伝えられる、インパクトのある画像が入っていますか?物件の特徴がはっきりとわかる、買手の心に響く文章が書かれているでしょうか?
そこをしっかりとチェックし、もしも営業マンが撮影や文章が苦手であれば、自分自身でやるくらいの気合いが必要です。
◆物件の特徴や概要など、個々のページから物件の魅力が伝わってきますか?
検索結果一覧をクリックしたときに開かれる「物件の特徴」や「物件概要」などのページも、しっかりとチェックしましょう。購入希望者は、興味をもった物件に関する情報を、隅から隅まで真剣に見ています!画像やキャッチコピーはもちろんのこと、画像のキャプション(画像下の説明)からも物件の魅力が伝わるよう、細かく工夫することが大切です。
② 周辺地域に配布するチラシ
チラシをどこに何部配ったかを営業マンに訊ね、どの地域の何人の人に情報が伝わっているのかを、細かくチェックしましょう。もしかしたら、購入希望者が出る可能性のある地域に、適切にチラシが配布されていない可能性もあります。
チラシの内容も、物件の魅力をしっかり伝えているかどうか確認し、伝わっていなければ改善点を提案できるくらいまで考えておく必要があります。
③ 不動産取引情報サイト「レインズ」
これは不動産会社同士で情報を共有するサイトですが、このサイト内で自分の物件がどういう風に掲載されているかも、しっかりと確認しましょう。星の数ほどある物件の中から、自分の物件を選んでもらうためには、こうした地道な作業を抜かりなく行うことが非常に重要です。
しっかりと宣伝していたにも関わらず売れなかった場合は、値下げも視野に入れる
上記のことを営業マンが怠りなく行い、マンションをより魅力的に紹介してくれていたにも関わらず売れなかった場合は、値下げも視野に入れざるを得ないでしょう。
値下げを決める前に内覧で物件の魅力をしっかりと伝えていたか確認
内覧の内容を創意工夫して、成約につなげる努力を
内覧は、マンション売却を成立させられるか否かの、まさに”勝負どころ”です。内覧をあまり重要視せずに、ただ漫然と案内をしてしまうと、いつまで経っても成約につながらないケースがあります。
せっかく不動産情報サイトなどを見て、物件に興味を持った人が内覧にやってきても、実際に室内を見て魅力を感じないと努力が水の泡になってしまいます。内覧に関しては営業マンとしっかり打ち合わせをして創意工夫し、何とか値下げせずに売却できる努力をしたいものです。
マンションに入居中の内覧は、売主の努力が必須
売主がマンションに入居中に内覧をする場合は、売主がどこまで努力できるかで、成約に至るかどうかが決まるといっても過言ではありません。
次のことに関して、しっかりと準備はできているでしょうか?
◆玄関の扉を開けた瞬間の「ニオイ」で、内覧者に不快感を与えていませんか?
玄関の扉を開けた瞬間のニオイというのは、第一印象を決定づける大事な要素です。「内覧には何人も来るのに、なかなか決まらない」という人は、生活臭を疑った方が良いかもしれません。換気を十分に行い、柑橘系タイプやラベンダーの香りのアロマを使うなどして、良い印象を与えるよう工夫しましょう。
また、玄関には家のイメージに合わせて花を飾ったり、リビングのカラーコディネートに気を付けるなど、室内の印象にも気を配ることが大切です。
◆必要のない家具は撤去し、スッキリとした美しい室内にしていますか?
室内がゴチャゴチャとしていたり、汚れていたりすると、それだけで成約が決まらない場合があります。不要な家具は徹底的に処分し、キッチンやバスルームなどの水回りはハウスクリーニングをかけるなどして、スッキリとした美しい生活空間にしましょう。
◆内覧の際に、物件の魅力をさり気なく伝えていますか
内覧の際に、購入希望者にさり気なく物件の魅力を伝えるのを、忘れてはいなかったでしょうか? 内覧は、物件の魅力を購入希望者に伝える絶好のチャンスです。営業マンのトークだけでなく、実際に住んでいる人の話はとても説得力があり、購入への意欲を大いに刺激するものです。
たとえば、内覧者が子育てファミリーであれば、幼稚園や小学校の雰囲気はどうか、教育レベルはどうか、遊び場はあるかなど。周囲に騒音がないことや、地域の治安が良いことなども、大きなアピールポイントになります。
また、購入希望者の大きな関心事であるマンションの売却理由、管理体制、管理費・修繕積立金のことなども、さり気なく話してあげることで購入希望者が安心できます。
退去後の内覧は、営業マンがどのように内覧をしているかをチェック
すでにマンションを退去していて、不動産会社に内覧を任せている場合は、実際にマンションに出向いて営業マンがどのように案内しているかを詳しくチェックしましょう。
たとえば「照明が暗いかもしれない」と思った場合は、多少の経費をかけても印象アップのためにフロアライトを設置したり、どうしても気になる室内の傷がある場合には、そこだけ修理するという方法もあります。内覧にちょっとした工夫を加えるだけで、“成約まであとひと押し”という購入希望者に、決断を促すきっかけとなるのです。
ただし、上記のような努力をすべて行っていてもなお買手が見つからない場合は、値下げもやむを得ないかもしれません。潔く決断することもまた、マンションの売却にとっては必要なことです。
マンションの値下げに関するまとめ
「マンションを売却するならできるだけ高い金額で」というのは誰もが思うことですが、実際には希望通りに売れずに、値下げを決断しなければならないこともあります。もともとの提示額が高すぎたのであれば、相場の金額まで下げて売るのは、賢明な判断といえるかもしれません。
しかし、本当はとっくに成約できているはずなのに、「営業マンが熱心に紹介していなかった」「内覧のときに生活臭が気になった」といった何らかの理由で売れずにいるとしたら、値下げには待ったをかけた方が良いでしょう。
4つのチェック項目の中で、「これはやっていなかった」という項目があればすぐに実行し、納得できる価格でマンションを売却したいものです。