「税金」と聞くと「払いたくない」、「計算が面倒くさそう」などイメージは正直いいものとは言えませんよね。
しかしアパート経営をするうえで税金の種類や計算方法などの知識は、損をしないためにも必ず必要となります。基本的なことを知らないと節税の方法もわかりません。
そこで今回はアパート経営で課せられる税金やその計算方法、節税のポイントをご紹介しますので参考にしてください。
アパート経営で課せられる基本的な税金は5つ!
アパート経営をするうえで、税金についての知識はなくてはならないものです。では、アパートを経営することで課せられる税金はいくつあって、それはどのようなものなのでしょうか。
所得税
まずアパートの部屋を貸し、家賃収入を得ることで所得税が課せられます。家賃収入からでた利益に対し、所得税がかかるからです。
この家賃収入にかかる所得税は、「不動産所得」というカテゴリーで、不動産所得の税率は所得金額が大きくなればなるほど高くなります。
住民税
住民税は、住んでいる都道府県、市町村に支払う税金のことで、所得税と同様に所得に応じて課せられます。
個人事業税
所有するアパート物件が増えるなどして家賃収入が一定の規模になると、個人事業税が課せられます。ある程度の規模になると「事業を行っている」とみなされるためです。アパート経営でいうと、10室以上の物件を持つと個人事業としてみなされます。
個人事業税の計算は所得金額から事業主控除等を差し引き、それに税率をかけることによって算出します。
この「事業主控除」とは、年間290万円の控除と定められており、もし不動産所得が290万円以下の場合は個人事業税は発生しません。また、不動産賃貸業の税率は5%です。
消費税
消費税は居住用の家賃には課せられませんが、アパートの中に貸事務所や貸し駐車場がある場合、それらの収入は課税対象となります。
この駐車場とは居住者用の駐車場では非課税で、一般に貸している場合は課税対象になるので少しややこしいです。
また、この消費税は課税売上高が1,000万を超えた場合に翌々年から課せられます。
固定資産税
アパートだけに限ったことではありあませんが、不動産を所有していると課せられる「固定資産税」のこともしっかり覚えておきましょう。
固定資産税は所有する不動産の評価額に応じて算出され、その計算方法は課税標準×1.4%となっています。なお、この課税標準とは市町村ごとに決められるものであり、申告等の手続きは不要です。納税通知書が届いたら金融機関で支払うものです。
アパート経営収入のどこまでが課税範囲?
家賃収入はそのすべてが課税対象なのでしょうか。そもそも家賃収入とは、アパート経営で発生した収入から経費を差し引いたもののことです。
ここではその家賃収入に含まれるものを見ていきましょう。
家賃収入に含まれるもの
まずはアパートの家賃収入に含まれるものを確認しておきましょう。家賃以外に家賃収入に含まれるものは主に以下のようなものです。
- 礼金
- 更新料
- 管理費
- 駐車場
- 権利金
- 保証金(返還の必要がないもの)
返還が必要なものに関しては収入ではありません。
不動産所得
不動産所得とは、不動産経営により得た収入から必要経費を差し引いた金額のことで、課税される額は経費が多ければ多いほど少なくなります。
では経費にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
- 管理費
- 広告・宣伝費
- 火災保険
- 地震保険
- 修繕費
- 減価償却費
- 司法書士や税理士への手数料
- 固定資産税・都市計画税
- 借入金利子
- 消耗品費
- 水道光熱費
管理費とは、不動産会社に物件の管理を依頼している場合に不動産会社に支払うものです。
これらの他にも不動産経営に関わるものであれば経費として計上可能なものもあります。判断が難しい場合は領収書にメモ書きを残しておきましょう。また、経費として計上できないものには
- 住民税
- 所得税
- 不動産経営に関係のない支出
などがあります。
間違った申告をすると追加徴収される可能性もあるので、経費として計上できないものもきちんと把握しておく必要があります。
アパート経営の税金の計算方法
確定申告など、税金のことは税理士に任せるという方も、アパート経営をしている人は基本的な税金の計算方法を知っておきましょう。
不動産所得に対する所得税
再度ご説明しますが、不動産所得とは収入から経費を差し引いたものです。よって家賃収入にかかる所得税を算出するには、まず不動産所得にかかる所得税率を算出する必要があります。
その計算方法は不動産所得と給与所得を合算し、そこから各控除額を差し引きます。これば課税所得額で、この課税所得額に応じた所得税率がわかります。
具体例で説明すると、例えば給与所得が600万円で不動産所得が200万円、所得控除額が100万円だったとします。この場合の数式は、600+200-100=700となります。
つまりこの700万円が課税所得金額となります。この所得税率は国税庁ホームページ内の「所得税の税率」でも確認できます。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁{所得税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
住民税
所得税同様、住民税も利益に対して課税される税金です。これは不動産収入から経費を差し引いた所得に対して計算します。
また住民税は都道府県と市町村の両方に対して払うので、2つの計算をする必要があります。以下の条件だった場合の計算を見ていきましょう。
- 給与所得が400万円
- 給与所得控除が100万円
- 不動産収入が200万円
この場合、400-100+200で、所得合計は500万円となります。この所得合計に都道府県民税として6%、市町村民税として4%をかけたものの合算は10%なので50万円ということになります。
さらにこれにプラスして均等割という税金が加算されます。この均等割は地域によって異なるので事前に確認をしておきましょう。
固定資産税
不動産の評価に応じて計算したものが固定資産税です。固定資産税評価額は3年に1度改定され、市町村で証明書を発行してもらうことができます。
固定資産税は土地および建物の評価額の合計に固定資産税の税率である1.4%をかけて算出します。
- 建物の固定資産税評価額:2,000万円
- 土地の固定資産税評価額:1,200万円
- 合計3,200万円
たとえばこちらの条件だった場合の固定資産税は448,000円となります。
アパート経営の家賃収入に対する節税方法4つ
税金はなるべく低いほうがいいに決まっていますよ。そこでこのセクションでは、アパート経営での節税方法を4つご紹介します。
経費の計上
何度もご説明していますが、家賃収入に対する税金は収入金額そのものではなく、収入金額から諸経費を引いた「所得」に対して課税されます。
この所得が高ければ高いほど所得税や住民税は高くなります。そうならないためにも、可能な限り経費で計上してこの所得を小さくすることが大切です。
また、必要経費には減価償却費を計上することを忘れないようにしてください。経費はなるべく多めに計上することが節税のポイントです。
確定申告
本業を持ちながらアパート経営をする場合、あるいはアパート経営によって年間所得が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。
アパート経営を始めたばかりの時点では経費が収入を上回り赤字になる可能性もありますが、その場合でも確定申告をすることによって給与所得と不動産所得を相殺することが可能です(損益通算といいます)。
不動産所得の赤字分を給与所得と合算し、その分の税金の還付を受けることができるのです。
この場合は確定申告(青色申告)をすることにより節税になるので、忘れずに行うようにしましょう。
小規模事業共済へ加入
この共済へ加入すると、掛け金(月額最高7万円)が所得控除の対象となり、支払った年の節税となります。また、解約時にも「退職所得・一時所得」などとみなされ税金上で優遇されるので、こちらも節税となります。
規模次第では法人化
ある程度の規模になれば、個人事業ではなく法人化することで所得を役員報酬とすることができ、節税となります。
また、個人事業よりも法人にしたほうが経費として計上できるものの選択肢が増えますし、法人化することで金融機関からの信頼度もアップします。
もちろん設立、運営には費用がかかるため、その費用を捻出できる程度の規模である必要はあります。
アパート経営の節税対策での注意点
過度に経費計上しない
経費を使って節約するという考え方が強すぎて経費を使いすぎてしまうと、かえって収入とのバランスが取れなくなってしまったり、過度に経費計上することで税務署からチェックされてしまいます。
こうなるとかえって問題になりかねませんので気を付けましょう。また、このような問題が起きた場合、将来融資を受けたいと思ったときに金融機関の審査にも影響を及ぼす可能性があることを忘れてはいけません。
確定申告を忘れずに
10部屋以上の事業規模では確定申告は青色申告となり、青色申告特別控除(65万円の特別控除)を必要経費に計上することができます。
ただし、白色申告から青色申告に変更する場合は前年度に申請手続きが必要となるので、早めの準備を忘れずにしましょう。
法人化で得られるメリット・デメリットを確認
先ほども言った通り、法人化することで得られるメリットはたくさんあります。しかし、法人化として設立する際には相応の費用がかかります。
また、経費計上できるものの選択肢が増えるのもメリットではありますが、その分計算や書類準備などの労力は増えます。
「節税したいから法人化!」とすぐに結論を出すのではなく、現在の規模やキャッシュフローなどを含めてしっかり検討したうえで結論を出すようにしましょう。
節税のために無理をしてしまい、結果的にうまくいかなくなってしまっては本末転倒です。
アパート経営の税金や節税対策まとめ
アパート経営だけに限らず、不動産収入がある人は避けては通れない税金は種類も多く、仕組みも複雑なので慣れるまでは非常に大変かと思います。
しかし、アパート経営をするなら損をしないためにも各税金の計算の仕方、節税の仕方を知っておく必要があります。その際は、基本的に「なるべく経費計上を多くする」ことが鉄則です。
何が経費として計上できるのかをしっかりと把握し、出来る限り経費として計上することで所得額を減らし、課税額も減らすことができます。もちろん過度の計上はかえって問題となってしまいますので注意して下さい。
また、その他の税金に関してもすべてきちんと把握しておくことによって申告漏れなどを防げるので、「税金はなんだか面倒くさい」と思う方も多いかもしれませんが、アパート経営するうえでの必須なので把握しておきましょう。
そしてアパート経営をするうえで節税と同じくらい大切なのが、「信頼できる不動産会社と出会うこと」です。しかしアパート経営がはじめての方は、地元によほど顔の広い方でない限りはどの不動産会社が優良であるかわかりません。
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