新築で購入したマンションも、5年10年と年数が経過するにつれてどうしても汚れや傷などが目立ってきます。それだけでなく時にはドアなどの建て付けが壊れたり水回りの不具合なども出てきます。
しかし終の棲家として購入したマンションであれば、何十年もの長い間住み続けることになります。長い期間、快適に暮らすためには定期的なリフォームによるメンテナンスは欠かせません。戸建てであれば自由にリフォームしながら改修を重ねていくイメージがある一方で、マンションの場合リフォームと言うと馴染みがないように感じる方もいるでしょう。
しかしマンションの場合でも、戸建ての場合と同様にリフォームを定期的に行う必要があります。マンションは修繕積立を行っている物件が多いことからリフォームはいらないと思っている方もいるかもしれませんが、戸建ての場合と同じくマンションでもリフォームは必要です。
今回の記事ではそんなマンションのリフォームについて、相場だけでなくお得にリフォームする方法なども含めて詳しく解説していきます。マンションに長く住んでいる方、これから長く住み続ける予定の方はぜひお読みください。
マンションのリフォームとは?
マンションにおけるリフォームの相場を説明する前に、そもそもマンションでのリフォームとはどのような内容かについて説明をしていきます。一般的にリフォームと言うと建物そのものの構造などを改修するイメージを持っている方も多く、そのためリフォーム=戸建てというイメージがありますが、そうではありません。
一般的にリフォームとは、老朽化や経年劣化した部分を治したり交換したりすることを意味します。つまり、新築時の状態に戻すことがリフォームの目的であり、そのため原状回復工事などと言われることもあります。年数の経過や永年の使用によって痛んだ建物のマイナスをゼロに戻すことをリフォームと言います。
マンションの場合、リフォームの他に良く耳にする言葉として大規模修繕があります。大規模修繕とリフォームでは何が違うでしょうか。
大規模修繕との違い
大規模修繕とは大規模な修繕のことを言います。修繕の意味は年数の経過により劣化した部分を直したり、長期的に快適に利用出来るために行う工事のことを言いますから、リフォームと良く似た意味を持ちます。
しかしマンションにおいての大規模修繕とは、外壁や屋上などの共用部分に関する修繕のことを言いリフォームとは専有部分、つまり住居部分の修繕を意味するのが一般的です。
マンションの規模と工事の内容にもよりますが、大規模修繕は数千万円にもなる大きな工事になることもあり、そのため毎月修繕積立金を各所有者が負担して工事費に備えています。一方でリフォームの場合には、修繕積立金は使えませんので、それぞれの所有者が負担して工事費を捻出する必要があります。
専有部分と共有部分の違い
ここでマンションの専有部部と共有部分について説明をしておきます。マンションに住んでいる方やそうでない方でもご存知の方も多いかもしれませんが、専有部分は住居スペースを指し、共有部分とはエントランスや廊下・駐車場などの住民共通のスペースを指します。
参照:大和ハウスより抜粋
こちら図面で言えば青色の部分が専有部分になります。普段居住しているエリアの殆どが専有部分になり、このエリアについては自由にリフォームなどを行うことが可能です。クロスの張替や部屋の扉を変えたり、水回りを入れ替えたりなどがマンションでのリフォームにおいて多い項目です。
参照:大和ハウスより抜粋
こちらの図面でピンク色の部分が共用部分に当たります。意外に感じるのが、ベランダや窓ガラス・玄関扉などのサッシも共用部分になることです。共用部分については、原則個人でリフォームすることは出来ませんが、マンションによって違いもありますので規約を確認すると良いでしょう。特にベランダは共有部分でありながら、専有使用が出来る特殊なスペースです。専有部分と思ってしまいがちですが、火災などの際にベランダは緊急避難経路になることを考えれば共用部分と言えるでしょう。
リノベーションとの違い
リフォームと良く似た言葉に、リノベーションがあります。リフォームとは痛んだ建物などを現状回復することであることは先ほど説明も説明しましたが、リノベーションとは何が違うのでしょうか。リノベーションと聞くと、何となくリフォームをお洒落にしたようなイメージがあります。
リノベーションとは、建物を改装することで新しい価値を付加することを言います。例えば壁を無くして部屋を広くしたり、キッチンやお風呂などを新しいものにして、古いマンションを新しくすることを言います。新しい価値を付加するのがリノベーションなので、リフォームに比べると工事の規模が大きくなることが多いです。
築年数の古いマンションなどでも、リノベーションすることを前提に購入する方も多くいます。大規模なリノベーションをするにはそれなりにコストがかかりますが、それでも新築マンションを購入するより安く済む場合も多いです。理想の間取りや内装の部屋に住むためには、リノベーションも選択肢の一つと言えるでしょう。
マンションリフォームの相場<築年数別>
一口にリフォームと言っても、工事の内容は様々です。リフォームはこれまで説明してきたように経年劣化によるマイナスをゼロに戻す工事であるため、築年数によって相場は大きく変わってきます。ここでは、広さ70㎡のマンションの場合での一般的な相場について見ていきましょう。
築5年程度の場合
築5年程度の場合は、まだまだ設備も新しくハウスクリーニング程度で問題ありません。ハウスクリーニングの費用は5~7万円程度が一般的ですから、そこまで大きな金額にはなりません。
築10年程度の場合
築10年になると、もう少し大規模なリフォームが必要になります。特に費用のかかる箇所としては、室内のクロスがあります。一般的なクロスの張替時期としては使い方にもよりますが5~10年と言われています。70㎡程度のマンションの場合、室内全体のクロスの張替に必要な費用は40~45万円程度になります。クロスの張り替えにかかる費用は、天井を行うかどうかでも大きく変わってきます。
築15年程度の場合
築15年になると、水回りの一部でリフォームが必要になってきます。具体的には、給湯器やユニットバスなどが対象になります。給湯器は15年程度が寿命とされており、交換に必要な費用は約15万円が相場です。他にも15年を経過してくると、ユニットバスの交換も必要になってきます。ユニットバスを交換する場合は、平均で100万円程度の大きな費用が必要になってきます。
築20年程度の場合
築20年を経過すると、キッチンやトイレのリフォームを検討する時期でしょう。キッチンやトイレなどの水回りは普段のお手入れなどで交換時期は変わりますので、20年経過しても十分に使える場合もあれば、もっと早い段階で交換が必要な場合もあります。また、まだまだ使える状態であっても快適に暮らすために早めにリフォームをする場合もあります。一般的な費用はキッチンの交換で60万円~80万円、トイレの交換で10万円程度が相場です。
築25年程度の場合
築25年を経過すると、フローリングの張替が必要になります。フローリングの張替にかかる費用は、広さや材料などによって違いますが12畳の広さで30~40万円程度が一般的な相場です。この費用相場はフローリングからフローリングへと張り替える場合の相場で、畳の部屋やクッションフロアなどの床からフローリングへと張り替える場合はもう少し高くなります。
築年数 | リフォーム箇所と相場 |
5年 |
|
10年 |
|
15年 |
|
20年 |
|
25年 |
|
以上の費用を単純に合計すると、25年間の総額で約300万円程度のリフォーム費用が必要な計算になりますが、クロスなどは寿命を考えると一度ではすまない場合もあるでしょう。また25年ではなく30年単位で計算すると、クロスだけでなく給湯器とユニットバスは2回リフォームが必要と言えますから、450~500万円程度必要になります。
とても大きな金額で驚いてしまいますが、実際にリフォームを行った方の平均額を見ると納得できます。下記の表は実際にリフォームを行った方のアンケートを集計したものです。
参照:株式会社リクルート住まいカンパニー「2017年 大型リフォーム実施者調査」より抜粋
上記の表のように、リフォームの相場はマンションや戸建て、築年数によって大きく違います。しかし一般的に30年未満の自宅のリフォームを行う場合には、300~500万円程度の費用のケースが一番多くなっています。またマンションに比べると、戸建ての方がリフォーム費用が高いのも特徴です。
マンションリフォームの相場<広さ別>
ここまでは、築年数毎にマンションリフォームの相場を比較してきました。先ほど説明した築年数毎の費用相場は70㎡のマンションを例にしていますが、リフォーム工事の金額は広さによっても変わります。例えば、キッチンやトイレの交換費用にマンションの広さは関係ないですが、クロスの張替やフローリングの張替などは広さによって費用が違います。ここではマンションの広さ別に、リフォーム費用を比較していきましょう。
40~50㎡の場合
間取りで言うと、1LDKや2LDKなどが多い広さです。ちょっと贅沢な独身の部屋だったり、お子様がいないご夫婦や、お子様がまだ小さいご家庭などでも十分な広さです。この広さのマンションの場合だと、リビングの広さは12~16帖程度の広さが一般的でしょう。この広さのリビングをリフォームする場合、クロスの張り替えで7~10万円程度、フローリングの張り替えで25~35万円程度が相場です。クロスもフローリングも安価なものから良い材質まで幅があり、どのような材質を選ぶかで費用は変わりますが、ここで紹介するのは一般的な材質での相場です。
また注意が必要なのが、クロスの張り替えを天井まで行うかどうかです。この広さで天井も同時に張替を行った場合の費用は、10~15万円程度になります。ここで紹介している相場は12~16帖の部屋を行う場合の相場です。リビング以外の他の部屋も行う場合は、当然ですが費用は高くなります。
60~70㎡の場合
平均的なファミリータイプの広さです。間取りで言うと、3LDKが中心で、リビングの広さは16~20帖程度が一般的です。この広さのリビングのリフォーム相場は、クロスの張り替えで10~15万円、天井のクロスも行った場合は15~20万円程度、フローリングの張り替えで35~40万円程度です。ファミリーで住んでいる場合は、リビングだけでなく子供が使っている部屋なども傷みが激しい場合もありますから、その場合のリフォーム総額はより高額になります。
また、この間取りの場合だと和室のあるタイプも多いでしょう。畳の交換も和室におけるリフォームでは重要です。畳の交換にかかる費用相場は、6畳の部屋で7~8万円程度ですが、良い材質の畳を使えばさらに高額になります。
80㎡以上の場合
高額な物件などであれば80㎡を超える物件も珍しくありません。中には200㎡や300㎡という、家の中でパーティーが出来るほどの広さのマンションも存在します。ここまでのグレードのマンションになると、使っている材質も高級なものが中心ですから、費用もとても高額になります。
また、物件によってはトイレやバスルームが複数あるため、水回りの交換にかかる費用もその分かかります。マンションによってはフローリングの防音性能などや使用する材質、工事業者なども指定されている場合もありますからリフォームの前に規約を確認しておくと良いでしょう。
マンションリフォームの注意点
戸建てであればいつでも好きなように間取りの変更やリフォームをすることが出来ますが、マンションの場合はそうはいきません。マンションは一つの建物にたくさんの方と共同で生活していますから、リフォームを行う場合にはその点に配慮する必要があります。マンションをリフォームする際の具体的な注意点について見ていきましょう。
近所への挨拶は必要?
マンションリフォームのトラブルで多いのが、ご近所とのトラブルです。リフォームは基本的には専有部分の工事ですから、周囲には関係ないと思ってしまいがちですが、工事中はどうしても騒音や臭いが発生します。また工事業者の出入りも頻繁にありますし、工事用車両の出入りも必要になります。マンションの駐車スペースは余裕のない物件も少なくなく、駐車違反のスペースに止めてしまってトラブルに発展してしまうケースもあります。
このようにリフォームをすることで周囲へも迷惑をかけることになりますから、リフォーム工事の始める前には必ず近隣の方には挨拶をしておきましょう。遅くとも工事の始まる一週間前には挨拶をして、騒音などでご迷惑をおかけする旨をお詫びしましょう。挨拶はマンションの場合は両隣だけでなく、上階や下階の方にも忘れずにしておきましょう。挨拶に伺う際は手土産などは不要ですが、下記の点をきちんと伝えておきましょう。
- リフォーム工事の内容
- リフォーム工事の期間
- 実際に業者が出入りして作業を行う日程(曜日)や時間帯
- 何かあれば連絡してほしい旨
工事業者が挨拶をする場合も多いですが、業者まかせにするのではなくまずは自分で挨拶をして、その後に工事業者に挨拶をしてもらうようにすると良いでしょう。
管理組合への相談は必要?
全てのマンションには管理組合があり、マンションを購入した方は必ず管理組合に加入をします。管理組合には管理規約という規約があり、皆が快適に暮らせるように建物の使用に関するルールが定められています。管理組合や規定の制定については、区分所有法という法律に基づいて決められています。そしてその管理規約には、専有部分のリフォームに関する規定が決められていることが殆どです。
◆区分所有法
マンションの住民が快適に暮らせることを目的として定められた法律。共用部分や専有部分の使用におけるルールや、管理組合の設置や規約、規約を違反した人への措置などが定められています。 |
物件によっては、工事の前に管理組合に申請書の提出などが必要な場合もあります。工事の内容や工程表などを添えて、管理組合に提出をして工事の許可を取らなければ工事をすることが出来ません。ここまで厳しくしている背景には、住民同士のトラブルを防ぐことや共用部分への影響などを確認して、建物の価値を維持するためです。
リフォーム工事が決まったら、まずは管理組合に相談して規約を確認するようにしましょう。
マンションリフォームをお得に行うには?
ここまで説明した通り、リフォームを行うにはとても大きな費用がかかります。多くの方が適切にリフォームを行って、建物の価値を高めることで不動産市況の活性化に繋がったり、災害時の安全を確保できることにもつながります。そのため、リフォーム工事が円滑に行えるように、国や自治体から資金面での補助制度が制定されています。これらの制度を使うことによって、リフォームをお得にすることが出来ます。
お得な制度には、大きく2種類あり補助金と優遇税制があります。
補助金を活用する
まずはリフォームに関する補助金制度を見ていきましょう。補助金の制度には国が行っている制度や自治体が行っている制度など種類が豊富です。リフォームの内容によって使える制度も違いますので、よく制度を確認しておきましょう。
次世代住宅ポイント制度
次世代住宅ポイントとは、令和元年10月の消費税増税に合わせて導入された補助金の制度です。住宅の新築や購入だけでなく、リフォーム工事も補助金の対象となっており、工事の内容などによって様々な商品と交換することが出来るポイントがもらえ、最高で60万ポイントが支給されます。こちらの制度を利用するには、2020年3月末までの期間に申請する必要があります。
対象となるリフォーム工事も様々で、例えば断熱性を高めるために窓を交換したら7,000ポイントだったり、エコのためにトイレを節水型のものに交換したら16,000ポイントのようにリフォームの内容ごとにもらえるポイントが決まっています。また40歳未満の若者や、18歳未満の子供がいる子育て世帯の場合はもらえるポイントが多い設定されているのも特徴です。
省エネ改修(断熱リノベ)補助金
こちらは国が行っている補助金制度で、高性能な建材を使って自宅の断熱性能を高めるリフォーム工事や、次世代建材と言われる高断熱パネルなどを設置する工事を行った場合に補助金が支給されます。工事の内容や、戸建てかマンションかで補助金の上限は違いますが、マンションの場合は下記の通りです。
断熱リノベ(高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業) | 次世代建材 (次世代省エネ建材支援事業) |
補助対象リフォーム費用の1/3かつ、15万円が上限 ※戸建ての場合は120万円 |
補助対象リフォーム費用の1/2かつ、125万円が上限 ※戸建ての場合は200万円 |
導入する材料や設備などは、自由に選べるのではなく一般社団法人環境共創イニシアチブが指定した建材を使用する必要があるので注意が必要です。こちらの制度は応募できる期間や工事期間が決められています。利用を検討する場合は、ホームページなどでスケジュールをチェックしましょう。
その他の補助金制度
この他にも制度はたくさんありますが、代表的なのが各自治体が独自に行っている補助金制度です。各自治体も国と一緒になって、省エネ工事や耐震補強などを行って性能の良い住宅を普及させようとしているため、補助金や利子補給などの制度を作っていることろがあります。リフォーム工事を行う場合は、こちらのホームページなどでお住まいの自治体の制度について調べてみると良いでしょう。
また利用するには条件がありますが、介護保険でも住宅改修の助成金制度があります。こちらの補助金は最大18万円を上限として、階段に手すりをつけたりバリアフリーにしたりなどの改修工事を行った際に補助金が支給されます。こちらの制度を利用する場合、申請先は各自治体になります。
リフォームに関する補助金制度を利用する場合、制度の内容と申請方法をよく確認することが大切です。制度によっては工事に入る前に申請をしておかないと、補助金が支給されない場合もあります。また工事に使用する建材や設備、業者や工事のスケジュールなどが細かく決められていることもあります。申請も施工業者が行う場合や、自分で行う場合もあります。内容をよく確認して、支給が受けられないということにならないよう気を付けましょう。
優遇税制を活用する
お得にリフォームをする方法のもう一つは、優遇税制を活用する方法です。リフォームによる質の高い住宅を増やすことを後押しするため、各種税金において減税などの優遇制度が用意されています。リフォームに関する優遇税制を見ていきましょう。
所得税
まずは所得税に関する減税制度です。住宅に関する減税制度と言えば、住宅ローン減税が有名です。実際ローンを組んで住宅を購入される方の殆どが利用しています。実はその住宅ローン減税は、リフォームの場合にも使うことが出来ます。住宅ローン減税と同じようにリフォームでローンを利用することで、毎年のローン残高の1%が10年間所得税から控除されます。住宅ローン減税を利用する場合、ローンの借入期間が10年以上必要である点も同じです。
これとは別に、リフォームローン減税という制度もあります。リフォームローン減税と住宅ローン減税との違いは大きく3つです。ローンの借入期間が5年以上であること、リフォームの内容が省エネやバリアフリーなどの決まりがあること、そして控除額と控除のうけられる期間が違うことの3点です。控除額は省エネなど一定の工事に関する借入の残高は2%、それ以外の工事に関する残高については1%の控除が5年間受けることが出来ます。
この二つの制度はローンを組むことが利用条件の一つでしたが、ローンを組まなくても優遇税制を受けられる制度もあります。投資型減税と言われる優遇税制で、省エネや耐震などの一定の工事をした際に、工事額の10%が1年だけですが所得税から控除される制度です。
リフォームの種類 | 住宅ローン減税 | リフォームローン減税 | 投資型減税 |
①バリアフリー | 年末のローン残高×1%
控除期間:10年 最大控除額:400万円 |
年末のローン残高×2%
(⑤⑥の残高は1%) 控除期間:5年 最大控除額:62.5万円 |
最大控除額:20万円 |
②省エネ | 最大控除額:25万円 | 特になし | 特になし |
③同居対応 | 最大控除額:25万円 | 特になし | 特になし |
④長期優良住宅化 | 最大控除額:25万円 | 特になし | 特になし |
⑤耐震 | ①~④と併用で利用可能 | 最大控除額:25万円 | 特になし |
⑥その他のリフォーム | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
ローンの要件 | 借入期間10年以上 | 借入期間5年以上 | 現金でもOK |
③の同居対応とは、親・子・孫の三世代が同居するためのリフォーム工事を言います。④は住宅の性能を向上させて、長期優良住宅の認定を取得した場合に利用が出来ます。
固定資産税
マンションなどの不動産を保有している場合、毎年保有している不動産の評価額に応じた固定資産税を払わなければいけません。一定の要件に該当するリフォーム工事を行った場合、各市町村に申請をすることで1年間だけですが、下記の通り固定資産税が優遇されます。
耐震 | バリアフリー | 省エネ | 長期認定優良住宅 | |
軽減額 | 固定資産税額の1/2 | 固定資産税額の1/3 | 固定資産税額の1/3 | 固定資産税額の2/3 |
適用範囲 | 家屋面積120㎡まで | 家屋面積100㎡まで | 家屋面積120㎡まで | 家屋面積120㎡まで |
固定資産税の優遇を受けるには、工事が終わってから3ヶ月以内に申請が必要です。うっかり申請を忘れてしまわないよう気をつけましょう。
贈与税
他人から金銭などをもらった場合は、その金額に応じて贈与税を払わなければいけません。しかし住宅の購入やリフォームをするための資金として、親や祖父母から金銭の贈与を受けた場合に限って、下記の金額までは贈与税が非課税になります。
期間 | 質の高い住宅 | 一般の住宅 |
平成31年4月~令和2年3月まで | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月~令和3年3月まで | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月あら令和3年12月まで | 1,200万円 | 700万円 |
質の高い住宅とは、下記に該当する住宅のことを言います。
- 断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物の住宅
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅
この制度を受けるには、贈与を受けた翌年の3月15日までに税務署に申告が必要になります。他にも、リフォームを行った物件の床面積が50㎡~240㎡であったり、床面積の半分以上が居住用であるなどの要件があります。こちらの制度も利用する場合は国税庁のホームページで確認しましょう。
またここで紹介している以外にも、中古住宅の購入と同時にリフォームを行った場合も優遇税制があります。主に物件の取得に関する登録免許税と不動産取得税が優遇される制度です。こちらもリフォームに関連した優遇税制ですから、ぜひ合わせて確認しておきましょう。
リフォームローンを上手に使う
これまで説明したようにリフォームに関する税金の優遇や補助金などはたくさんあります。制度を利用してお得にリフォーム工事をすることが出来ますが、やはり高額な工事であることには変わりありません。そのため、リフォーム工事の際にはローンを利用するケースも多いです。ここでは各金融機関のリフォームローンについて見ていきましょう。
リフォーム費用をローンで借りる際、大きく二つの種類に分けることが出来ます。その2種類が、住宅ローンとリフォームローンです。
住宅ローンと言うと住宅の新築や購入の際にしか使えないイメージがありますが、実はリフォームだけでも借りれる金融機関もあります。住宅ローンと同じ条件で借りることが出来ますから借入できる金額や、金利や期間などもリフォームローンよりも条件が良いのがメリットです。更に借入期間が10年以上であれば、住宅ローン控除も利用出来ます。デメリットは、自宅に担保設定が必要になることです。そのため、自宅の担保評価によっては審査が通らない場合もあります。
リフォームローンのメリットは担保設定が不要なことです。お手軽に借りることが出来るので、あまり金額の大きくない場合などは便利でしょう。デメリットとしては、金利や借入期間などは住宅ローンの条件と比較すると悪くなります。
種類 | 住宅ローン | リフォームローン |
借入可能金額 | 1億(上限) | 500~1,000万円 |
借入期間 | 35年 | 10~15年 |
借入金利 | 0.4~1.0%(変動金利の場合) | 2~4%(変動金利の場合) |
使える減税制度 | 住宅ローン減税 | リフォームローン減税 |
担保設定 | 要 | 不要 |
団体信用生命保険 | 付いている | 付いていない場合もある |
借入金額が大きな場合などは、住宅ローンの方が良いでしょう。しかし実際には既に持っている自宅のリフォームを行う場合、住宅ローンを借りている場合が殆どです。その場合は既に自宅に担保設定がされている訳ですから、リフォームローンしか利用出来ない場合の方が多いです。
リフォームローンの金利一覧
それでは、各金融機関のリフォームローンの条件を比較していきましょう。リフォームローンは殆どの銀行などで取り扱いがありますから、その一部を紹介します。
金融機関 | 借入金額 | 借入期間 | 借入金利 | 特徴 |
三菱UFJ銀行 | 1,000万円以内 | 15年以内 | 1.99~2.875% |
|
りそな銀行 | 1,000万円以内 | 15年以内 | 2.0~3.975% |
|
住信SBIネット銀行 | 1,000万円以内 | 10年以内 | 2.475%~4.475% |
|
イオン銀行 | 500万円以内 | 10年以内 | 2.45%(固定) |
|
中央労働金庫 | 2,000万円以内 | 20年以内 | 2.0~3.275% |
|
オリエントコーポレーション | 500万円 | 7年以内 | 4.8% |
|
ジャックス | 500万円 | 15年 | 3.4% |
|
このようにたくさんの金融機関がリフォームローンの取り扱いをしています。銀行だけでなくオリエントコーポレーションやジャックスのような信販会社でも取り扱っており、金利は銀行に比べると高めですが手続きが比較的ラクなのと、審査が柔軟なのが特徴です。
また借入金額が大きくなる場合は、団体信用生命保険の有無もチェックして選ぶようにしましょう。
マンションリフォームのまとめ
今回、マンションリフォームについて下記の内容を中心に解説をしてきました。
- リフォームとは、年数の経過や使用によって痛んだ箇所を当初の状態に戻すこと
- 築年数に応じて、必要なリフォーム費用が違う
- 新築から30年間のリフォーム費用総額は、300~500万円程度が一般的な相場
- マンションの広さによってもリフォーム相場は違う
- マンションでリフォームをする場合、管理組合への相談と近所への挨拶は必ずすること
- リフォームにはたくさんの補助金制度や優遇税制が制定されている
- 各種制度を活用することでお得にマンションリフォームを行うことが出来る
- リフォームのローンには、住宅ローンとリフォームローンの2種類がある
- リフォームローンの方が担保が不要の代わりに借入条件が悪い場合が多い
マンションに長く快適に暮らすためには、やはりリフォームは欠かせません。最近では省エネや断熱など性能の良い設備や建材もどんどん開発されており、リフォームによって自宅の性能を高めることが出来るようになっています。
更に将来的にマンションを売却をすることになった場合でも、リフォームなどをきちんとしている物件の方が高く売れます。
マンションを売却する際には、まず下記のような一括査定サイトを利用すると良いでしょう。マンションの相場を知ることで、売却の際の交渉も有利に行うことが出来ます。