不動産の売却を決意したら、まず売主は必要な書類を欠けることなく用意しなくてはなりません。しかし、不動産の売却をしたことがない人にとっては用意すべき書類が分からないのではないでしょうか。
書類の種類一つとっても、不動産業者に提出するものと買主に提出するものを合わせたら多くの書類を用意することになります。しかも手に入るまでに時間を要する書類も含まれているので、事前に必要書類を把握して行動した方がスマートに不動産を売却することが可能です。
そこで今回は不動産の売却時に必要な書類について、詳しく解説していきます。
不動産売却に必ず必要な書類一覧!
まずは、売却時に不動産会社に提出する書類から見ていきましょう。
最低限揃えておくべき書類は以下の通り、全部で17種類あります。
- 登記済権利証
- 間取り図・測量図
- 固定資産税納税通知書
- 実印・印鑑証明書
- 身分証明書
- 建築確認済証・検査済証(戸建ての場合)
- 地積測量図、境界確認書(土地の場合)
- 利用規約(マンションの場合)
- 固定資産税評価証明書
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
- 建築設計図書・工事記録書
- マンションの使用細則・維持費についての書類
- 身分証明書
- 実印・印鑑証明書
- 住民票
- ローン残高証明書
- ローン返済予定表
戸建てやマンション、土地などの違いから用意する書類が少し異なってきますが大体は同じものになります。
この17種類の書類を、不動産会社に売却する際に必要な書類と買主に物件を渡す際に必要な書類に分類分けした上で一つずつ詳しく解説していきます。
不動産会社に売却する際に必要な書類一覧と取得方法!
まずは不動産会社に売却する際に必要な書類をみていきましょう。
物件の受け渡し時に受け取ったものも多く、現在はどこにあるのか分からないといった書類もあると思います。もし手元にない場合は、取得方法を参考にしてください。
登記済権利証(登記識別情報)
この書類は、登記名義人がその物件の所有者であることを証明するものです。権利証というとピンとくる人も多いのではないでしょうか
不動産の買い手が見つかり、売却するときにこの登記済権利証を買主に渡します。そして、買主が移転登記を完了すると不動産の所有者を買主に移せます。
取得方法
法務局が登記名義人に対して交付する書類です。不動産登記が完了したタイミングで交付されるため、再交付は不可能です。大事に保管してください。
万が一、紛失してしまったときには、権利証の代わりになる本人確認資料というものがあります。これは、法務局に申請すると用意してもらえます。
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
新耐震基準が導入される以前の中古物件を取引する場合、耐震診断を受けていれば報告書を提出します。
アスベスト関係の調査を受けている場合も同じく提出しましょう。
取得方法
これらの診断や調査は義務付けられているものではありません。
したがって、書類があってもなくても診断や調査が行われていてもいなくても、その旨を説明すれば十分です。よって、無理に取得しなくてもいい書類となります。
固定資産税納税通知書
固定資産税の確認、移転登記時の登録免許税の計算をするために提出する書類です。毎年の1月1日に不動産の所有者に課税される固定資産税の内訳が書かれています。
取引が行われた際、取得する時期により調整が行われ、売主に納税額の一部が返金されます。そのための納税額などを正しく把握するために必要な書類です。
取得方法
その年の1月1日時点での物件の所有者に送られます。毎年4月くらいに市役所が送りますが、紛失した際に再発行ができないので気をつけましょう。
もしこの固定資産税納税通知書を紛失してしまった場合は、下記の固定資産税評価証明書が代わりとなります。市役所で受け取ることが可能です。
固定資産税評価証明書
この書類も固定資産税納税通知書と同様に、固定資産税の確認、移転登記時の登録免許税の計算をするために用意しなければならない書類です。
ただし、固定資産税は各地方自治体に納税するので、書類の呼び方や様式が違うケースがあるので注意しましょう。
取得方法
市役所で受け取ることが可能です。
建築設計図書・工事記録書
売却する物件がどのように設計され、建設時にどのような作業が行われたかを確認するためのものです。
一戸建ての売買で用意します。信用できる物件であることの証明にもなりますし、この書類に記載されている情報はリフォームをする際に役に立ちます。
取得方法
物件の引き渡し時に受け取ります。これらは建設工事を担当した建設会社が保管しているので、万が一紛失したときには問い合わせましょう。
間取り図・測量図
一戸建てやマンションの各部屋の間取りと、該当する土地を測量した際の結果が記載された書類です。
中身が分からない商品を誰も買おうとはしません。取引相手に商品の情報をきちんと知ってもらうための書類です。
取得方法
通常は物件の購入と同時に渡されています。見つからなければ、登記所で発行してもらえます。
地積測量図、境界確認書(土地の場合)
土地を売却する際に用意する書類です。地積測量図とは、土地の面積、境界線の測量の証明書になります。境界確認書とは、隣接する土地と土地の境界をはっきりさせるために測量を行い、その結果から確定した境界を証明する書類のことです。
この書類に記載されたものと同じ内容が謄本にもありますが、情報が昔のものでトラブルの原因になるケースもあります。取引の際には現在の土地の測量を依頼しなければなりません。
取得方法
土地を取得したと同時に渡してもらっています。万が一紛失した場合は、測量士や土地家屋調査士に調査依頼をすれば大丈夫です。
利用規約(マンションの場合)
こちらはマンションを売る際に用意する書類です。この利用規約とは、マンションに住むためのルールが記されたものになります。買主が購入のための判断材料の一つとする書類になるので、準備しておきましょう。
取得方法
マンションの住人全員に配布されています。冊子で受け取るケースがほとんどです。手元になければ、管理組合に問い合わせてコピーをもらいましょう。
マンションの使用細則・維持費関連書類
売る際に用意しなければなりません。マンションに住む住人と共通のルールを知っておくための書類になります。ゴミ出しのルールや駐車場の使い方など、知っておくべき内容が書かれています。
マンションを買った人が、知らない間に決まりを守らずトラブルに発展することがないようにしてあげましょう。
取得方法
物件の引き渡しのときに受け取っています。万が一紛失してしまった場合には、マンションの管理会社へ問い合わせて引渡しまでの間で再発行を依頼しましょう。
建築確認済証・検査済証(戸建ての場合)
一戸建ての取引のときに用意します。建築確認済証とは、その一戸建てが建築基準法にある基準を満たしているという内容の書類になります。一方の検査済証は、現地で行われた検査で適合と判断されたという内容の書類です。
取得方法
物件の引き渡しと同時に受け取っている書類です。紛失等の理由があっても再発行はされません。もし紛失した際は、市役所の建築指導課の窓口で台帳記載事項証明書をお願いしましょう。
ここまでが不動産売却に必ず必要な書類とその取得方法になります。条件の違いなどから、これら以外の書類が必要になるケースもあります。とりあえず、ここで紹介した書類は最低でも用意しておいた方がいいでしょう。
買主に物件を渡す際に必要な書類一覧と取得方法!
次は、買主に物件を渡す際に必要な書類です。売主個人の情報を伝えるものが多いので、前章の『不動産会社に売却する際に必要な書類』よりは書類も揃えやすくなっています。
身分証明書
わざわざ解説することでもないかもしれませんが、保険証などの本人が確認できるものです。ちなみに、物件の持ち分が共有であれば、全共有者の本人確認ができるものを用意しなければなりません。
実印・印鑑証明書
登記に関する書類には、実印を押印します。その印鑑が実印であるという内容が書かれた書類が印鑑証明になります。
身分証明書と同じく、共有の持ち分があればすべての共有者の実印と印鑑証明を用意しなければなりません。なお、印鑑証明の有効期限は3カ月なので気をつけてください。
取得方法
市役所の窓口で受け取れます。
住民票
物件の所在地と、売主の住む住所が一致してないときに用意します。この住民票も、有効期限が3カ月です。
取得方法
住民票のある市役所の窓口で受け取れます。
ローン残高証明書
ローンの完済前に取引をする場合に用意しなければなりません。先方にローンの状況を知らせるだけではなく、売主が不動産を売ってからのローン返済が問題ないことを証明するために用意します。
ローン返済予定表
ローン残高証明書の紛失等の理由から、代わりの書類を提出する際に用意しましょう。このローン返済予定表にもローンの残債が書かれています。よって、この書類がないときの代わりとして提出できます。
買主に物件を渡す際に必要な書類はこのくらいですね。用意したと思っていた書類が実は用意できていなかったなどの小さなミスを防ぐためにも、チェックリストを作るなどの対策は必要です。
不動産売却で用意しておくとよい書類
不動産売却に必ず必要な書類をここまで紹介してきました。思った以上に多かったのではないでしょうか。続いては、必ずしも必要ではないが用意しておくとよい書類を解説します。
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
3つとも、物件の対リスク性や性能を証明するものです。地盤調査報告書とは、該当の土地の地盤調査を行った結果をまとめた報告書です。
土地の地形、地学的な状況、地盤調査を行った結果、考察、調査写真など色々と書いてあります。
住宅性能評価書とは、住宅性能表示制度に基づき発行されます。国が定めた基準により、住宅を簡単に比較することができる制度を「住宅性能表示制度」といいます。
住宅の性能が数値化されているため、住宅購入時の判断材料として使われます。また、住宅性能表示制度を利用した住宅は、住宅ローンの優遇や保険料の割引を受けることが可能です。
既存住宅性能評価書とは、中古の住宅が対象の住宅性能評価書です。3つとも、物件のリスクに対する性能や物件の機能を証明するものとなっています。よって、買い手に物件の性能を上手く伝えることができます。
購入時の契約書・重要事項説明書・パンフレットやチラシ広告
これらには、不動産の内容、取引条件、告知事項など売買契約に必要なことが書かれています。重要事項説明書とは、重要事項説明の場で渡された書類のことです。
その説明書を基に、宅地建物取引主任者によって説明があったと思います。これらを用意しておくことにより、提出を求められた時にも買い手に好印象を持ってもらうことができるでしょう。
銀行口座書類・通帳
不動産の取引では、当然ながら金銭の受け渡しが発生します。そのために必要なものが、銀行口座に関する書類と通帳です。通常、高額の取引には銀行口座を使用する場面が多くあります。
口座に関する情報を誤って伝えてしまえば、金銭が振り込まれることはありません。そのような事態を回避するためにも、事前に揃えておいたほうがいいでしょう。
不動産売却の書類は早めに揃えることが大事
不動産売却に必要な書類を解説してきました。予想以上に多くて驚いた人も少なくないと思います。必要な書類が多いからこそ早めの取りかかりが重要です。
直前の用意になってしまった場合、手元にあると思っていた書類が見当たらないなどのトラブルが発生し、最悪売りたいときに売れない事態にもなりかねません。不動産の取引もスピードが命といえます。
もし分からないことがあったときは、不動産業者に小まめに相談することも取引をスムーズに行うコツです。しかし、その際の不動産業者選びの時点でつまづいている人も多いかと思います。
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