中古マンションを購入するにあたり、どんな書類を用意したり、どのくらい手続きの期間を予定しておけばいいのかなど知識がなければわかりません。
そこで本記事では中古マンション購入手続きの流れや期間、購入時や購入後にかかる税金について徹底解説していきます。
中古マンション購入を検討されている、もしくは検討しようかなと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
中古マンション購入手続きの流れと期間
自分たちの好きなようにリノベーションを楽しむことができると人気の中古マンション。
そんな人気の中古マンションですが、購入となると人生に一度あるかどうかです。どのように購入手続きすればいいのか、購入するまでの流れと期間を解説していきます。
①:情報収集・資金計画の作成
中古マンションを購入するには、まずどんな物件があるのか情報収集からスタートします。それと同時進行で資金計画の作成も行います。購入するにはある程度の予算を決め、その範囲内で購入できる物件やローンの返済額を知っておくことがポイントです。
住宅ローンとして借りれる額は年収の5~8倍が目安ですが、これはあくまでも目安。より具体的な借りれる額を計算する式がありますので、それを参考に実際に計算してください。
その借りれる額にプラス頭金となる貯金の合計があなたが購入できる金額の物件となります。そのため、家族でよく話し合いましょう。
家族編成があった時に対応できる間取りはどのくらいか、立地や周辺地域の環境、月に返済するローンの金額はこれで大丈夫なのかなどさまざまな角度から話し合ってください。この話し合いをしっかりしなければ、あとで大変な事態を招くことになります。
住宅ローンの融資額の計算式
借りることができる金額=(1年間の収入×返済負担率-他での1年間の返済額)÷12ヶ月÷(審査金利での100万円あたりの返済する額)×1,000,000円
【1年間の収入別】一般的な返済負担率
返済負担率
~299万円 | 25%以下 |
300万円~399万円 | 30%以下 |
400万円~699万円 | 35%以下 |
700万円~ | 40%以下 |
審査金利での100万円あたりの返済する額
審査 金利 |
返済する期間 | |||||
10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | |
1.0% | 8,761 | 5,985 | 4,599 | 3,769 | 3,217 | 2,823 |
1.5% | 8,980 | 6,208 | 4,826 | 4,000 | 3,452 | 3,062 |
2.0% | 9,202 | 6,436 | 5,059 | 4,239 | 3,697 | 3,313 |
2.5% | 9,427 | 6,668 | 5,300 | 4,487 | 3,952 | 3,375 |
3.0% | 9,657 | 6,906 | 5,546 | 4,743 | 4,217 | 3,849 |
3.5% | 9,889 | 7,149 | 5,800 | 5,007 | 4,491 | 4,133 |
4.0% | 10,125 | 7,397 | 6,060 | 5,279 | 4,775 | 4,428 |
物件の情報収集は、「インターネットでの物件検索」「不動産仲介業者」でできます。希望額、希望間取りや立地、交通の便などと照らし合わせ、3,4件程度まで絞り、内覧予約までしておきましょう。
物件によっては複数扱っているものもありますので、その中で一番希望額に近い不動産会社に内覧予約をしておくと◎。
②:購入申し込みおよび住宅ローン事前審査
内覧も終わり、希望の物件と巡り合えたら、いよいよ物件の購入申し込みをしましょう!それと同時に住宅ローンの事前審査も開始してOKです。
中古マンションは価格交渉が前提なので、交渉権を得るためにも申し込みを急ぎライバルに勝ちましょう。ここまでにかかる期間は1ヶ月程度になります。
③:売買契約および住宅ローン契約
交渉の末、双方納得いけば売買契約へと進みます。売買契約をする際、行う手続きがあります。
その手続きは主に以下の3つです。
- 購入する物件の重要事項説明
- 売買契約を結ぶ
- 手付金支払い
重要事項説明は購入する物件に対しての説明とマンションのルール説明、売買契約は契約内容の確認作業→契約を結ぶ作業になり、これらすべての手続きはすべて不動産仲介会社で行われます。
所要時間は2~3時間程度になり、この時に手付金の支払いも一緒に行います。手付金の支払いは「現金」「小切手」で、購入する額の5~10%が手付金として支払います。
手続きの際に必要なものは、以下のものになりますので、こちらも事前に用意しておきましょう。
- 印鑑(銀行印や実印が望ましい)
- 本人確認ができるもの(公的機関発行のものが望ましい)
- 手付金(小切手が望ましい)
- 印紙代
- 仲介手数料の半額
契約が無事終われば、急いで住宅ローンの本審査に駒を進めましょう。審査は早くて1~2週間程度、長くても1ヶ月で終わりますが、不備など事件が発生した場合は1ヶ月以上と期間が伸びてしまいます…。
書類のチェックは厳しめにお願いします。しかし、ローンが通るまでは油断せず、落ちたことを想定して素早く動けれるよう策を講じておくことも大切です。何事もなくローンに通れば、住宅ローンの契約を行います。
④:決済および引き渡し
住宅ローンの契約も終わり、お金を借りることができる体制が整えば、あとは残りの決済と引き渡しへとなります。
決済および引き渡しは、基本的に住宅ローンを契約した金融機関で行われ、出席者は売主、買主、不動産仲介業者、銀行担当者、登記をしてくれる司法書士です。
所要時間は1~2時間程度になります。引き渡し当日の手続きは、以下の内容になります。
- 登記手続きの委任
- 融資実行
- 売買代金支払い
- 諸費用(司法書士への報酬、印紙税、登記費用など)支払い
- 固定資産税・管理費・修繕積立金の精算
- 管理規約・住宅設備の取扱説明書など関係書類の受取
- 鍵の受取
固定資産税、管理費、修繕積立金は日割り計算され、清算します。諸費用もこの時に一緒に清算するので、いくらかかるから予め不動産仲介業者に尋ねておくと◎。
支払い方法は現金で支払いましょう。決済時に必要なものは以下になりますので、準備しておきましょう。
- 印鑑
- 印鑑証明書
- 本人確認ができる書類(公的機関発行のものが望ましい)
- 住民票
- 通帳・届出印・キャッシュカード(ローンを組んだ金融機関のもの)
- 残りの売買代金(手付金を除く)
- 諸費用(残りの仲介手数料・登記費用など)
- 固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金の精算金
すべての手続き、および決済完了したら、これにて購入手続きは終わりです。
⑤:リノベーションする場合はその分余裕をもって計画する!
中には、マンションのリノベーションを考えている方もいるでしょう。リノベーションをする際は工事の手続きも加わるため、購入のみより時間がかかるので、契約する前までにリノベーション計画をある程度固めておきましょう。
工事をお願いするのは住宅ローンの本審査前にするのが基本です。入居前にリノベーションをやっておく良い点として、以下の点が挙げられます。
- 入居までの時間を短縮できる
- ローンをまとめて組め、審査の手間が減る
- 諸費用の1本化
そのためにも、リノベーションの計画や費用の見積もりは本審査までに必ず準備しておきましょう!
中古マンション購入する時にかかる税金
中古マンションなどの不動産は購入時税金がかかります。どんな税金で、どのくらいお金がかかるのかある程度知っておくことは大切なことです。
税金の中には軽減できる方法もありますので、その方法を活用し、上手に払う税額を抑えましょう。ここでは、購入時にかかる税金や軽減される方法を紹介していきます。
不動産取得税
じつは不動産を購入するには、建物自体の金額以外にもお金を支払わなければならないのです。それが不動産取得税という税金です。不動産取得税は、その名の通り、不動産(土地や建物など含む)を購入した時のみに発生する地方税のことです。
納税額は不動産の固定資産税評価額によって異なります。不動産取得税は、「固定資産税評価額×4%」で計算できます。
不産取得税の支払いは、入居してから半年以降に自治体より「納税通知書」が送られてきますので、指定日までに支払いましょう。
不動産取得税の軽減措置
不動産取得税には、税金を軽減できる措置があります。しかし、この措置を受けるにはある一定の条件が必要になります。
- 自分自身が住むための住居
- 床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下
- 1982年1月1日以降の物件、もしくは新耐震基準に適合していると証明された物件
マンションの床面積は、エントランスなどの共有部分と自身が所有するマンション一室の専有部分を部屋数に応じて按分した合計面積になります。控除される金額は、以下のようになっています。
新築した日 | 控除される金額 |
1997/4/1以降 | 1,200万円 |
1989/4/1~1997/3/31 | 1,000万円 |
1985/7/1~1989/3/31 | 450万円 |
1981/7/1~1985/6/30 | 420万円 |
1976/1/1~1981/6/30 | 350万円 |
1973/1/1~1975/12/31 | 230万円 |
1964/1/1~1972/12/31 | 150万円 |
1954/7/1~1963/12/31 | 100万円 |
印紙税
不動産を購入する際、契約書などを作成しますが、その時にかかる税金が印紙税です。契約書を作成するにもタダではありません!中古マンションを購入する時には、以下の文書に印紙税がかかります。
- 購入時に必要な「不動産売買契約書」
- 住宅ローン契約時に必要な「金銭消費貸借契約書」
印紙税の支払いは、指定された場所に印紙収入を貼り、消印をすることで支払い完了です。複数文書を用意する場合でも同じように貼り、支払います。印紙税は金額によって違いますので、一覧表を参考にしてください。
「不動産売買契約書」にかかる印紙税(1通あたり)
購入金額 | 印紙額 |
~500万円 | 2,000円 |
~1,000万円以下 | 1万円 |
~5,000万円以下 | 2万円 |
~1億円以下 | 6万円 |
~5億円以下 | 10万円 |
「金銭消費貸借契約書」にかかる印紙税(1通あたり)
購入金額 | 印紙額 |
~100万円 | 1,000円 |
~500万円 | 2,000円 |
~1,000万円以下 | 1万円 |
~5,000万円以下 | 2万円 |
出典元:国税庁
登録免許税
登録免許税は、不動産(土地や建物など含む)の登記や抵当権を設定する時の登記などの手続きにかかる税金のこと。中古マンションでは、以下の登記に登録免許税がかかります。
- 所有権移転登記
- 抵当権の設定登記
登録免許税の支払いは、住宅ローンでお金を借りる際に一緒に支払うケースが多いです。
所有権移転登記にかかる登録免許税は、建物の税額は「固定資産税評価額×2.0%」、土地の税額は、2021/3/31までは「固定資産税評価額×1.5%」、それ以降は「固定資産税評価額×2.0%」で計算できます。
抵当権の設定登記の登録免許税は、「固定資産税評価額×0.4%」で計算できます。
登録免許税の軽減措置
登録免許税にも税金の軽減できる措置がありますが、こちらも受けるにはある一定の条件が必要になります。
- 自分自身が住むための住居
- 床面積が50平方メートル以上
- 取得後1年以内に登記
- 25年以内の築年数、もしくは25年超だが、建築士などが耐震診断をして、新耐震基準に適合していると証明された物件、もしくは既存住宅売買瑕疵保険に加入
- 2020/3/31までに住居の取得
条件を満たせば、所有権転移登記(建物)の税額は、「固定資産税評価額×0.3%」、抵当権の設定登記の税額は、「固定資産税評価額×0.1%」で計算されます。
消費税
消費税は、以下の条件でかかります。
- 不動産仲介業者を通して中古マンションを購入した時
- 仲介手数料
ただし、個人から直接中古マンションを購入する場合は消費税はかかりません。
仲介手数料(税込)の目安を知るためにも、仲介手数料の上限を知っておきましょう。「売買価格の3%+60,000円」が仲介手数料の上限になるので、そこに消費税10%をかけると仲介手数料(税込)が分かります。
中古マンションを購入したあとにかかる税金
購入したからと言って「はい、終わり!」ではありません。中古マンションを購入したあとも税金は発生します。この税金は持っている限り払い続ける税金です。では、どんな税金を払っていかないといけないのか詳しく解説していきます。
固定資産税
固定資産税は、不動産(土地や建物など含む)を持っている人が住んでいる自治体に対して払う地方税のこと。毎年1月1日時点で、固定資産課税台帳にその不動産を持っていることが登録されていれば、毎年払う義務があります。ただし、1月2日以降に不動産を持った場合は、その年の税金は基本課税対象にはなりません。
固定資産税の支払いは、決まった時期に住んでいる自治体より納税通知書が送られてきます。届いたら、一括、もしくは4期(支払日指定)に分けて支払いましょう。不動産によって固定資産税は変わります。
基本的に、「固定資産税評価税×1.4%(一般的税率)」で計算できます。しかし、税率は自治体によって異なりますので、問い合わせてみるほうが正確に算出できますよ。
都市計画税
都市計画税は、住んでいる自治体が都市計画法で決めた区域に不動産(土地や建物など含む)を持った人が払う地方税のこと。こちらも固定資産税同様、毎年払う義務のある税金です。
この税金は対象となる地域に不動産を持った人のみ払う税金なので、全員が全員払うものではありません。
都市計画税の支払いも固定資産税同様、納税通知書が送られてきたら、一括、もしくは4期(支払日指定)に分けて支払います。都市計画税は、「固定資産評価税×0.3%(限界税率)」で計算できます。
税率は0.3%以下なので、正確な税率を知りたい方は自治体に直接問い合わせましょう。
中古マンション購入手続きのまとめ
複雑な手続きに戸惑いを隠せないこともありますが、これから一生お世話になる住居になるので、事前準備や下調べを徹底して行いましょう。それが一番スムーズに事を運べる方法になります。
あとはステキな物件と出会えることです。とにかく家族と話し合い、全員が理想とする間取りなどを兼ね備えた物件を探しましょう。