投資用のマンション売却は難しい?手放す前に知っておきたい査定額と売り時の話

投資用のマンション売却は難しい?手放す前に知っておきたい査定額と売り時の話

「投資用のマンションを持っているが、そろそろ売却したい」そう考えていても、売るタイミングや販売価格など、わからないことが多いものです。

マンションは買うのも大変ですが、売るのも大変です。損をしないためにも、投資用のマンション売却について知っておきたい基礎知識を押さえておきましょう。

投資用のマンション売却~査定額はどう決まる?

マンションを売却する際に物件の評価(査定額)がどのように決まるのか、気になりますね。
これは購入先が居住用か投資用かで評価の方法が異なります。投資用とは、オーナーが変わるため「オーナーチェンジ物件」と呼ばれます。

では、それぞれのケースで見てみましょう。

居住用としてマンションを売却する場合

持っている物件を居住用として売却する場合の評価は、実際に入居する人の立場に立って行います。
その際によく利用される査定方法が「取引事例比較法」です。

例えば、近隣の同程度のマンションの販売価格や過去の取引事例を選択しします。そこに物件の事情補正(競売や売り急ぎなどの事情があればそれを考慮すること)や時点補正(過去の取引時からの価格変動を考慮して補正すること)を行い、さらに地域要因、個別の要因などを考慮して価格を決める方法です。

取引事例比較法の地域要因・個別要因とは

取引事例比較法の地域要因とは、物件の所在地域の居住環境や道路の幅、交通量、騒音や臭気、行政といった物件の所在地域の要素を指します。周辺で異なる地域の物件と比較する際に、これらの要素を考慮して価格に反映させるのです。

一方、個別要因は地域に関係なくその物件独自の要因のことで、日当たりや土地の広さ(部屋の広さ)、南側か北側か、地盤の強度はどうかといった点を考慮して比較します。

取引事例比較法で算出した評価額のことを「比準価格」と言います。

取引事例はREINS(レインズ)で調べる

取引事例比較法では、比較する事例を探さなければなりません。その際に「REINS(レインズ)」というネットワークシステムを利用します。レインズは不動産流通機構が運営しているシステムで不動産業者しか利用できませんが、これによって近隣地域の過去の成約事例を調べて評価額の参考にします。

ただし、近隣に比較できる物件がない場合に困るという難点があります。

投資用としてマンションを売却する場合

一方、投資用としてマンション売却(オーナチェンジ)する場合は、そのマンションを購入することで将来どれくらいの利益を得られるかを計算します。この方法を「収益還元法」と言います。

収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」がありますが、ここではよく使われる「直接還元法」についてご説明します。

収益還元法の「直接還元法」とは

「直接還元法」では、次の方法で評価額を計算します。

  • 純利益(※1)÷還元利回り(※2)=物件価格

(※1)純利益とは賃料から固定資産税などの諸経費を引いた額のことで、通常は1年間で計算します。また、純利益は「Net Operating Income(ネットオペレーティングインカム)」を略して「NOI」とも言います。
(※2)還元利回りとは、自分がこの物件から得たい利回りのことです。

直接還元法による査定額の計算方法

では、実際に次の事例で計算してみましょう。

  • 1年間の賃料……100万円
  • 諸経費……20万円
  • 還元利回り……5%

この場合、純利益(NOI)は80万円です。計算式は下記のようになり、査定額は1600万円ということになります。

  • 80万円÷5%=1600万円

物件価格から利回りを計算すると

物件価格と純利益から還元利回りを計算することもできます。

  • (純利益÷物件価格)×100=還元利回り(%)

例えば物件価格が2000万円で純利益が80万円の場合、還元利回りは次のようになります。

  • (80万円÷2000万円)×100=4%

物件価格が1600万円なら還元利回りは5%ですが、2000万円になると還元利回りは4%になってしまいます。

投資家は投資用のマンション購入に際して、物件価格と還元利回り、純利益を計算して損か得かを考えているのです。

投資用のマンション売却価格を左右するのは何?

投資用マンションの査定では「表面利回り」もあります。これは賃料から諸経費を引かずに計算するもので、単純に「家賃収入÷物件価格」で算出します。

しかし、現実には固定資産税や修繕費などの費用がかかります。そのため、査定ではそれらを考慮した還元利回りが重要になります。なお、還元利回りは「実質利回り」と言うこともあります。

還元利回りがカギ

物件価格は上でもご説明したように「純利益÷還元利回り」で算出できます。

しかし、純利益(賃料-諸経費)の賃料は築年数とともに下がる傾向があります。また、諸経費の固定資産税はほぼ固定なので大きな変動はありません。

純利益(分子)が物件価格に大きな影響を与えないということは、分母の還元利回りが物件価格を左右すると言えます。

しかし、この還元利回りは「これくらいの利回りで運用できるといいな」という投資家の期待値です。

投資用マンションのリスク

マンション運営には、さまざまなリスクが伴います。上記の還元利回りには、下記のリスクが充分に反映されないケースがあります。

  • 空室リスク
  • リフォームや修繕
  • 周辺環境の変動(駅やスーパー、教育機関などの建築・移動などによる環境の変化)

そのため、ただ還元利回りが高いからと言って、売れるわけではありません。
将来の予測は難しいですが、投資家はこういったリスクも考慮して、より高い利回りで運営できる物件を探しているのです。

低金利時代は還元利回りも低下

ここ数年は低金利が続いています。このような時期は金利に連動して還元利回りも低くなる傾向があります。分母(還元利回り)が小さくなると、同じ純利益の場合、物件価格は高くなります。

純利益 還元利回り 物件価格
80万円 10.0% 800万円
80万円 5.0% 1600万円
80万円 2.0% 4000万円

投資用のマンション売却のタイミングはいつ?

投資用のマンションをいつ売却するのか…ということも、大きな問題です。上記のように低金利時代の今は、マンションの売り時とも言えるでしょう。

さらにベストのタイミングはいつなのか、考えてみましょう。

投資用マンション売却にベストな築年数は?

築年数が古いと物件価格は安くなりますが、修繕費用がかかります。古くなるほど入居者の人気も下がるため、あまり古くならないうちに売却するのがおすすめですが、目安は築10年目ごろがいいと言われています。

5年以上所有で譲渡所得の所得税が下がる

居住用であっても投資用であっても、マンションを売却して利益を得た場合は「譲渡所得」となり所得税がかかります。不動産の場合は所有期間によって下記のように税率が異なります。

所有期間 所得税(※) 住民税 合計
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9.0% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5.0% 20.315%

(※)復興特別所得税(平成25~49年)として所得税の2.1%相当が上乗せされています。

なお、譲渡所得(利益)は、次のように計算します。取得費とは自分がその物件を購入したときの費用のことです。

  • マンションの売却費用-{取得費+譲渡費用(仲介手数料や修繕費など)}=譲渡所得

マンション売却を考えるならば、所有期間が5年を過ぎて、なおかつ築10年前後を目安にするといいでしょう。

投資用のマンション売却のまとめ

投資用マンション売却時の査定は、「収益還元法」で計算します。その際には表面利回りではなく、純利益から諸経費を差し引いた純利益で還元利回りを求めます。投資家はこの還元利回りにさまざまなリスクを考慮して、購入を検討します。

また、マンション売却は築10年前後が売り時と言われています。しかし、所有年数が5年以下の短期譲渡所得の場合は、譲渡所得税の税率が高くなります。5年超の長期譲渡所得になると税率が下がるので、それまで待つのがおすすめです。