マンションを売却する際、一番気になるのが売却相場でしょう。新築や築年数の浅い物件であれば売却相場もそれなりに期待できますが、築年数が経過しているマンションの場合はやはり価格が低いことが予想されます。
今回の記事ではそんな中でも築20年が経過したマンションの売却相場について、資産価値や高く売る方法なども含めて詳しく解説していきます。築20年程度のマンション売却を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
まず知るべき|エリア別の築20年のマンション売却相場
では早速築20年を経過したマンションの相場を見ていきましょう。マンションの価格は物件のエリアや立地によって大きく価格が違います。
特に東京を始めとした都市圏では駅からの距離が1分違うだけで価格は大きく違います。そのため売却したい物件の相場を知る際には、駅からの距離にも注意して確認しましょう。
首都圏
まずは東京23区内の相場を見ていきましょう。このエリアは日本の中でも特に相場が高く、取引量も多いエリアで中古マンションの価格を作っているエリアと言って良いでしょう。
東京23区内における築20年のマンションの価格は下記のようになっています。
駅からの距離 | マンション価格(㎡当たりの単価) |
全体平均 | 951,756円 |
5分以内 | 1,056,658円 |
6~10分以内 | 910,175円 |
11~15分以内 | 724,360円 |
参照:国土交通省土地情報総合システムより当方算出
上記のように他のエリアに比べると突出して高いエリアですが、都心五区と呼ばれる、千代田区・港区・中央区・渋谷区・新宿区に限定すると更に価格は上がり、価格の平均は1,409,660円と更に高くなります。
このエリアの特徴は築年が経過しても立地が良くグレードの高い物件であれば価格が下がりにくい特徴があります。
有名マンションや大手デベロッパーが建築した高級マンションなど、物件によっては新築時よりも高い価格で売れることも珍しくありません。
関東圏
続いて先ほどの首都圏に加えて、埼玉県・千葉県・神奈川県を加えた1都3県の築20年の相場を見ていきましょう。
駅からの距離 | マンション価格(㎡当たりの単価) |
全体平均 | 728,129円 |
5分以内 | 951,124円 |
6~10分以内 | 701,390円 |
11~15分以内 | 482,631円 |
参照:国土交通省土地情報総合システムより当方算出
駅から5分以内の物件は、先ほどの首都圏と比べても価格差はそう大きくありません。一方で駅から距離が離れた場合の価格は、下落の幅が大きいことが分かります。このエリアは首都圏のベッドタウンとして需要が高いため、都心までのアクセスの良さがそのまま価格に反映してると言えるでしょう。
京阪神
京阪神は大阪府・京都府・兵庫県の3県の築20年のマンション成約価格をまとめました。大阪は公示価格の上昇率で上位に入る箇所も多く、また京都はインバウンドを中心にホテルなどが数多く建築され不動産価格が上がっているエリアです。
駅からの距離 | マンション価格(㎡当たりの単価) |
全体平均 | 479,843円 |
5分以内 | 577,881円 |
6~10分以内 | 457,951円 |
11~15分以内 | 269,413円 |
参照:国土交通省土地情報総合システムより当方算出
人気のあるエリアではありますが、上記の通り首都圏の価格と比べると約半額が相場となっています。このことからもいかに東京のマンション価格が突出して高いかが分かります。
このエリアでも駅からの距離によって価格差がかなり大きく、11~15分以内の価格は5分以内の価格の約半分となっています。東京ほどではないにしても、大阪市内などへの交通アクセスが良い立地にあるマンションほど人気が高いと言えます。
名古屋圏
続いて愛知県の築20年のマンションの相場を見ていきましょう。
駅からの距離 | マンション価格(㎡当たりの単価) |
全体平均 | 269,694円 |
5分以内 | 326,161円 |
6~10分以内 | 269,683円 |
11~15分以内 | 230,769円 |
参照:国土交通省土地情報総合システムより当方算出
名古屋では関西エリアよりももう一段価格が安いことが分かります。元々このエリアではマンションよりも、戸建ての多いエリアですが最近ではマンションの分譲も増えてきました。
名古屋はリニアが開通すれば品川まで40分と大幅に交通の便が良くなるため、今後の開発などが期待されている地域ですから、今後価格が上昇していく可能性のある地域です。
その他の都市
最後に大都市圏以外の都市として、札幌市・仙台市・福岡市の築20年の事例を見て見ましょう。広島県は築20年のマンションの成約事例が直近では少なかったため、今回は除外をしています。
駅からの距離 | マンション価格(㎡当たりの単価) |
全体平均 | 232,141円 |
5分以内 | 286,309円 |
6~10分以内 | 229,744円 |
11~15分以内 | 112,307円 |
参照:国土交通省土地情報総合システムより当方算出
三大都市圏に比べると価格は更に下がります。傾向としてはマンションよりも戸建てが多いエリアが多いため、都市圏と比較するとマンションの事例はそう多くはありません。しかし、駅近を中心に地方都市でも大型のマンションが販売されている事例も多くありますから、今後注目すべき点です。
築20年のマンションの資産価値
築20年のマンションの売却相場についてこれまで紹介してきましたが、新築の頃から比べるとどれくらい変化しているでしょうか。
マンションは自分が住むために買うのはもちろんですが、もう一方で資産価値という見方もあります。最終的には土地の価値しか残らない戸建てと違って、マンションの資産価値は景気の動きによっても大きく変動します。
特に中古物件の場合は新築に比べるとその傾向が強く、中古マンションの相場は株価と同様の動きをする場合も多いです。そのため資産価値の下がりにくい物件を選ぶことが大切ですが、築20年経過したマンションはどれくらい資産価値が変動しているでしょうか。
新築からの推移
中古マンションに限らず、中古物件の資産価値を考える場合は減価償却という考え方を忘れていけません。減価償却とは建物において、物件の構造毎に耐用年数を決めて、その耐用年数に応じて毎年一定額の価値が減少していくとして国が定めた基準です。
減価償却は年数の経過によって劣化していく建物にのみ適用される考え方で、土地には適用されません。すると物件の価値に占める建物の割合が高いマンションは、戸建てに比べると資産価値の下落が高いことになってしまうかと言うと、実際にはそうではありません。
下記の表は、国土交通省が出している中古物件の価格査定と築年数のイメージをグラフにしたものです。
参照:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」より抜粋
上記の表の通り、戸建てに比べるとマンションの方が資産価値の下落が緩やかなのが分かります。これは物件の耐用年数が影響しており、戸建てに多い木造の物件の耐用年数は22年なのに対し、マンションの場合は47年とされているからです。
つまり木造住宅は22年で価値が0になるのに対し、マンションは47年間かけて0になると国が決めている訳です。
このことからも戸建てに比べるとマンションの資産価値が高いのが分かるでしょう。ちなみに上記の表に登場しているヘドニック法とは、毎年一律に価値が減少していく減価償却とは違い、市況や環境などの外部要因を反映することでより実態に近い査定を行えるとされている調査方法です。
このように物件には耐用年数に基づいて資産価値が下落するという考え方がありますが、実際には耐用年数が過ぎたからと言って建物が使えなくなる訳ではありません。築40年や50年を経過して現役の木造住宅もありますし、マンションも同様です。そのため実際の売買価格は上記のようにはなりません。
では実際の中古マンションの価格が築年数毎にどのように推移しているかを見て見ましょう。下記の表は公益財団法人東日本不動産流通機構が発表している中古マンションの築年数毎の販売価格をまとめたものです。
参照:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2016年)」より抜粋
上記の表の通り築年数の経過に応じて成約価格が下落しているのが分かります。しかしこの表だけでは分かりにくいので、築浅の0~5年と、それぞれの築年数毎の下落率をまとめると下記のようになります。
築年数 | 下落率 |
築6~10年 | 13.4% |
築11~15年 | 19.7% |
築16~20年 | 35.5% |
築21~25年 | 61.3% |
築26~30年 | 65.9% |
築31年~ | 65.8% |
上記の表の通り築20年までは下落の幅が大きく、20年を超えてくると価格は殆ど変わらないことが分かります。高く売却をするのであれば、築20年を超える前に出来るだけ早く売却した方が良いということになります。一方で中古マンションを購入する場合は築20年頃の物件が一番狙い目となります。
築40年、50年の物件の資産価値は
マンションも築30年を超えてくると、新築時に比べるとその価値は3割程度まで下落します。では更に年数が経過して、築40年や50年を経過した場合の資産価値はどれくらいになるでしょうか。
先ほど説明した耐用年数では、マンションの場合は47年とされていますから、減価償却での考え方では築47年を経過したマンションの価値は0ということになります。しかし実際に住むには問題ないですし、売買されている事例もあります。
実際に国土交通省の土地総合情報システムを検索してみると、築40年のマンションの取引単価が㎡当たり560,880円、築50年のマンションでも454,448円で取引をされています。
先ほどの紹介した東日本不動産流通機構の価格よりも高くなっているのはリノベーション物件なども含まれているためですが、これだけ築古の物件でも取引をされているのが分かります。
しかし価格のバラつきは築浅の物件に比べると大きいのが特徴で、リノベーションをしてまで住みたいと思える立地や駅からの距離かどうかがポイントです。つまり資産価値として考えるのであれば、立地が良い物件を選ぶことでより資産価値が下落しにくいと言えるでしょう。
築20年のマンションを高く売る方法
高く売れる物件の特徴を満たしているか確かめる
マンションを高く売る方法を説明する前に、どのようなマンションが高く売れやすいかを見ていきましょう。築年数が経過しても価値が落ちにくいマンションを見ていくことで、マンションを購入する際の参考にもなります。
立地が良い
やはりマンションの場合は立地が大事です。特に首都圏エリアでは主な交通手段は電車ですから、駅からの距離が近いほど値段が落ちにくいです。また駅によっても差が出やすく、複数路線が乗り入れるようなターミナル駅に近いマンションであれば資産価値も高いでしょう。
今は駅から遠かったり、または駅が小さな駅だったとしても再開発や新しい駅が出来ることが決まっている場合も価値は下がりづらいでしょう。将来的にそのエリアが発展すれば、同時にマンション価格も上がっていきますから資産価値も上がっていく事になります。
圧倒的なアピールポイントがある
他の物件にはない強みのある物件も人気です。例えば東京タワーやレインボーブリッジが部屋から見えたり、タワーマンションの最上階だったり、駅直結のような物件はそう多くはありません。一般的に考えて誰もが憧れるような物件は人気が高いため、築年数が経過したとしても売却がしやすいです。
有名マンションやブランドマンションである
大手マンションデベロッパーが販売している高級ブランドのマンションや、誰もが名前を知っているような有名マンションも高く売れやすい物件です。他にもそのエリアや地域を代表するような、ランドマーク的なマンションも同じように人気が高く、資産価値も下がりにくいでしょう。
このような有名マンションでは、そのマンションが欲しいため何年も待っている方もいるほどです。ブランドマンションも同じように、そのシリーズばかりを何部屋も保有しているような富裕層や投資家も多くいます。
高く売るためのコツを知っておく
ここからは実際に築20年のマンションを売却する際の、高く売るためのコツを見ていきましょう。不動産の価格は売主と買主の合意によって決まりますので、売却や価格交渉の仕方次第では高く売ることも安く売ることも出来ます。
後で後悔しないためにも、高く売るためのコツを押さえておくようにしましょう。
その不動産の相場を調べる
不動産の売却をする際には、必ず売却する不動産の相場を調べて売るようにしましょう。特に築年数の経過したマンションの場合は物件毎に価格が違うため、同じエリアの相場や築年数の近い物件の相場を必ず確認しておきましょう。
このように事前に相場を確認しておくことで、買主との交渉もスムーズに行えますし後で後悔することも防げます。
不動産の相場を知るには不動産会社に相談したり、インターネットなどで成約事例を確認するほか一括査定サイトを利用すると良いでしょう。一括査定サイトは無料で複数の不動産会社から査定を出してもらうことが出来るので、お手軽に相場を確認することが可能です。
信頼できる不動産会社を見つける
不動産を売却する際、不動産会社の果たす役割はとても大きいです。売却不動産の査定から始まり、買主を探してきて売買の契約などの実務をするのも不動産会社の仕事です。そのため不動産を高く売却するには、不動産会社の協力がかかせません。不動産会社の数はとても多いですが、会社ごとに得意な物件やエリアがあります。
売却しようとしている物件に強い不動産会社を探して依頼することが大切です。信頼できる不動産会社を探す際にも、先ほどの無料の一括査定は役立ちます。
複数社の査定を依頼することで、査定の金額だけでなく各社の対応も比較することが出来るからです。マンション売却の際には、信頼できる不動産会社を見つけて依頼するようにしましょう。
買主の印象を良くする
買主とは価格の交渉をする訳ですが、何も敵対する訳ではありません。愛着のある不動産ですから、どうせ売るなら信頼の出来る方に売りたいですし、買う方も同じ考えです。そのため、買主との交渉の中で出来るだけ買主に対して真摯に対応することは大切です。
内覧の際には部屋を掃除して綺麗にしたり、質問事項にはきちんと答えましょう。また故障している設備や傷がある箇所などは隠すことなくきちんと説明することは、後々のトラブルを防ぐ意味でもとても重要です。
とにかく売れればいいや、ではなく丁寧に接することで、買主との交渉もスムーズに進みやすくなるでしょう。
余裕を持って売却する
不動産を売却する場合、出来るだけ時間に余裕を持って売却するようにしましょう。様々な事情があって早く売らなければならない場合もあるかもしれませんが、売り急ぐことは結果として安く売ってしまうことになります。
時間に余裕を持つことで買主との価格交渉の中でも余裕が出来ますから、相手に足元を見られることも少ないでしょう。
特に築20年を経過しているマンションの場合は、売却まで時間がかかる可能性もあります。よっぽど立地の良い物件であれば別ですが、やはり築浅の物件に比べると人気を落ちるからです。
あまり売り急がずに、良い買主が現れた際に売る、ぐらいのスタンスで望むと良いでしょう。
築20年マンションの売却相場に関するまとめ
今回の記事では、築20年のマンションの売却相場に関する解説を下記の内容を中心にしてきました。
新築のマンションと違って中古のマンションの価格は、景気や株価などの影響を受けやすい特徴があります。
特に築年数の経過したマンションほどその影響が強いため、売却する側にとっては相場やタイミングを見極めることはとても重要です。築20年経過したマンションは売却をするには一つの節目とも言える年数ですから、慎重な判断が必要です。
売却をする際には今回の記事を参考にして、出来るだけ高く売れるコツを押さえて売却活動をしましょう。売却の際に一括査定を行う場合は、下記のサイトのような無料の一括査定サイトを利用すると手間も省くことが出来ます。
今回の記事が築20年のマンションを売却する方の参考になれば幸いです。