土地と聞くとどのような土地をイメージされるでしょうか。建物を建てる前の更地をイメージする方が多いですが、草木が生い茂っている山地や、アスファルトなどで舗装された道路も土地の一つです。
普段あまり気にすることはないですが、一口に土地と言っても実は様々な種類があります。今回の記事ではそんな土地の種類について詳しく解説をしていきます。
実はこんなにある!土地の種類一覧
一番ポピュラーなのが地目
土地の種類で一番ポピュラーなものが、地目と呼ばれるものです。地目とは、土地を客観的・総合的に判断をした土地の「用途」で区分をしたものです。
この地目は不動産登記法という法律で定められた法務局の登記官が決めるものとされています。日本にある広大な土地の中には登記に記録されている地目の種類と、実際の用途が違う場合もあり、そのような場合には現況を優先すると決められています。
この地目によって固定資産税などの評価額にも影響があるため、正確な地目を登記することが重要です。そして地目に変更があった場合は、土地の所有者は登記の変更をしなければならないことが不動産登記法では定められています。
不動産登記法
第三十七条 地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
2 地目又は地積について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
|
参照:電子政府の総合窓口e-GOV「不動産登記法」より抜粋
地目は23種類
では実際に地目にはどのような種類があるかを見ていきましょう。地目には全部で23種類あります。
地目の名称 | 内容 |
田 | 農耕地の中でも用水を利用して耕作を行う土地 |
畑 | 農耕地の中でも用水を利用しないで耕作を行う土地・牧草栽培地 |
宅地 | 建物の敷地、また建物を維持もしくは建物の効用を果たすために必要な土地 |
学校用地 | 校舎や学校の付属施設の敷地・運動場も含む |
鉄道用地 | 鉄道路線の敷地・駅や駅舎などの付属施設の敷地も含む |
塩田 | 海水を使って塩を作るための土地 |
鉱泉地 | 温泉の湧きだし口などの施設に必要な土地 |
池沼 | かんがい用水ではない貯蓄池 |
山林 | 耕作を行っていない竹木の生えている土地 |
牧場 | 牛や豚などの家畜を放牧するための土地、牧畜に必要な建物や付属施設、牧草栽培地などの牧場地域内の土地 |
原野 | 耕作を行わないで雑草やかん木などが生えている土地 |
境内地 | 境内に属する土地で、宗教法人の本殿や社務所、参道などに用いられる土地、宗教法人が所有していないものも含む |
運河用地 | 運河法で定められた土地 |
水道用地 | 給水の目的で敷設する水道や貯水池、ろ水場などの土地 |
用悪水路 | かんがい用または悪水はいせつ用水路の土地 |
ため池 | 耕地かんがい用の貯蓄池 |
堤 | 防水のために作った堤防などの土地 |
井溝 | 田畝(でんぽ)、もしくは村落などにある通水路 |
保安林 | 農林水産大臣が森林法に基づいて指定した土地 |
公衆用道路 | 交通の用に供する道路、個人所有の土地でも交通に供する土地(道交法の道路であるかどうかは問わない) |
公園 | 遊楽に供する土地 |
墓地 | 人の遺体や骨を埋葬するための土地 |
雑種地 | 上記のいずれにも該当しない土地
雑種地には様々ありますが、具体例としては次のようなものがあります。
|
上記の中でも一番よく耳にするのが宅地でしょう。宅地と言えば住宅や店舗・工場などの建物を建てるための用地のイメージが強いですが、他にも宅地に該当する施設としては下記のようなものがあります。
- テニスコートやプールで宅地に繋がっているもの
- 競馬場内の事務所や観覧席やきゅう舎などの敷地
- 遊園地・運動場・ゴルフ場・飛行場などにある建物以外の敷地で建物に付随する庭園に過ぎないと認められる場合、その全部を宅地とする
- ガスタンク・石油タンクの敷地
- 火葬場
- 海産物を乾燥する場所で、その区域内に永久的設備があるもの
など様々です。上記は一部ですが、宅地の用途が幅広いことが分かります。実際に土地を売買する場合でも、他の地目で売却するよりは宅地として売却する方が売りやすく、価格も高くなります。
ちなみに、上記23種類の地目のうち住宅を建築できる地目としては宅地のほかには、山林・原野・雑種地になります。田と畑については、宅地などに転用が出来る場合もあり、その場合は住宅の建築が可能になります。
地目の調べ方
続いて地目の調べ方について紹介をしていきます。自分で所有している土地の場合であれば、費用をかけないで簡単に地目を調べることが可能です。それは、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書を見ることです。固定資産税の通知書には固定資産税の税額だけでなく、固定資産税の評価額や土地の場合は地目も記載しています。
自分が所有している土地でない場合や、固定資産税の通知書が手元にない場合などは費用はかかりますが謄本を取得することで地目を確認することが出来ます。謄本には地目だけでなく、その土地や建物の広さや、所有権などの権利関係が記載されています。
謄本を取得する費用は1通につき数百円程度ですので、不明な場合には謄本を取得するのが良いでしょう。謄本はその土地を管轄している法務局へ行けば、誰でも取得することが可能です。
土地の使い道の種類
これまでは地目に関する説明をしてきましたは、土地の種類は地目だけではありません。地目以外にも、その土地にどのような建物を建てることが出来るのかという区分けの種類もあります。
国や経済を発展させるためのは、土地の有効活用は欠かせません。そのために国が主導して、土地の利用方法については様々な区分けがされています。その種類を見ていきましょう。
用途地域とは
国や町の経済発展のためには計画的な街づくりが欠かせません。駅前の商業地には店舗や事務所などの商業施設が集まり、住宅地にはマンションや戸建てが集中し、工業地帯には工場などが集中して建築されることで住みよい街づくりが出来ます。
このように計画的に街づくりを行うために、行政がエリア毎に建築出来る建物の種類や高さなどを定めたものが用途地域です。
用地地域があることで閑静な住宅街の中にいきなりパチンコ店が出来たり、工業地域の中に戸建て住宅が建築されることを防ぐことが出来ます。用途地域には全部で13種類あり、それぞれ建築出来る建物の種類や高さなどを定めています。
用途地域の種類 | 建築出来る建物 |
第一種低層住居専用地域 | 2階建てや3階建ての住宅や、学校・診療所・寺院などが建築可能な地域。店舗は50㎡までと、閑静な住宅街なエリアです。建てられる建物の高さは10~12mが上限です。 |
第二種低層住居専用地域 | 建てられる建物の高さは第一種低層住居専用地域と同じですが、店舗の床面積は150㎡までと大きく、コンビニや飲食店などが可能になります。 |
第一種中高層住居専用地域 | マンションのような中高層住宅が建てられる地域で、高さの制限はありません。店舗も500㎡までが建築可能で、他にも学校や病院、図書館や寺院なども可能です。 |
第二種中高層住居専用地域 | 第一種中高層住居専用地域と同じくマンションを中心としたエリアですが、店舗の建築可能床面積が1,500㎡となっておりより大規模な店舗や事務所の建築が可能となっています。 |
第一種住居地域 | 主に住宅を守るための地域とされており、建築出来る建物は第一種・第二種中高層住居専用地域に加えて、3,000㎡までの店舗や事務所・ホテルの建築が可能です。 |
第二種住居地域 | 第一種住居地域に加えて、ボーリング場やスケート場、カラオケやパチンコ屋などの建築が可能です。 |
準住居地域 | 幹線道路沿いなどのような住居と大型の商業施設が混在している地域です。第二種住居地域までの建築可能な建物に加えて、車庫や倉庫、150㎡以下の自動車修理工場や客席が200㎡未満の劇場や映画館も建築可能です。 |
田園住居地域 | 農地と調和した建物が並ぶ地域です。建築出来るのは、第一種低層住居専用地域に加え、学校や病院・寺院などの施設や、農産物直売所やレストランなどが可能です。 |
近隣商業地域 | 日用品などを買い物に行く地域です。準住居地域より更に商業系施設の建築が緩和されており、店舗・事務所・劇場・映画館などの床面積の制限はありません。また自動車修理工場も300㎡までが建築可能です。 |
商業地域 | ターミナル駅の周辺のような大規模商業地域のエリアです。百貨店や飲食店・銀行などが建築可能です。地域によっては風俗施設なども認められています。 |
準工業地域 | 軽工業の工場や、サービス施設が建築出来る地域です。危険度の高い工場は建築出来ませんが、住宅やホテル・映画館・病院なども建築することが出来ます。 |
工業地域 | どんな工場でも建築が可能なほか、住宅や店舗も建築可能です。店舗の建築も可能で、湾岸エリアなどタワーマンションが密集しているエリアに多いです。 |
工業専用地域 | 工業地域のエリアです。どのような工場でも建築が可能ですが、住宅を建てることは出来ません。 |
マイホームを買う場合などは用途地域は重要です。今後そのエリアにどのような建物が建築されるかは、用地地域によって大きく変わりますのでぜひ確認してから購入すると良いでしょう。
市街化区域とは
これまで説明した用地地域は、どこの土地でも決められている訳ではありません。用途地域が定められている土地は市街化区域と呼ばれる地域になります。
用途地域は住みよい街づくりのために定めていると先ほども説明しましたが、市街化区域はもう少し大きな目線で市街化(=街を発展させる)するエリアを定めています。一方で、市街化を抑えるエリアとして市街化調整区域があります。
市街化区域
市街化区域は既に市街を形成している地域や、今後10年以内に市街化を優先させる地域を言います。この区分けは都市計画法という法律に基づいて定められています。
市街化させる区域ですから、住宅だけでなく商業施設やビルなどの建築が可能な区域で、市街化区域内では用途地域を定めることとされています。
市街化調整区域
一方市街化調整区域は、市街化を抑えるための地域です。そのため原則として、市街化調整区域内では建物を建築することは出来ません。
市街化調整区域内では、市街化を抑えて農地や山林を守ることを優先しています。しかし市街化調整区域内であっても都道府県知事の許可があれば建築は可能です。
用途地域や市街化区域の調べ方
用途地域や市街化区域はインターネットを使えば簡単に調べることが出来ます。各市町村役場などのホームページでは、都市計画図という図面を公開しており、それを見れば市街化区域や用途地域を確認することが可能です。
ホームページから都市計画図を探すか、「調べたい地域+都市計画図」や「調べたい地域+市街化区域」などで検索すれば見つけることが出来ます。またインターネットが使えない場合は、各市町村の窓口に問い合わせれば調べる事が出来ます。
土地の値段の種類
これまで説明してきた土地の種類は、土地の使い方に関する種類でした。土地と言えば高額財産の代表ですから、やはりその値段に関することは土地とは切り離せません。
ここでは土地の値段に関する種類を見ていきましょう。
土地は一物四価
通常、物の値段は一つなのが当たり前ですが土地の場合は違います。土地は一物四価と言われ、同じ土地でも4種類の値段があると言われています。何故このように様々な値段があるかというと、他の商品と違って土地は二つと同じものがないことが理由の一つです。
例えすぐ隣の土地であっても日当たりも土地の形も違いますから、画一的に値段を決めることが出来ません。そのため、それぞれの状況に応じた値段の目安を決めることで、円滑な取引や評価が出来るようにしています。
土地の評価には、次の4種類があります。
値段の種類 | 特徴 | 調べ方 |
実勢価格 | 実際に取引されている価格、時価とも言います。土地の場合は類似物件の取引事例などを参考にして決められます。実際の取引で個別事情によって時価よりも高い場合も低い場合もあります。 | 実際の取引価格は、下記から調べる事が出来ます。
|
公示価格 | 国土交通省が毎年発表している1月1日時点での価格です。公示価格は売り急いだ場合などの特殊事情がない場合での「自由な取引で成立すると思われる価格」というのが評価基準となっていますので、時価に準じた価格となっています。 | 公示価格は国土交通省の下記システムで検索出来ます。 |
路線価格 | 路線価格とは相続税評価額とも呼ばれる価格で、その名の通り相続税や贈与税の計算の際に使われる価格です。概ね公示価格の80%程度の価格になる場合が多いです。公示価格と違い、多くのエリアで価格が発表されています。 | 路線価は国税庁の下記システムから検索出来ます。 |
固定資産税評価額 | 固定資産税評価額は名前の通り固定資産税を計算する際に使われる評価額で、公示価格の70%程度の価格になります。毎年見直される公示価格と違って、固定資産税評価額は3年毎に価格見直しされます。 | 固定資産税の評価額は毎年送られてくる固定資産税納税通知書に記載があります。もしくは、自治体の窓口で固定資産税評価証明を取得すると確認出来ます。 |
価格は高い順に、実勢相場=公示価格>路線価格>固定資産税評価額となっています。また公示価格は発表されている地点が限定的であるため、補完する指標として基準地価格というのもあります。
基準値価格までを含めて一物五価と呼ぶこともあります。それぞれの状況に応じた価格の種類があるので、状況に応じて使い分けることが大切です。
土地活用には不動産会社への相談が最適
これまで説明して来たように土地にはたくさんの種類があります。相続などで土地を引き継いだりした場合など、土地の種類が分からない場合にはまずその土地の種類を調べることが大切です。
そのうえでその土地を有効活用するのか、もしくは売却するのかなどの活用方法を検討すると良いでしょう。
土地の活用と一口に言っても、駐車場にしたりアパートを建築したり、または売却して資金化するなど活用方法は様々です。どの活用方法が最適な方法かはその土地によって違いますし、それぞれのライフプランによっても大きく違います。
そのためよほど詳しい方でなければ、全てを一人で決めるのは難しいです。そのような場合には、不動産会社へと相談するようにしましょう。
有効活用などを相談してくれる機関は複数ありますが、やはり不動産に関することは不動産のプロである不動産会社が詳しいです。物件に応じた活用方法のアドバイスがもらえますし、売却をする際にも買主を探してくれたりと力になってくれるはずです。
しかし不動産会社にも様々な会社があり、物件によっては得意不得意もあります。信頼できる不動産会社を探して相談するようにしましょう。
少しでも土地を高く売るには一括査定を活用
有効活用の一環で、売却を行う場合もあるでしょう。売却するからには出来るだけ高く売りたいですが、そこでおすすめなのが不動産の一括査定サイトです。
利用することで、複数社から簡単に査定を取ることが出来ます。そのため物件の相場も分かりますし、不動産会社も複数と比較することが出来ます。
マンション売却ガイドの一括査定は査定の依頼方法も簡単でおすすめです。質問に答えるだけで簡単に依頼が出来ますし、査定の際に訪問査定と机上査定を選ぶ事も可能です。
また提携している不動産会社も置く、大手だけでなく地元の不動産会社にも同時に査定を行うことが出来ますので、物件を売却する際んは、ぜひマンション売却ガイドの一括査定をご利用ください。
土地の種類に関するまとめ
今回の記事では土地の種類について下記の内容を中心に解説をしてきました。
不動産業界の方でなければ普段あまり土地の種類について触れる機会も少ないです。自宅の土地であっても、意外と土地の種類は分からないものです。
しかし土地を売却したり有効活用する際には、土地の様々な種類を知っておくことは大切です。土地の種類は簡単に調べることが出来ますので、一度調べてみると良いでしょう。
また売却の際には種類だけでなく、土地の相場も必ず押さえておくようにしましょう。売却する相場を知っておくことで、適正な価格設定が出来て高く売れる可能性が高まります。
土地の相場を抑える際には、簡単に複数社の査定依頼ができる一括査定がおすすめです。ぜひマンション売却ガイドの一括査定をご利用ください。