スーパーの特売はもちろんのこと電化製品、自動車などどんなものでも何かを売ろうと思う場合は、世間に広く知ってもらうことが大切です。マンション売却も同じこと。
そこで役立つのがチラシですが、どうせチラシを配布するなら効果が出せるものを作りましょう。また、チラシでやってはいけない注意点もご紹介します。
マンション売却時のチラシ作成は表示内容に注意!
住まいを探す人は、まずチラシや不動産会社のホームページなどを見て物件を探します。そこに記載されている情報から、「良さそうだ」と思ったら実際に物件を見に行くことがほとんどです。
中古マンション売却のチラシのNG集
「せっかくチラシを作るのだから、思いっきり魅力的にアピールしたい」という気持ちが起こるのは当然です。しかし、現実とかけ離れた内容では成約しないばかりか、信頼まで失ってしまいます。
- 〇〇駅まで徒歩5分(実際は坂道が多いため5分では無理)
- 近隣に幼稚園あり(実際はかなり遠い)
- 南向き(南向きだが実際は目の前に高層マンションがあって日照が悪い)
- スーパーまで徒歩10分(歩いて行けるが坂道が多いため重い荷物を持って帰るのは大変)
- 近くにバス停あり(バス停はあるが本数が少ない)
また、不動産のチラシ(広告)に関しては、このような誇大広告は法律で禁止されています。
宅地建物取引業法で広告を規制
宅地建物取引業法の第32条に「誇大広告等の禁止」が定められています。
誇大広告は宅地建物取引業法 32条で禁止に
不動産業界は広告のルールが厳しい!
不動産業者が誇大広告で顧客を集めたり、購入をすすめたりすることのないように、広告に関して宅地建物取引業法 第32条で次のように定められています。
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
宅地建物取引業法 第33条で広告の開始時期の制限も
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項 又は第二項の許可、建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
不動産の表示に関する公正競争規約でも細かいルールが
上でご紹介した宅建業法とは別に不動産公正取引協議会連合会では、不動産業界のルールとして「不動産の表示に関する公正競争規約」を定めています。業界で自主規制をしているということですね。
その中には表示すべきことや不当表示の禁止などが盛り込まれています。
表示すべきこと | ・広告主に関する事項 ・物件の所在地、規模、形質その他の内容に関する事項 ・物件の価格その他の取引条件に関する事項 ・物件の交通その他の利便及び環境に関する事項 など |
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不当表示の禁止 | ・不当な二重価格表示 ・不当な比較広告 ・物件の所在地 ・交通の利便性 ・各種施設までの距離 ・団地の規模 ・面積 ・建物の間取り・用途 ・利用の制限 ・設備・生活関連施設 ・環境など ・写真・絵図 など |
表示すべき項目は、「見やすい場所に見やすい大きさ、見やすい色彩の文字でわかりやすく表示すること」としています。
また、不当表示には駅までの距離を便利なように書いたり、写真をごまかしたりといったことも含まれるので、注意しましょう。
不動産広告のルールはチラシ以外にも適用
このような広告に関するルールはチラシだけが対象ではありません。ホームページやテレビCMなどあらゆる媒体が規制の対象になっています。
インターネットでは画像を加工して汚れを隠したり、パッと目を引きキャッチコピーを付けたりしがちですが、ルールに触れないか注意が必要です。
マンション売却のチラシ作成のポイント
マンション売却時のチラシは、ルールを守ることが大切です。しかし、グレーな表示が多いのも事実です。
マンション売却のチラシにはグレー表示が多い
まず多いのが「誇大表示」でしょう。と言ってもチラシを作成している側は誇大表示だと意識していないケースがあります。
「自分が歩いたら駅までは5分だった」
「ここにバス停があるのは便利だ」
と主張…というか開き直るケースです。
確かにその人の足では5分で行けたとしても、高齢者や小さなお子様連れではとても5分で行けないということがあります。また、信号や踏切を渡る時間などを考慮しなければ徒歩5分で行けるというケースもあるでしょう。
そのため、マンションなど不動産のチラシは記載の内容をそのまま信じるよりは、やや低く見積もって見る人が多いようです。
マンション売却は値切るのが当たり前の世界!?
中古マンションや中古車などの市場は「レモン市場」と呼ばれています。「レモン」とは柑橘系のさわやかフルーツの意味もありますが、「良くないもの」という意味も持っています。
中古住宅や中古車などは写真や言葉だけでは欠陥・不具合がわかりにくい商品です。そのため、実際に手に入れてから欠陥に気づくということが多く、業者側はそれを隠して販売する傾向があります。その結果、粗悪品が流通しやすい市場=レモン市場ということになります。
顧客も購入前に物件を見学してチェックはするはずです。その際に少しの傷やチラシとの違いを見つけては「ここが〇〇だから値引きしてよ」と交渉を始めます。
このようにマンションの売買では値切るのが当たり前になっているのです。
マンション売却のチラシには成約価格よりやや高めの売出価格を出す
値切られるのを前提にして、「これくらいで売れるといいな」という価格よりも少し高めの売出価格を表示するという方法があります。
ただ、これもバランスが重要です。周辺の同程度の物件と比較して、「高すぎない価格」を設定しましょう。
マンション売却のチラシでアピールすべき点
マンション売却の成否を分けるという意味でも、チラシで何をアピールするかは重要なポイントです。
自分なりの言葉を伝える
不動産会社はチラシ作成を何度もやっているので、テンプレート(ひな型)があります。また、法律で禁止されている表示内容などもあるので、まずは不動産会社のアドバイスに従いましょう。
一方で、テンプレートの通りに項目を埋めるだけではありきたりの表現方法になってしまいます。その場合は自分なりのアピールポイントを伝えてみましょう。
不動産業者が気づかない魅力
例えば次のような魅力をアピールしてはどうでしょうか。
- ベランダは日当たり良好!プランター菜園で手作りの野菜が楽しめる
- エレベーターに近い部屋!外に出ればすぐに公園なのでベビーカーでのお散歩も快適
- 手入れの行き届いたキッチンはお料理好きな奥様におすすめ
- 〇〇駅の最終電車は△△時。駅から家までは街頭があり明るい道路なので遅い帰宅でも安心
- 収納が〇ヶ所!荷物が多くても安心です
チラシにはあまり長い文章は入れられませんが、このようにキャッチコピーのような短い文章でアピールしてみましょう。
マンション売却時のチラシ作成の注意点~まとめ
マンション売却では売りたい物件の魅力をいかに伝えるかが重要です。そのためチラシには魅力をあらゆる角度から紹介したいのですが、宅建法などの法律でさまざまな規制があります。
ルールに触れない範囲で魅力をアピールしてみましょう。
また、値切られることを視野に入れて、やや高めの金額を設定するのもポイントです。