どんなものにも「売り時」があります。中古マンションの場合はやはり高く売れるタイミングを逃さないことが大切です。もちろん転勤や引越しなど自分の事情で時期を選べないということもありますが、それでもやはり少しでもいいタイミングで売りたいものです。
後で「あ~!あのとき売っておけばよかった」と後悔しないために知っておきたいポイントをまとめました。
マンション売却に最適のタイミングとは
マンション売却はいつでも可能ですが、少しでも好条件で売るにはそれなりのタイミングを外さないことが大切です。
マンション売却のタイミングを決める4つの要素
マンション売却のタイミングを考える要素は、大きく分けると次の4つがあります。
世の中の動き | 景気の動向、金利の動向、不動産市況など |
---|---|
季節要因 | 人事異動や子どもの入学などの新年度など季節の要因 |
税制 | 譲渡所得税の税率 |
築年数 | 売れやすい築年数を逃さない |
では、ひとつずつ見ていきましょう。
マンション売却のタイミングは世の中の動きを見ることが大切
よくテレビのニュースなどで「〇〇の影響で都心の新築マンションがよく売れています」とか、「今は〇〇なので中古マンションが人気です」といった報道がなされています。
これは世の中のさまざまな影響を受けているからです。
中古マンション売却に影響を与える世の中の動き
では中古マンションが売れる背景にある世の中の動きとは何でしょうか。ひとつだけでなく、いくつもの要素があります。
- 景気の動向
- 金利の動向
- 消費税
- 住宅取得税
- 世間の動き
景気の動向に注目しよう
好景気になると住宅だけでなく、ものを買おうという気運が高まります。一方、不景気になると財布のヒモが固くなるので住宅のような高額なものは売れにくくなります。
「世間では好景気だと言われているけれど、自分は少しも豊かじゃない」と思うかも知れません。しかし、世間全体が好景気と言われている時期は高額なものでも売れる傾向があります。
自分だけのものさしで判断しないことが大切です。
低金利時代は不動産が売れる
マンションの購入には住宅ローンを組むため、金利の動向は売れ行きを大きく左右します。特に低金利時代は住宅が売れやすくなります。
消費税が上がる前は特に狙い目
マンションに限ったことではありませんが、消費税が上がる前は「駆け込み需要」と呼ばれるようにものがよく売れます。
消費税は2014年(平成26年)4月1日から8%になりましたが、2019年(平成31年)10月1日からは10%に上がることが予定されています。(2018年10月現在)
マンションのように高額なものは10%の消費税は大きな負担になります。消費税増税までがマンション売却の好機だと言えるでしょう。
住宅取得税の動きもチェック
住宅(新築、中古)や宅地を購入すると「不動産取得税」がかかります。しかし、住宅取得を促進するために軽減措置が設けられています。
中古マンション購入にもこの軽減措置があります。条件は築年数や用途などによって変わります。また、法改正で税制が変わることがあります。その都度チェックするのは大変なので、マンション売却を考えるときに不動産会社に相談してみましょう。
世間の動きも重要な要素
首都圏は東京オリンピックを目前にして不動産市況が活気づいています。オリンピックまでは好調と見られていますが、閉会後はどうなるかわかりません。
また、大学ができるとか大きなショッピングモールができるといった要素もマンションの売れ行きに影響を与えます。こういった情報は素早くキャッチできるように日ごろからニュースなどをチェックしておきましょう。また、不動産会社と親しくなって情報収集することもおすすめです。
マンション売却のタイミングは季節も考えよう
不動産には売れる季節があります。一年の中でもっとも人が動く時期が狙い目です。
人の移動が多い時期がマンション売却の好機
それは「1月~3月」です。特に新年度を控える3月は転勤や子どもの進学などをきっかけに引越す人が多くなるため、住宅の購入も賃貸も活気づいてきます。
また、9月も人の移動があります。こういった時期に合わせてマンション売却をするなら、その2~3ヶ月前から不動産会社を通じて売りに出すようにしましょう。
賃貸の更新時期もマンション購入のタイミング
賃貸住宅に入居している人は「更新時期」があります。「このまま数万円の更新料を払ってここに住むか、この機会に引っ越すか」を考える時期なのです。
もちろん更新時期は人によって違います。そのため、3月、9月を逃したからといってまったく売れないというわけではありません。
マンション売却による譲渡所得税は手放すタイミングで変わる
今度は買い手側ではなく売り手側のメリットで売却のタイミングを見てみましょう。譲渡所得とは土地や建物などの資産を譲渡(売却)することで得た所得のことで、所得税が課税されます。
譲渡所得の税率
譲渡所得の税率は、下記のように物件を所有している期間によって変わってきます。
所有期間 | 所得税(※) | 住民税 | 合計 | |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9.0% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5.0% | 20.315% |
(※)復興特別所得税(平成25~49年)として所得税の2.1%相当が上乗せされています。
ただし、売却した価格すべてに課税されるわけではなく、下記のように控除があります。
- マンションの売却費用-{取得費+譲渡費用(仲介手数料や修繕費など)}=譲渡所得
少しでも減税をするためには、長期譲渡所得の対象になる5年超がおすすめです。
マンション売却のタイミングは築年数も考慮すること
中古マンションは築年数によって評価額が大きく変わります。価格だけでなく売れ具合も築年数によって変わるため、マンション売却を考えるならば築年数は意識しましょう。
人気の物件は築11年~15年
REINS(レインズ:不動産流通機構)の首都圏の中古マンションの動向を示すデータによると、築年数別の対新規登録成約率は下記の通りです。
対新規登録成約率とは「成約件数(実際に売れた物件数)÷新規登録件数(売りに出された物件数)」のことで、売りに出された物件のうち、どれくらいが成約(売れたか)がわかります。
2015年 | 2016年 | |
築0~5年 | 24.9 | 22.9 |
築6~10年 | 22.0 | 21.2 |
築11~15年 | 27.3 | 26.6 |
築16~20年 | 21.9 | 21.6 |
築21~25年 | 16.3 | 18.3 |
築26~30年 | 14.4 | 14.1 |
築31年~ | 16.9 | 15.7 |
この表を見ると築11年~15年の物件の成約率がもっとも高いことがわかります。
築年数によって人気が違う理由
築年数が浅い物件ほど室内はきれいだし、設備も新しいものが入っています。しかし、その分、価格が高くなってしまいます。一方、築10年を超えると価格はかなり下がってきます。
特に築11年~15年の物件に人気があるのは、品確法の影響があると考えられます。
品確法とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のことで、平成12年4月1日以降に契約する新築物件には、10年間の瑕疵(かし)担保責任が義務づけられました。
これによって、もし入居後になんらかの欠陥が見つかった場合は売り主や施工業者が賠償責任を負うことになります。それが購入者の安心感につながっているのでしょう。
古い物件でも修繕していれば売れる
築15年以上が経過している物件は価格は安くなりますが、「古い」という点で敬遠されがちです。しかし、修繕をきちんとしていれば売却は可能です。
その場合は修繕履歴をしっかり残しておくと買い主にアピールできます。
マンション売却のタイミング~まとめ
マンションを少しでもいい条件で売却するには、次の要素をよく見てベストなタイミングを外さないようにしましょう。
- 世の中の動きをよく見ること
- 人が動きや季節要因を外さないこと
- 譲渡所得の税率が有利になる5年超を狙うこと
- 売れやすい築年数かどうかを確認すること
マンションは売りに出してすぐに売れるとは限りません。
こういった要素をよく考えながら、不動産会社に相談してタイミングを計っていきましょう。