親の経営するアパートを相続した時の対処法|放棄するべき?

親の経営するアパートを相続した時の対処法|放棄するべき?

2015年の相続税の増税以降、相続対策でアパート経営を始める方が増えました。そのため、親の相続をきっかけに賃貸アパートを引き継ぐケースも増えています。突然賃貸アパートのオーナーになった相続人の中には、何をどうすれば良いか戸惑ってしまう方も多いでしょう。

今回の記事では親の経営するアパートを相続した際の対処法について、放棄するべきかどうかの判断基準なども踏まえて詳しく解説をしていきます。

親のアパートを相続した時の対処法

賃貸アパートに住んだ経験のある方は多いでしょう。住んでいる際にはあまり意識しないかもしれませんが、賃貸アパートにはその物件を保有しているオーナーがいて、不動産賃貸事業を経営しています。もし自分の親がそのオーナーで、その親に相続が発生した場合は自分がそのアパート経営を引き継ぐことになります。

滅多にないことのように思うかもしれませんが、冒頭説明したように相続税対策で賃貸アパートの経営を始める方は増えています。他人事のように思っていたら、相続の発生と同時に突然賃貸アパートのオーナーもなる方も少なくありません。親のアパートを相続した場合は、どのように対処すれば良いでしょうか。

相続でアパートを引き継いだ場合の選択肢は、大きく3つあります。そのままアパート経営を引き継ぐか、もしくは売却をするか、そもそも相続をしない(=相続放棄をする)の3つです。まずは、それぞれの方法について見ていきましょう。

そのまま経営を引き継ぐ

せっかく相続で親から土地と建物を引き継いだのですから、そのまま経営を引き継ぐことが一番の有力な選択肢となるでしょう。

賃貸アパートの収入は不労所得とも言われる収入で、極端に言えば何もしなくても家賃収入が毎月入ります。毎月安定収入が入るアパートを相続したのであれば、そのまま保有をすることで受け継いだ土地を守ることも出来ます。

しかし不労所得と言ってもやはり経営ですから、手間やリスクはあります。入居者の方が快適に暮らせるように、定期的な修繕も必要になりますし、火災や地震などの災害リスクにも備える必要があります。

またサラリーマンの方であれば、給与収入以外の収入が増えるため毎年の確定申告も必要になるなどの事務負担も増えることになります。アパート経営を引き継ぐ場合は、単純に毎月の収入が増えるだけではない点に注意をしましょう。

売却をする

アパート経営が不安な場合や手間をかけたくない場合は、売却も一つの選択肢です。また相続税が高額になり、納税資金が足りない場合はアパートなどを売却して納税資金を確保するケースもあります。他にも相続人間でアパートの遺産分割がまとまらず、売却して現金にして分けやすくするケースもあります。

このように相続したアパートを売却するのも選択肢の一つですが、納税資金の確保として売却する場合は注意が必要です。相続税の納税は相続が起きてから10ヵ月以内に行う必要があるため、時間的余裕がありません。

相続税の納税資金が足りなくて物件を売却する場合は、このように時間的制約があるなかでの売却になるため相場より安くなってしまう可能性があります。相続人としてはこのような売り方が出来るだけ避けたい所ですが、そのためには故人が亡くなる前からの対策が重要となります。

近年は終活がブームとなっていることもあり、相続対策のような亡くなった後の話題も出しやすいですが、本来は亡くなった後の話を本人にするのはタブーとも言える行為でした。

しかし残された家族が困らない為には、生きている内からの対策が必要不可欠です。納税のために相続したアパートを投げ売りすることのないように、親族間で早い内から話し合っておくことが重要です。

相続放棄をする

これまではアパートを相続した後でどう対処するかを説明して来ましたが、そもそもアパートを相続しないという方法もあります。相続が起こった際、相続放棄という手続きをすることでアパートを相続しないことが出来ます。

相続放棄とは、名前の通りを相続を放棄することを言います。相続放棄のポイントは、アパートなどの財産を選んで放棄が出来る訳ではなく、相続放棄を選択するといっさいの相続財産を引き継ぐことが出来なくなる点です。相続放棄をする場合は、相続が発生してから3ヶ月以内に家庭裁判所に手続きをする必要があります。

相続放棄には借金を引き継がなくて良いメリットがある一方で、財産をいっさい受け取れなくなるデメリットなどもあります。そのため下記のメリット・デメリットを良く認識して判断することが大切です。

メリット デメリット
  •  借金を引き継がなくても良い
  • 相続トラブルに巻き込まれない
  • いっさいの財産を受け取れない
  • 一度放棄をすると取り消しできない
  • 他の相続がトラブルになる可能性がある

相続放棄の期限は3ヶ月ですが、その3ヶ月の間に故人の遺産を使ってしまったりした場合は相続するものと見なされ、相続放棄が出来なくなる点にも注意が必要です。故人の預金を引き出して使ってしまったり、故人の車を名義変更したりしないように気を付けましょう。

放棄するべきかどうかを判断するポイント

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相続放棄をすると、故人の財産のいっさいを引き継ぐことが出来なくなります。親が保有している土地などの財産があれば、引き継いだ方が得になると思ってしまいますが、相続放棄をした方が良い場合もあります。どのような場合に相続放棄そすれば良いか、具体的に見ていきましょう。

相続財産の全体を確認する

相続と聞くと、財産を引き継ぐイメージを持っている方が殆どでしょう。しかし相続で引き継ぐ財産は預金やアパートのような資産だけでなく、借金のようなマイナスの財産も引き継ぐことになります。亡くなった故人にプラスの財産もマイナスの財産も有る場合は、両方を引き継ぐ必要があります。

しかし場合によっては、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合もあります。この場合に相続人が財産を引き継いだとすると、借金だけを背負うことになります。このような場合には相続放棄をすることで、財産も引き継げないかわりに借金を引き継ぐ必要もなくなります。

相続放棄をするかどうかの判断は、故人の財産の全容を把握したうえでプラスになるかマイナスになるかを見極めて判断すると良いでしょう。

良い物件かどうかを見極める

相続放棄をするかどうかの判断をする場合、財産の価値を適切に査定をすることが重要になります。アパートの場合は、そのアパートの建築費用として借入がセットになっている場合が多くあります。

そのため借入額の残債とアパートの価値を適切に見極めることが、相続放棄を判断するうえでとても重要なポイントになります。

売却価格を調べる

ではそのアパートの価値を適切に見極めるのはどのように考えたら良いでしょうか。アパートの価値を考えるにはいくつかの考え方がありますが、まずはそのアパートの売却価格を調べましょう。

アパートの売却価格はそのアパートの時価に近い価格になりますから、その価格が借入の残債よりも多ければそのアパートはプラスの財産ということになります。

ここで注意したいのが、相続税を計算する際にはアパートなども含めた不動産は相続税評価額で計算することです。相続税評価額とは相続税の計算に使われる評価額であって、不動産の時価とは違います。

一般的に、相続税評価額は時価の7割程度の価格となります。アパートの価値と借入の残債を比較する場合は、相続税評価額と時価を混同しないようにしましょう。

不動産の売却価格を調べる場合には、不動産会社の査定を利用すると良いでしょう。プロの目で、しかも無料で不動産の相場を査定してくれるので売却価格が正確に分かります。また査定の際には、複数の不動産会社の査定を比較することでより正しい金額が分かります。

インターネット経由の一括査定を利用すれば、手間なく複数の不動産会社の査定を依頼することが可能です。

 

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収支を確認する

アパートの場合は、収支を確認するのも大切です。収支とは、収入から支出を引いた金額でそのアパートが利益が出ているかどうかが分かります。そのアパートの経営が黒字になっているか赤字になっているかも、相続放棄を検討する際には重要なポイントです。

収支における収入とは、家賃収入のことです。1年間の家賃収入から、管理費や固定資産税などの支出、借入の返済などを引いて収支を確認します。

収支が黒字なのであれば、そのアパートを引き継ぐことで今後も利益は発生します。しかし、家賃収入は年数が経過すればするほど下がっていく点には注意が必要です。相続で引き継いだ時点で築年数が10年以上を経過をしているような場合だと、今後近い内に大きな修繕費用が必要になる可能性があることも意識しておきましょう。

収支が赤字の場合でも、すぐにマイナスの財産とは限りません。たまたま空室が多いタイミングの可能性であれば、一時的に赤字になっているだけの可能性もあります。物件の築年数や立地などを考えて、そのアパートの収支が今後どのように変化するかを検証するようにしましょう。

次の相続のことも考える

相続放棄をすると、その相続人は初めからいなかったものとなります。そのため場合によっては、他の相続人にしわ寄せが行きトラブルとなる可能性がある点にも注意が必要です。この点を説明するには、まずは相続の順位について理解しておくことが必要です。

相続には順位がある

相続が発生をした際、相続人(=財産を受け取る権利のある人)には誰がなるかは家族構成によって決まります。家族や親族であれば誰でも相続人となる訳ではありません。

相続人になるには、実は血縁関係によって順位が決まっています。配偶者→子供→父母→兄弟姉妹、というのが分かりやすい順序ですが実際には様々なケースがあります。

下記は国税庁のホームページの抜粋で、相続人の順位を表したものです。

参照:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」より抜粋

配偶者の相続に関する権利は強く、亡くなった方に配偶者がいる場合は、常に相続人になります。更に子供がいる場合は、配偶者と子供が相続人となります。第2順位は亡くなった方の父母に当たり、子供がいない場合に父母が相続人となります。

つまりこの場合は、配偶者と父母が相続人となります。第3順位が兄弟や姉妹です。兄弟姉妹は子供も父母もいない場合にのみ相続人となり、配偶者と兄弟姉妹というようになります。

相続放棄はいない者となる

相続の順位が理解出来たら、相続放棄をした場合の影響を考えてみましょう。相続放棄を選ぶと、その相続人は始めからいなかったものとして考えられます。例えば、配偶者は既に亡くなっている父が亡くなり、財産よりも借金の方が多かったため子供が相続放棄をしたとします。

この場合他に子供がいなければ、第2順位の祖父母が相続人となってしまうことになります。何も知らない祖父母がそのまま相続をしてしまうと、年老いた祖父母が亡くなった父の借金を背負ってしまうことになります。

更に同じケースで祖父母もいなかった場合を考えてみましょう。祖父母がいない場合は、第3順位の兄弟姉妹が相続人になりますから、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。亡くなった父の子から見たら、叔父や叔母が相続人となり父の借金を背負うことになってしまいます。

このように相続放棄をする際には自分だけでなく、周囲の親族と相談しながら進めることが大切です。先ほど説明したケースでは、祖父母や叔父・叔母も同時に相続放棄をすることでトラブルを防ぐことが出来る可能性があります。

親のアパートを相続する際の注意点

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これまでは相続放棄の判断基準について説明してきましたが、やはり親などから引き継いだ資産ですから手放さずに引き継ぐ判断をする方も多いでしょう。

一方で、アパート経営に慣れている方は少ないですから相続には注意が必要です。ここからはアパートを相続した場合の注意点について説明していきます。

すぐに売らない方が良いこともある

冒頭にも説明した通りですが、アパートを相続で承継した場合の対処法は2つです。そのまま経営を引き継ぐか、売却をするかの二つです。相続のアパートを売る際のコツは、売り急がないことです。

納税期限に間に合わせようと売り急ぐと安く売ってしまうことは先ほども説明したしたが、一度相続をしたのであればじっくりと時間をかけて売る方が高く売れる可能性があります。不動産の価格は変動しますし、売り急がないことで買主との価格交渉も有利に進めることが出来るからです。

またアパートの場合は、少し手間を変えることで高く売れる場合もあります。例えば、空室が多いアパートであれば入居者を入れて満室にして売り出した方が買い手が付きやすいです。

雑草が生えていたり、廊下などの共用部分が汚れていたりする場合は掃除をしたり、故障している箇所があれば直して見た目を綺麗にする方が高く売れます。

アパートを購入する方は、マイホームと違って収支や建物の管理状況などを見て事業として購入する投資家です。資金化を急いで売却するよりも、事業としての見栄えをよくすることが大切ですので売り急ぐことのないように気をつけましょう。

一括借り上げや管理会社の変更を検討する

アパートの経営と言うと、専門的な知識や経験が必要でとても自分には務まらないと思う方もいるかもしれません。確かに賃貸アパート経営するには、知識やノウハウは必要です。しかし必要な知識やノウハウが自分にない場合は、不動産会社に一括管理を依頼してしまう方法もあります。

一括借り上げであれば日常の管理や修繕は不動産会社が全て行ってくれるので、オーナーは安心して任せることが出来ます。また入居者が退去をしても、オーナーの手取り額が変わらない家賃保証も魅力です。

一方でその分管理費などの手数料が高くなるというデメリットがあります。サブリースとも呼ばれるこの形態は、オーナーにメリットある一方でトラブルになった事例も少なくありません。当初約束していた賃料が大幅に下がったり、契約が解除されたケースが相次ぎました。

このような事態に関する注意喚起として国土交通省が出したのが、下記のような注意喚起のチラシです。

参照:国土交通省「アパート等のサブリース契約で特に覚えておきたいポイント例」より抜粋

高齢の方が相続対策で建築するアパートはサブリース形式が多いのが現状です。相続対策を売りにして、地主などのアパート建築をサブリースとセットで営業を掛けている建築会社も多くあるためです。もちろんサブリースが全て悪いという訳ではなく、アパートが次世代に引き継がれたタイミングは、若い経営者の新しい視点で経営を見直すチャンスとなります。

例えば、立地の良い駅近の物件であればサブリースの家賃保証を付けない方が良い場合もあります。家賃保証は空室リスクを減らすことが出来るので安心感がある一方で、手数料が高いです。立地が良いなどの空室リスクの少ない物件であれば、サブリースを外した方が収支が良くなります。

サブリースを付けていない物件であっても、管理会社の見直しをすることで収支が改善する場合もあります。管理会社は日常の清掃業務や、賃料の集金など日常的な管理や退去した部屋の現状回復工事の手配など賃貸経営をするうえで重要な役割を担います。

管理会社が報酬として受け取る管理費用も会社によって違いがあり、管理のサービス面も会社によって違います。管理会社を見なおすことで収支が改善したり、物件の管理状況が改善する可能性もあります。

もしかしたら、親が建築したアパートは管理会社なども良く比較しないまま決めてしまっているかもしれません。アパートを相続で引き継いだ場合は、一括借り上げや管理会社を見直すチャンスでもあることを認識しておきましょう。

売却をした方が良い場合もある

先程の急いで売却をしない方が良いとの説明と若干矛盾するかもしれませんが、物件によっては売れるうちに売った方が良い物件もあります。どのような物件かというと、立地があまり良くない物件や築年数が古いなど今後手間がかかってしまうことが予想出来る物件です。

立地の悪い物件は賃貸ニーズが悪く、築年数が経過するにつれて賃料を下げなければ入居状況が悪くなります。また築年数が経過した物件も同様で、入居状況は悪くなり修繕などにお金かかる場合もあります。

このように立地や築年数から総合的に考えて、今後価値が下落する可能性の高い物件であれば、早めに売却をした方が良いです。

売却をするのが良いか、経営を続けるのが良いかの判断はとても難しい物件もあります。迷う場合は、プロの不動産会社に相談するのも良いでしょう。不動産会社に相談するにも、どこに連絡をすれば良いかも分からない場合は、不動産の一括査定の利用をおすすめします。

査定を行うことで売却価格の確認が出来るとともに、賃貸アパートの管理を行っている不動産会社に相談することも出来ます。複数の不動産会社に依頼するに大変手間がかかりますが、インターネットの一括査定を利用すれば手間なく多くの不動産会社に相談することが出来ます。

親のアパート相続に関するまとめ

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今回の記事では親の経営するアパートを相続した場合の対処法について解説をしました。

終活ブームに伴って相続対策の一環でアパート経営を始める方が増えています。そのため、親の相続で慣れないアパート経営を行う方も多いでしょう。そのアパートを引き継ぐのか、売却した方が良いのかは人それぞれですし物件によっても違います。

最適な判断をするには、親の生前から相続や相続財産について共有して話し合っておくことが何よりの解決方法です。相続が起こって、初めて賃貸アパートの存在に気付くようでは適切な判断が出来ません。

もしアパートを売却する場合は、不動産会社のインターネット一括査定サイトの利用をオススメします。不動産の価格について無料で調べることが出来ますし、提携している不動産会社も多いので客観的に判断することが出来ます。

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