築30年以上のマンション売却は大変!?損をしないためのポイント

築30年以上のマンション売却は大変!?損をしないためのポイント

古いものを大切にするイギリスでは築50年のマンションは当たり前、中には築100年以上という物件も存在します。古いほど価値があると考えるお国柄ならではですね。
しかし、日本では築30年以上の物件となると、かなりの古株と言えるでしょう。築30年以上のマンション売却は可能なのでしょうか?

築30年以上のマンションの資産価値

築30年以上のマンションの資産価値はどれくいらいでしょうか?まったく価値がないのか、予想以上に高く売れるのか気になりますね。

資産価値を左右する耐震基準

築年数30年以上のマンションの資産価値を判断する目安のひとつが「新耐震基準」です。1981(昭和56年)年に建築基準法が改正され、「新耐震基準」が導入されました。

建築基準法の新耐震基準とは

大規模地震に備えるために導入された新耐震基準

建築基準法は1950(昭和25)年に制定されました。その背景には1948(昭和23)年に発生した福井地震があります。住宅が地震の被害を受けないように一定の耐震基準を設けました。

その後も大地震が起こるたびに建築基準法は改正されています。そして、1978(昭和53)年の宮城県沖地震の後、1981(昭和56)年にさらに改正されました。それを「新耐震基準」と呼び、それ以前の耐震基準を「旧耐震基準」と呼んでいます。

新耐震基準の内容

新耐震基準の内容は次の通りです。
●中規模(震度5程度)の地震でほとんど損傷しないこと
●大規模(震度6強~7、阪神・淡路大震災クラス)の地震で倒壊・崩壊しないこと

1995(平成7)年1月に発生した阪神・淡路大震災では建物(住居やビルなど)の倒壊が原因で多くの人が犠牲になりました。その中でも新耐震基準を満たしていない建物での被害が多かったことがわかっています。

築30年以上でも新耐震基準を満たしていれば安心

このような背景から、築30年以上でも新耐震基準を満たしている物件(1981年以降に建築)は安心できるため、資産価値は高いと言えます。

資産価値は築年数だけでは決まらない

なお、中古マンションの資産価値は築年数だけで決まるわけではありません。

中古マンションの資産価値を決める要因

マンションの資産価値を左右する要因には、次のものがあります。

  • 立地(主要な駅までのアクセスや周辺環境など)
  • マンション全体の管理状況(管理組合が機能しているかどうか、修繕積立金が充分にあるかどうかなど)
  • リフォームがされているか
  • 将来的にマンションの建て替えが可能かどうか(十分な容積率があるかどうか)

もし築年数が古くてもこれらの要因を満たしていればニーズはありますし、十分に売れると判断できます。

築30年以上のマンション売却は難しい?

築30年以上のマンション売却は難しいのでしょうか?実際どれくらい売れているのかをデータで見てみましょう。

売れ筋は築11年~15年

REINS(レインズ:東日本不動産流通機構)の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2016年)」を参考にしてみましょう。首都圏の中古マンションで売り出した物件(新規登録件数)に対して何件くらい成約したかを示す「対新規登録成約率」では、築11年~15年がよく売れていることがわかります。

築年数 2015年 2016年
築0年~5年 24.9% 22.9%
築6年~10年 22.0% 21.2%
築11年~15年 27.3% 26.6%
築16年~20年 21.9% 21.6%
築21年~25年 16.3% 18.3%
築26年~30年 14.4% 14.1%
築30年~ 16.9% 15.7%

ただ、築30年以上はまったく売れないかと言ったら、決してそうではありません。

築30年以上のマンションは低価格が魅力

同じくレインズのデータから築年数によって成約価格がどう変わるのかを見てみましょう。比較をしやすくするために1㎡当たりの単価で比べてみます。

築年数 ㎡単価
築0年~5年 743,700円
築6年~10年 611,700円
築11年~15年 564,600円
築16年~20年 467,300円
築21年~25年 315,500円
築26年~30年 299,700円
築30年~ 297,900円

やはり売れ筋の築11年~15年の物件は㎡単価が高いですが、築30年以上になるとかなり安くなっています。それでも売れていることを見ると、設備などよりも価格が魅力であることを物語っていると言えるでしょう。

築30年以上のマンション売却はリフォームよりも値引きを重視

築30年以上の中古マンションを売却する場合、リフォームした方がいいのか迷う方がいらっしゃるかも知れませんが、リフォームに費用をかけるとその分売出価格も高くなってしまいます。

目に余るほどの汚れや傷がある場合は止むを得ませんが、それほどでもない場合はリフォームは最小限に抑えて価格を全面に出すといいでしょう。

なお、リフォームはその規模や内容にもよりますが、多額の費用がかかります。判断は難しいので信頼できる不動産会社に相談されることをおすすめします。

築30年以上のマンション売却と建て替えはどっちがいい?

築30年以上のマンションやアパートを1棟所有している人の場合、このまま持ち続けるのがいいのか、建て替えるか、あるいは更地にして売却するという選択肢があります。

マンション売却か更地か計算しよう

マンション売却の価格

例えば家賃が5万円、10室の物件で全室埋まっている場合、表面利回りを10%で計算してみます。

  • 5万円×12ヶ月×10室÷0.1(利回り)=6,000万円

この6,000万円が売却の目安になります。(正確な金額を出すには専門家の査定が必要です。)

更地で売却したときの価格

更地で売却する場合は土地代を計算します。土地の評価額の計算には次の4つの方法があります。

  • 時価(実勢価格)
  • 公示価格
  • 固定資産税評価額
  • 相続税路線価

固定資産税評価額は固定資産税の明細書を元に計算します。

  • 固定資産税評価額×1.4=土地の評価額

おおまかな金額ですが、まずはこの方法で土地の価格を出してみましょう。

更地売却は取り壊し費用が必要

もし土地の評価額が6,500万円になった場合、更地にして売却する方が利益が得られます。しかし、更地にするには物件の取り壊し費用が必要です。取り壊し費用を差し引いてもマンション売却費用より評価額が高ければそちらを選択するといいでしょう。

その場合、入居者をすべて退去してもらう必要があります。そういった手順もよく考える必要があります。

建て替えはさらに費用がかかる

更地にして売却する方法と建て替える方法がありますが、建て替えの場合は立地や周辺環境、土地の広さなどを十分に考慮しなければなりません。

多くの費用がかかるだけに慎重に検討することが大切です。

築30年以上のマンション売却~まとめ

築30年以上の古い物件でも十分に売ることはできます。特に新耐震基準(1981年導入)を満たしている物件は安心感がある上に築年数が浅い物件よりも低価格で入手できるためニーズがあると考えられます。

また、古いからとむやみにリフォームをして価格を上げるよりも「古い物件だから安いだろう」という期待感を持つ人のために安く提供する方が売れやすくなります。

もし1棟分のマンション売却か更地にするかを迷っている場合は、それぞれの評価額を計算してみましょう。更地にする場合は取り壊し費用も計算に入れることが大切です。

築30年以上のマンション売却はケースバイケースで対応が異なります。評価額の計算方法やリフォームをするかどうかなど、素人判断は避けて専門家の判断を仰ぐのがおすすめです。

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