マンション売却を考えるとき、まず思い浮かべるのは「このままでもいいのだろうか」という点です。特に壁紙の汚れが気になるという人が多いのではないでしょうか。
マンション売却時は壁紙を貼り替えた方がいいのかどうか、検証してみました。
マンション売却時に壁紙を貼り替えるメリットとデメリット
マンション売却時に壁紙を貼り替えるのはメリットばかりではありません。デメリットもあるということを理解しておきましょう。
マンション売却時の壁紙貼り替えのメリット
まず壁紙を貼り替えるメリットから見ていきましょう。
- 壁紙の汚れや傷によって室内のイメージが悪くなるのを防ぐ
- 部屋全体が明るく感じられる
- 築年数が古くても古さを感じさせない
- 物件紹介の写真がきれいに写るのでいいイメージになる
このように見た目の良さがアップするというメリットがあります。
マンション売却時の壁紙貼り替えのデメリット
一方、壁紙を貼り替えた場合のデメリットもあります。
- リフォーム費用分を上乗せするので物件価格が高くなる
- 貼り替えた壁紙が顧客の好みに合わない場合がある
売り手側としては良かれと思って壁紙を貼り替えたのに、それが買い手の好みに合わないとか、費用が上乗せされるとあっては売れるものも売れなくなってしまいます。
マンション売却時に壁紙の貼り替えが必要なケース
人の好みはさまざまで、特に最近は多様化しています。万人に気に入られる物件は存在しないと考える方がいいでしょう。とは言っても、どんな状態でも壁紙の貼り替えなしで売りに出してもいいかというと、そうではありません。
やはり貼り替えた方がいいケースがあります。
貼り替えないで売却するとマイナスのイメージが
下記のような場合はお金を出してでも壁紙を貼り替えるようにしましょう。
大きな汚れ | 液体がかかったような大きな汚れやシミは写真にも写るため、第一印象が悪くなります。 |
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落書き | 子どもの落書きが消えない場合は貼り替えが必要です。 |
壁紙の破れ・亀裂 | 壁紙が破れていると、それだけできたなく見えてしまいますし、亀裂がどんどん広がる恐れがあります。 |
タバコのヤニ | タバコのヤニは見た目の印象が悪くなるだけでなくニオイもしみついています。 |
ペットのひっかき傷 | 猫の爪とぎや犬のおしっこのシミなどペットを飼っていてできる汚れや傷は嫌う人が多いので貼り替えが必要です。 ペット特有のニオイもしみついているので貼り替えましょう。 |
カビが発生 | 湿気が多い部屋やトイレ、洗面所などは壁紙にカビが発生して取れない場合があります。程度にもよりますが、衛生面を考えて貼り替えるといいでしょう。 |
マンション売却時~壁紙の貼り替え費用はどれくらい?
では、壁紙を貼り替える場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?正確な金額は現場を見て見積もりを出してもらう必要がありますが、ここでは一般的な費用をご紹介します。
壁紙の貼り替えはひと部屋で5万円~
リフォーム会社のサイトなどを見ると、おおよその予算がわかります。下記は壁4面と天井のクロスを貼り替えた場合の費用です。
リビング(6帖) | 4万円~7万円 |
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寝室(6帖) | 5万円~ |
子ども部屋(4.5帖) | 4万円~ |
トイレ(1帖) | 4万円~ |
1戸全体の貼り替え費用
このように壁紙を貼り替える場合は材質やグレードなどによって金額は変わりますが、1部屋でだいたい4~5万円はかかります。
3LDKの全室を貼り替えると30~40万円かかることになります。
汚れがひどい箇所だけ貼り替える?
すべての部屋を貼り替えると費用がかかるため、汚れがひどい場所だけ貼り替えるという方法もあります。ただ、その場合は貼り替えたところとそうでないところの差が目立って、余計に古い箇所を浮き上がらせる結果になるということもあります。
マンション売却時の壁紙の貼り替え~不動産会社の本音
売り手側としては「なるべく費用はかけたくないが、古びた壁紙のままでイメージが悪くなって売れないのも困る」というジレンマがあり、悩ましいところです。
では、物件を仲介する不動産会社の人はどう考えているのでしょうか?
壁紙は貼り替えずに買い手にリフォームをすすめる
顧客は新築ではなく中古マンションであることを承知の上で物件を探しているので、不動産会社は「あえて事前にリフォームをせずにそのまま見せる」という考え方を持っています。
部屋の使い方や好みは客次第
上でも書いたように、最近は好みが多様化しています。和室ひとつを取っても、次のようにさまざまな好みがあります。
- 塗り壁のように見える壁紙にしたい
- 和モダンな雰囲気が理想
- アジアンリゾートのような雰囲気にしたい
- 年配の両親が暮らすので落ち着いた雰囲気が希望
また、子ども部屋も好みが分かれます。
- かわいいキャラクターの壁紙にしたい
- 男の子だけなのでブルーを基調にしたい
- 女の子なのでお姫様のような部屋にしたい
- 宇宙をイメージできる部屋にしたい
- 子どもと言っても高校生なので勉強に集中できる部屋にしたい
- 中高生なのであまり幼稚な雰囲気は避けたい
ニーズや好みが多様化しているのに、「和室なのでこんな雰囲気で……」と事前に貼り替えてしまうと、逆効果になってしまいます。
また、部屋の使い方も人それぞれに考え方があるので、売り手側が一方的に「ここは寝室だからおとなしい雰囲気で……」などと決めつけない方がいいでしょう。
中古マンションなので多少の汚れは承知の上
売り手側としては「こんなに汚れがあると売れないのでは?」と気になりますが、実は買い手側はそれほど気にしていないというケースが多いようです。
中古なんだから汚れていて当たり前
全体に黄ばんでいるとか、壁紙が日焼けするということはどの物件でもあることです。顧客もそれは承知の上で物件を見ています。
貼り替えるべきかどうかわからない場合や心配な場合は、不動産会社に相談してみましょう。
リフォームをしない分、値引きできる
事前に壁紙の貼り替えなどのリフォームをすると、どうしても費用を上乗せすることになります。しかし、中古マンションを探している人は「安くていいものがほしい」と考えています。
費用を上乗せするのではなく、現状のままで見せて「お手頃価格」で売る方が得策だと言えます。
壁紙の貼り替えはマンション購入後にしてもらう
あえて古い壁紙のままで売却して、購入後に買った人に好きなようにリフォームしてもらうという方法があります。一見面倒でマイナスになりそうですが、顧客は自分の好みの内装にできますし、自分で納得のいくリフォーム業者を探して安く仕上げることも可能です。
壁紙よりも設備の方が重要
壁紙の黄ばみや日焼け、多少の汚れなどは、不動産会社はそれほど問題にしませんが、重要なのは設備の方です。給湯機や電気関係、ガスコンロ・IHクッキングヒーターなどが機能するかどうか、確認しておきましょう。
そして修理が必要ならばきちんと直しておきます。
ウォシュレットは替えた方がいい
トイレの便座やウォシュレットは交換を望む人がいます。まだ新しい場合はこのままでもいいかどうか、不動産会社と相談してみましょう。
マンション売却時の壁紙の貼り替えはどうするか~まとめ
少しでも新しいもの、少しでもきれいなものが売れるのは当然ですが、中古マンションの場合は壁紙の汚れや黄ばみが気になります。
しかし、全室の壁紙を貼り替えると30~40万円かかってしまいます。その分、物件価格が高くなるため、よほどひどい汚れや傷、カビなどがない場合はそのままで売りに出すのが得策です。
そして、購入後に自由にリフォームをするように、不動産会社から提案してもらいましょう。一方、設備が古い場合や修理が必要な場合は事前にきちんと直しておくことが大切です。
もし壁紙を貼り替えるべきかどうかで迷った場合は、不動産会社に相談してみてください。どの程度のリフォームが必要か、またその日数なども考慮して販売計画を進めていきましょう。