マンションを売却する際に、エアコンはそのまま残しておいた方がいいのでしょうか?それとも取り外した方がいいのでしょうか?迷いますね。エアコンの有無が査定額に影響するのかどうかも気になるところです。
今回は売却するマンションのエアコンの取り扱いについてご説明します。
マンション売却時のエアコンの取り扱い
まず、マンション売却の際にエアコンはどのような扱いになるのか見ていきましょう。
エアコンは付帯設備
エアコンは部屋の壁にぴったりと設置されているため、まるで部屋の一部のようなイメージがありますが、実はこれは不動産ではありません。
不動産と動産の違い
「不動産」とはその名の通り、動かせないものです。つまり、土地や建物を指します。厳密には「土地およびその定着物」を不動産というため、立木も不動産に含まれます。
しかし、それ以外のものは「動産」と呼びます。つまり、動かせるものという意味ですね。家具やベッドなどは動産なので、マンション売却の際には物件には含まれません。
マンションの付帯設備
特にマンション購入後に設置した設備のことを「付帯(ふたい)設備」と呼びます。付帯設備には、次のようなものがあります。
- エアコン
- 照明器具
- 浴室乾燥機
- カーテン・カーテンレール
- 物干し台
- テレビの衛星アンテナ
など
エアコンなどの付帯設備は取り外してもOK
エアコンなどの付帯設備は、マンションの持ち主(売主)が転居先で使いたいという場合があります。そのときは取り外しても問題ありません。
一方、転居先で使わないが、まだ使える機器なのでこのままにしておきたいという場合もあるでしょう。その場合は、買主と相談して取り外すか残すかを決断します。
最近はエアコンの処分には費用がかかるため、よく話し合うことが大切です。そして、残す場合は「付帯設備表」を作成して買主に渡さなければなりません。
マンション売却時にエアコンを残す場合の手続き
マンションにエアコンなどの付帯設備をそのまま残す場合は、契約書にその旨を記入します。
付帯設備一覧表を作成
付帯設備はエアコン以外にもあると思われます。そこで、「付帯設備一覧表」を作り、すべて記入します。その際には、それぞれの設備に不具合がないかどうかもきちんと伝えることが大切です。
付帯設備は不動産売買の契約書に記載
付帯設備の引渡
(付帯設備の引き渡し)
第〇条
1 付帯設備一覧表の設備のうち 「有」と記したものを、本物件引渡しと同時に買主に引渡す。
2 前項の付帯設備については、第○条(瑕疵担保責任)の規定は適用されないものとする。
瑕疵(かし)担保責任についても記入しておく
上記にあるように「瑕疵担保責任」についても記入する必要があります。
「瑕疵担保責任」とは物件の引き渡し後に故障が見つかった場合に、売主が賠償責任を負うというものです。しかし、エアコンなどの付帯設備の場合は壊れやすいものが多いため、売却時に作動確認などをした後であれば、瑕疵担保責任は免責(責任を負わないこと)を明文化しておく必要があります。
余談ですが、マンション売買の契約時には上記の付帯設備に関する条文と付帯設備一覧表以外に「物件状況等報告書」も一緒に作成します。物件状況等報告書は物件そのものの不具合などを記すものです。
売却時にきちんと不具合の箇所を伝えることで、入居後のトラブルを回避することができます。
マンション売却時にエアコンを残すと査定額はUPする?
マンションの売主としては「エアコンは買うと費用がかかるから、そのまま残しておく方が買主にとってプラスになるだろう。その方が査定額も上がるのではないか?」と考えるのではないでしょうか。
エアコンは査定額に影響しない!?
エアコンの程度にもよりますが、一般的にはエアコンを取り付けたままでも特に査定額が上がることはないと言われています。
マンションの査定額を決める要素
中古マンションの査定額は、次のようにさまざまな要素を勘案して出されます。
- 築年数
- 間取り(部屋数や専有面積)
- 方角、日当たり
- 何階か、角部屋か中間部屋か
- 立地や周辺環境
- 駐車場の有無や駐車場料金など
- 近隣の同程度の物件価格
など
このように多くの要素を総合的に見て査定額が出されます。エアコンが付いているかどうかは、それほど大きな影響を与える要素ではないと言えます。
マンション売却時にエアコンを外すか残すかの相談は誰とする?
自分が転居先で使う場合は、相談の必要はありません。不動産会社の担当者に「エアコンはどうしますか?」と聞かれたら、「持って行きます」と答えればOKです。
しかし、転居先には持って行かない場合は、買主の希望を聞いて判断します。仲介する不動産会社が間に入ってくれますし、不安なら担当者にその流れを相談してみましょう。
買主がそのまま設置を希望した場合
最近の賃貸マンションや賃貸アパートでは最初からエアコンが設置されている物件が増えています。これは大家さんが入居者のために取り付けたもので、所有権は大家さんにあります。
そのため、入居者が退去する際は当然、引越し先に持って行くことはできません。今まで賃貸物件に住んでいた人がマンションを購入する場合は、エアコンを新たに準備しなければなりません。
そんなときに売主から「このまま置いて行きましょうか?」と言ってもらえると喜ばれるケースがあります。
ただし、売主が転居先でそのエアコンを使う場合は買主に断ることなく取り外してもかまいません。
買主が新たにエアコンを購入するという場合
マンションの買主によっては、「何年か使ったエアコンはすぐに壊れる可能性があるし、省エネタイプではないと電気代もかかりそうだから、自分たちで新しいエアコンを購入します」ということもあります。
取り外したエアコンを処分する場合の処分費用は、エアコンの所有権がある売主が負担します。
エアコンは残すが不具合がある場合
買主がそのままエアコンを希望する場合でも、エアコンの動作になんらかの不具合がある場合やリモコンの動きが悪い場合は、そのことを細かく伝えておきましょう。
- スイッチの動きが悪く、時々動かないときがある
- 音が大きい
- 時々、リモコンに反応しないときがある
など
また、上でも書いたように、不具合をきちんと伝えた上で故障や問題が起こった場合に売主は賠償責任を負わないという「瑕疵担保免責」のことを契約書にきちんと書いておくことが大切です。
マンション売却時のエアコン問題~まとめ
売却するマンションに取り付けたエアコンの所有権は売主にあります。売主が転居先で使うために取り外してもいいし、買主のためにそのまま残しても構いません。
そのまま残しても特に査定額が大幅に上がるということはありませんが、買主が希望する場合は喜ばれるでしょう。
しかし、その場合でも、後で不具合が生じたときに賠償責任を負わないように、契約書には「付帯設備に関する条文」と「瑕疵担保免責」の項目を入れること、「付帯設備一覧表」を付けることが大切です。
一方、買主がいらないと答えて、売主も不要だという場合は処分することになりますが、処分にかかる費用は売主が負担します。
付帯設備はエアコン以外にもあります。それぞれの扱いをどうすればいいか迷ったときは、不動産会社の担当者に相談しましょう。