購入や売却、そして賃貸と、生活していく中で我々は何かしらの形で不動産にかかわっています。
この不動産取引で欠かせないのが不動産会社。好条件で不動産取引をするためには、まずは安心してすべてを任せられる信頼性の高い不動産会社選びが必要不可欠です。
巷では大手や古くからある地域密着型の不動産会社を勧める風潮があるようです。
確かに大手や古くからある地域密着型の不動産会社は信頼性、実績が共に高く、保有物件数も多いため好条件の不動産と巡り合う可能性が高いでしょう。
しかし、それを鵜呑みにして安心していると悲惨な状況を招くこともあるようです。
今回は本当に大手や古くからある地域密着型の不動産会社がおすすめなのか、そしてどんなポイントに気を付ければ良い不動産会社に巡り合えるのか、不動産会社の選び方のコツを徹底検証していきます。
不動産会社の選び方のコツ!大手と地域密着型どちらが最適?
不動産会社を選ぶなら、大手不動産会社や地元に古くからある地域密着型の不動産会社が良い、そう思っている人は多いことでしょう。
大手だから古くからあるから、この2つは会社の信頼性や安心度に大きく影響するので、そう思うのも当然のことです。
だからといって、安易に不動産会社選びをすることはおすすめできません。
大手不動産会社の特徴
大手不動産会社と呼ばれるところは、一部上場しており、全国各地に支店や営業所を抱えるため、基本的に販売実績が高く、年間販売実績が1兆円超えのところも多く見られます。
下記がその大手不動産会社と呼ばれる主なところです。
- 三井不動産(株)
- 三菱地所(株)
- 住友不動産(株)
- 東京建物(株)
- 東急不動産(株)
- 小田急不動産(株)
- 阪急不動産(株)
- 野村不動産(株)
- 伊藤忠都市開発(株)
- 有楽土地(株)
不動産に関心がない人でも、耳にしたことがある会社名がいくつもあるのではないでしょうか。
大成建設グループの有楽土地(株)のように、建設会社が資本を出しているところもありますが、大抵の場合、大手不動産会社は下記3ついずれかの資本提供で設立されています。
- 銀行
- 財閥
- 電鉄会社
そのため資本力が高いのも1つの特徴になってきます。
また大手不動産会社に限っては、不動産売買と不動産賃貸とでは、大手と呼ばれる会社がまったく異なってくるのです。
今紹介した大手は不動産売買を中心に取り扱っており、特に売却依頼をメインに受けています。
三井不動産(株)なら三井不動産レジデンシャルリースといった具合に、系列会社として賃貸専門の会社が設立されていますが、直接、賃貸にかかわることはありません。
よって、不動産賃貸で大手と呼ばれるところは、下記のようにまったく違ったラインナップになってきます。
- アパマンショップ
- mini mini(ミニミニ)
- Home Mate(ホームメイト)
- ピタットハウス
- お部屋探しMAST
- いい部屋ネット
- エイブル
- ハウスメイト
- レオパレス21
不動産会社は得意とする取引分野が違ってきますが、大手不動産会社では、これがはっきり分かれているというわけです。
この点は勘違いしないように、覚えておくようにしてください。
それでは大手不動産会社の特徴が分かったところで、メリットとデメリットについて見ていくことにしましょう。
大手不動産会社のメリット
大手不動産会社のメリットには、下記のものが挙げられます。
- 自社ネットワークが広く、情報量が多い
- 宣伝広告効果が高い
- キャンペーンがある
大手不動産会社のメリットといえば、自社ネットワークが広く、豊富な点でしょう。
全国各地に支店や営業所を構えているため、各出先に不動産情報を流して共有することができます。
そのため営業エリアが広くなり、賃貸にしても、売買にしても、地域限定の不動産会社より、借り手や買い手を多く募ることが可能です。
特に物件情報が多い上、宣伝広告費に長けていることから、多くの買い手や借り手が集まるのは、売り手や家主にとって大きなメリットになるでしょう。
近場で購入希望者や入居希望者がいなくても、遠方で見つかる可能性も出てきます。
またキャンペーンが催されることもあり、下記のような恩恵を受けられる点も見逃せません。
- 仲介手数料無料
- 敷金・礼金0円
これは地域密着型の不動産会社では、得られないメリットとなってくるでしょう。
大手不動産会社のデメリット
メリットだけ見ると地域密着型の老舗不動産会社の入り込む余地などなさそうな大手不動産会社ですが、デメリットがないわけではありません。
大手不動産会社のデメリットには、下記のものが挙げられます。
- 売主に値下げを要求してくる
- 社員の入れ替わりが多い
- 営業がしつこい
売買専門のところであれば、営業ノルマが高いく両手仲介にこだわるため、契約成立を急がせようと売主に値下げを要求してくることが多いと言われています。
賃貸専門のところも同様に、ノルマのため契約をせかされる、おすすめ物件ばかりを薦められるという声を耳にします。
また物件探しに訪れれば、その後の営業がしつこいとも言われます。
しつこい営業電話を嫌がる人は多いので、これは大きなデメリットになってくるでしょう。
そして社員の入れ替わりが多いのも難点です。
せっかく信頼できる担当者が見つかったのに、社員の転勤や退社により、担当者が変わってしまうこともあり、新しい担当者が使い物にならない新入社員という可能性もあります。
信頼関係が築けていない担当者だと、融通が利かないことも多くなってくるでしょう。
地域密着型の不動産会社の特徴
特定の地域に店舗を構えて、限られた範囲内の物件を取り扱っているのが、地域密着型の老舗不動産会社の特徴です。
「〇〇不動産」といった具合に、古くから営業している不動産会社がそれに当たります。
賃貸と売買なんでも取り扱うというところもあるようですが、賃貸は取り扱わず、売買をメインとしているところも多く見られます。
看板に「売買専門」と明記しているわけではありませんから、見極めができないのが難点です。
それでは地域密着型の不動産会社のメリット・デメリットには、どのようなものがあるのかを、見ていくことにしましょう。
地域密着型の不動産会社のメリット
地域密着型の不動産会社のメリットは下記のものが挙げられます。
- 地域の不動産情報に精通している
- 地元情報を熟知している
- 大手不動産会社に登録されていない物件がある
- ベテラン社員が多い
地域密着型の不動産会社のメリットは、何と言ってもその地域の不動産情報に精通している点です。
営業範囲内の地域特性を理解しているため、どんな物件が売れやすいかをよく理解しています。
そのため、地域ならではの適正価格に準じた査定も期待でき、大手不動産会社に依頼するよりも、高く売却できる可能性が出てきます。
時間が掛かってもいいから、少しでも高く売りたいという場合には、地域密着型の老舗不動産会社の方がおすすめです。
また、人気に学区がどこか、交通量が多いのはどこかなど、住んでいる住人しか知らない地元情報も熟知しているため、希望に合ったピッタリの物件を紹介してもらうことができます。
家主とのつながりが深い不動産会社が多く、大家からの持ち込みもあるため、大手不動産会社に登録されていない物件があり、家賃交渉も可能です。
しかも、賃貸の大手不動産会社はフランチャイズ展開しているところが大半で、地元の不動産会社が加盟しているケースが多く見られます。
この場合、地域密着型の不動産会社でも、大手不動産会社が持つ全国規模のネットワークが利用できるのは大きなメリットになってくるでしょう。
そして地域密着型の老舗不動産会社のメリットとして忘れてはならないのが、ベテラン社員が多い点です。
5人以下の会社がほとんどですから、長期的に担当してもらえます。
一度良い担当者に巡り合えれば、今後も安心して依頼できる点は、大手不動産会社にはない、地域密着型の老舗不動産会社ならではのメリットと言えるでしょう。
地域密着型の不動産会社のデメリット
地域密着型の不動産会社デメリットには、下記のものが挙げられます。
- 大手に比べて情報量が少ない
- 大手に比べて顧客が少ない
- 家主びいきの対応を取る
- キャンペーンがない
これは老舗であっても変わりはありません。そしてこの中で一番のデメリットとなるのは、情報量が少ない点でしょう。
情報量は大手不動産会社とは比べ物になりません。
賃貸なら大手不動産会社にフランチャイズ加盟していれば問題ありませんが、それ以外は扱う物件数が少ないため、希望する入居先が見つからないことも出てくるでしょう。
また仲介業者に選ぶと高値で売れる可能性はありますが、顧客リストも少ないため、売却までに時間が掛かります。
早期売却が必要な場合、仲介業者にはおすすめできません。
しかも先に話したように家主とのつながりが深い不動産会社が多いため、何か問題が起こった場合は家主びいきの対応を取られる恐れがあります。
中には家主が気に入らなかったという理由で、入居を断られた話があるほどです。すべてのところがそうとは言いませんが、これは覚悟しておいてください。
そして残念ですが、大手不動産会社のようなキャンペーンは期待できません。
大手とは違い契約の絶対数が少ないため、値引きを行うと経営に直接響いてしまうからです。
仲介手数料は交渉次第という話は聞きますが、あまり期待しないでおきましょう。
物件情報量の多さは大手と地域密着型に違いはない!
仲介業者を大手と地域密着型のどちらにしようかと迷った時、多くの物件情報を持つという理由で、大手を選ぶ人がいるようです。
確かに情報量は大手不動産会社の方が潤沢ですが、これは賃貸物件に関しての話で、売却物件の場合はまったく関係しません。
売却したい不動産がある場合、通常は不動産会社と媒介契約を結び、仲介業者を選定します。
この際、一般媒介契約を選べば別ですが、下記いずれかの媒介契約を結んだ場合は、不動産物件情報交換ネットワークのレインズへの情報登録が義務化されています。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
登録後は全国すべての不動産会社で物件情報を共有することになるので、こと売却に関しての情報量の多さでは、大手でも地域密着型の不動産会社でも、ほぼ変わりはないのです。
全国の物件情報はレインズで共有
それでは簡単に不動産会社が、レインズで物件販売する際の流れを見てみましょう。
- 購入希望者から購入物件の希望条件を聞く
- レインズで条件に合った物件を検索
- 検索結果を元に、購入希望者へ物件を紹介
- 重要売主側の不動産会社へ内見申込
- 物件の内見
- 購入希望者から購入申込
- 重要事項説明後、売買契約の締結
以上のように、レインズに登録されると、全国から購入希望者が現れます。
物件情報量の多さを気にして、仲介業者を選ぶ必要はないのです。
ですがレインズに登録して、他の不動産会社に売却されてしまうと、登録した不動産会社は買主からの仲介手数料がもらえず、売主からの仲介手数料のみになってしまいます。
中にはこれを防ごうと、登録時期を先延ばしにしたり、未登録のまま放っておく不動産会社もあるようです。
登録されずにいると、売却時期が先延ばしとなったり、売れ残る可能性も出てきます。
レインズの登録は、下記サイトで確認することが可能です。
レインズへの登録は結んだ媒介契約に応じて、それぞれ期限が定められています。
- 専属専任媒介契約:5日以内
- 専任媒介契約:7日以内
この日数を目安として、契約後の確認を欠かさないようにしてください。。
日本の不動産会社は信用できない?
大手不動産会社や地域密着型の老舗不動産会社なら、安心して任せられ、信頼性が高いと思いたいところですが、残念ながらそう断言できないのが実情です。
不動産売却で囲い込みが行われている噂は後を絶ちませんし、有名どころでも悪評が流れているところも数多く見られます。
実際に「不動産会社 悪評」のKWで、Google検索してみてください。
実に多くのサイトがずらっと並んで出てきます。残念ながら日本の不動産会社の信頼度は決して高くありません。
大手や老舗の地域密着型が必ずしも不動産会社の信頼度を計るバロメーターとなるワケではないのです。
ここでは筆者がそう言い切る理由を、下記会社が調査したデータを元に解説していくことにします。
- 総合不動産サービス大手のJLL
- 「いえーる コンシェル」を運営するiYell株式会社
JLL調査から見る不動産会社の信頼度評価
未だに不動産屋と聞くと、下記のようなネガティブなイメージを抱く人が少なくありません。
- 胡散臭い
- 騙されそう
- 怪しい
- 怖い
これはあくまで直感的なイメージでしょうが、意外と的外れでもないのです。
読者のみなさんは、世界から見た日本の不動産会社の信頼度はどれほどのものだと思いますか?
アメリカの総合不動産サービス大手のJLL(ジョーンズ・ラング・ラサール・インコーポレイテッド)が発表した「グローバル不動産透明度インデックス(2018年度版)」を見ると、日本は100ヵ国中14位と一見高い評価を得ているかのように思えます。
しかし、先進国の中で言えば、決して高い評価ではないのです。これは各国の不動産市場の透明度を数値化したレポートですから、この順位から日本が先進国の中で不動産市場の可視化が進んでいない国だと立証されています。
これはすなわち不動産業界の信頼度の低さを表しているのと変わりないのです。
下記のようにアジア太平洋地域に限ると5位と奮闘しています。
しかし、韓国のおかげで最下位は免れましたが、先進国の中では最後から2番目です。
透明度 | 総合順位 | 国名 | 総合スコア |
高 | 2位 | オーストラリア | 1.32 |
7位 | ニュージーランド | 1.59 | |
中高 | 12位 | シンガポール | 1.97 |
13位 | 香港 | 1.97 | |
14位 | 日本 | 1.98 | |
26位 | 台湾 | 2.32 | |
30位 | マレーシア | 2.57 | |
31位 | 韓国 | 2.60 | |
中 | 33位 | 中国 | 2.67 |
34位 | タイ | 2.69 |
2012年には先進国の中では最下位の25位でしたから、不動産市場の透明度はずいぶん上がっています。
しかし、下記の懸念がまだまだぬぐい切れないことが、大きな躍進が見られない原因となっているのでしょう。
- 情報公開度の低さ
- おとり物件の存在
- 情報の囲い込み
- 両手仲介の多さ
消費者の見えないところでコソコソ細工したりウソの情報で消費者の時間を無駄にしたりと、コンプライアンスから逸脱した不動産会社がまだまだ存在するということなのでしょう。
詳しい調査結果や順位が知りたい人は、下記サイトを参照ください。
iYell調査から見る担当営業の信頼度評価
また不動産会社を評価する際、大きな判断材料になるのが中で働く営業スタッフです。
営業スタッフの評価が高ければ、あの不動産会社は信頼できると評価されるでしょうし、逆ならば評価は低くなってしまいます。
となれば不動産業界を評価する上で、営業スタッフの評価は欠かすことができません。
ですが、これも残念ではありますが、先ほどの調査結果と同様に、決して高い評価は得られませんでした。というよりの残念な結果としか言いようがないでしょう。
「いえーる コンシェル」を運営するiYell株式会社が、2017年2月に全国555人の男性に対して行った不動産会社の営業スタッフ信頼度調査では、下記のように答えた人が合計で61.6%に上っています。
- 信頼できなさそう:24.1%
- あまり信頼できなさそう:37.5%
60%以上の人が、不動産会社の営業スタッフに対して、信頼できないと感じているのです。
また、下記のように未婚者よりも既婚者の方が「信頼できなさそう」「あまり信頼できなさそう」と答えた人が多い点も気になりました。
- 未婚者:53.5%
- 既婚者:68.7%
既婚者の方が評価が低いのは、結婚したことで不動産会社との付き合いが増えたことが原因しているのでしょうが、問題なのは付き合いがない段階で未婚者の約半数がネガティブな印象を受けている点です。
元からネガティブなイメージを持っていた上で、付き合いが多くなることでさらにネガティブ化が増進しています。
これは利用者が望んでいるサービスが提供されなかった、または印象をさらに悪くする対応があったことなどが可能性として考えられます。
これこそ現在の不動産会社の実態を浮き彫りにした生の声ですから、日本の不動産会社の信用度の低さを直に認識させられた思いです。
他の業種と比べても断トツの低評価!
またネガティブな印象を抱かれやすい業種として、不動産業以外にも下記の3つが挙げられます。
- 保険
- 証券
- 銀行
これらはドラマでも悪役として描かれることが多いので、ここで働く人はさらにネガティブな印象を持たれていることが予測されます。
しかし、結果は下記のように不動産会社の営業スタッフの61.6%が断トツでした。
(保険外交員:計60.4%)
- 信頼できなさそう:21.8%
- あまり信頼できなさそう:38.6%
(証券会社の営業スタッフ:計58.2%)
- 信頼できなさそう:20.5%
- あまり信頼できなさそう:37.7%
(銀行の渉外スタッフ:計39.6%)
- 信頼できなさそう:10.6%
- あまり信頼できなさそう:29.0%
これら業種の担当者と比べても不動産会社の営業スタッフが一番信頼度が低いのにはびっくりしましたが、信頼度の低さがうかがえる結果ですね。
日本の不動産業界には利益相反しやすい仕組みが!
ここまでにも両手取引という言葉が何度か出てきましたが、この両手取引とは、不動産会社が売却依頼を受け、売却先を探し出すことで、両者から仲介手数料を得る取る引きを指します。
これに対してレインズの解説で例に挙げたように、A社が売却依頼を受けレインズに登録し、それ見たB社が売却先を見つけ出した場合、A社は売却依頼先から仲介手数料を受け取れますが、売却先からの仲介手数料は受け取れません。
このように売手と買手の一方からしか、仲介手数料が得られない取り引きが片手取引です。
仲介手数料が半分になるのですから、不動産会社が両手取引にこだわるのは当たり前の話ですが、実はこの両手取引は消費者に利益相反を引き起こします。
できるだけ高く売って欲しい売主と、できるだけ安く買いたい買主の双方を、一社が取り仕切るわけですから、よく考えればどちらか一方が損をするのは当たり前の話です。
弁護士が原告と被告双方の弁護をしていると考えてもらえば、この取り引きがそれぞれの利益保護に基づいたものでないことはお分かりいただけるでしょう。
また両手取引は囲い込みの温床にもなりやすいので注意が必要です。
レインズに登録しても、両手取引がしたいがため、他の不動産会社から問い合わせがあっても、「売却先が決まってしまった」といった具合に問い合わせをスルーすることもできます。
片手取引は良いにしても、両手取引は確実に消費者が損をすることになるのです。
このように両手取引が横行する日本の不動産業界は、消費者が損をしやすい仕組みになっています。これは忘れず、覚えておきましょう。
アメリカと比較すれば一目瞭然
日本の不動産業界の仕組み作りが、いかに不動産会社寄りなものなのかは、先ほど紹介した「グローバル不動産透明度インデックス(2018年度版)」で3位に位置するアメリカと比較すれば一目瞭然でしょう。
日本との大きな違いは下記の2点です。
- 両手取引が禁止されている
- 売主・買主それぞれに不動産会社が就く
アメリカでは利益相反となる、両手取引が禁止されています。両手取引とならないよう、売主と買主それぞれに違った不動産会社が就くのです。
この時点で日本のような利益相反が起こることはまずありません。
この時点で消費者の利益を守る売買取引のための、プラットホーム(基盤)が確立されるからです。
しかも、不動産会社の担当者も自分で選ぶことができます。日本のように不動産会社が勝手に担当者を決めるわけではありません。
実はアメリカの不動産会社とそこに所属する営業スタッフは、日本とは大きく概念が異なります。
アメリカの営業スタッフはエージェントと呼ばれ、不動産会社は有能なエージェントを集めるため、働きやすい環境を整えるなどのサポート役に徹しており、実際に活動するのはエージェントです。
エージェントが職場を気に入らなければ、移籍したり引き抜きに応じることになるので、アメリカの不動産会社はよりよい環境維持に努めます。
アメリカでは不動産会社を選ぶのではなく、有能なエージェントを選んで契約するというわけです。
自分で選べることで、日本のように意図せず、役に立たない新人スタッフが担当になることはありません。
常に、一線級のベテランスタッフが担当してくれるので、消費者はできるだけ利益の高い契約を勝ち取れるかのうせいが高くなるのです。
こうして違いを見比べてみると、日本の不動産業界がいかに、消費者利益を無視した仕組みになっているのかが、お分かりいただけたことでしょう。
こんなところはダメ!不動産会社の選び方のコツ
ここまでの話を総括すれば、安心して任せられると思っていた大手や地域密着型の老舗不動産会社でも、絶対ではないということになります。
となれば「一体どうやって不動産会社を選べばいいんだ?」という話になってきますよね。そこで最後に絶対に避けて欲しい、不動産会社の特徴をお教えしておきます。
この特徴に該当する不動産会社を避ければ、後悔するような事態は回避できるでしょう。
①:過大広告をしている
不動産会社はできるだけ多くの購入希望者に、興味を持ってもらうため、様々な言葉を使って広告を打っています。
しかし、広告の宣伝文句にはルールが定められており、宅建業法でも誇大広告が禁止されていますし、不動産公正取引協議会連合会でも自主規制が促されています。
宅建業法23条で規定されている禁止事項は下記の通りです。
- 宅地または建物の所在の相違
- 宅地または建物の規模の相違
- 宅地または建物の形質の相違
- 現在または将来における利用の制限の根拠のない記載
- 現在または将来における利用の環境の根拠のない記載
- 現在または将来における利用の交通等の利便で根拠のない記載
- 代金、借貸等の対価額もしくはその支払い方法の相違
- 代金もしくは交換差金に関する金銭貸借のあっせん
これは不動産会社では周知の事実ですから、やっているとしたら故意としか考えられません。となれば、そんないんちき臭い不動産会社なんて、信用できるはずありませんよね。
まずは不動産会社が出している広告チェックして、誇大広告と見られるような文句がないかを確認しましょう。
物件数NO.1を謳っている
時折、売買専門の不動産会社が物件件数NO.1を謳った宣伝広告を出しているのを見かけますが、これは明らかに虚偽です。
先に解説したように、一般媒介契約以外の媒介契約ではレインズへの情報登録が義務付けられています。
しかも、一般媒介契約でも登録する不動産会社が増えているため、物件件数NO.1なんて不動産会社が存在することはないのです。
これは明らかに事実に相違する虚偽広告になります。宅建業法で事実よりも優良、もしくは有利だと誤認させるような広告は禁止されており、たとえ被害者が出ていなくても、下記いずれかまたは両方の刑が科せられます。
- 6ヶ月以下の懲役
- 100万円以下の罰金
これは違法行為ですから、刑に課せられることを承知で違法広告を出しているとは考えられません。
となれば、その不動産会社の無知ぶりは、問題視せざるを得ませんよね。
仲介手数料の減額を謳っている
仲介をメインとする不動産会社の収益源は仲介手数料です。
これは売買専門のところでも、賃貸専門のところでも同じですが、たまに仲介手数料無料などの減額を謳っている不動産会社があります。「太っ腹だ!」と感心してしまいますよね。
これってとてもお得感を感じる広告なのですが、消費者にとっては損になるケースも出てくるのです。
その理由は仲介手数料が減額できるからくりにあります。仲介手数料が減額できるのは、その減額分を売主や大家から出る広告料でまかなっているからです。
不動産会社は減額しても、損をしない仕組みになっています。決して不動産会社が負担しているわけではありません。
ですが本当に減額してもらえるなら、その資金の出どころなんて消費者には関係ありませんよね。
減額してもらった方が得になるに決まっています。しかし、仲介手数料の減額を謳っている不動産会社の場合、その対象物件しか薦めてきません。
他の物件を見ることなく契約してしまうことにもなるので、消費者は自ら選択の幅を狭めてしまうことになるのです。
薦められた物件が希望通りのものであれば問題ありませんが、そうでない場合は減額がなくても、他の物件を探した方が満足した環境で暮らすことができます。
仲介手数料の減額は利用するに越したことはありませんが、それは薦められる物件次第です。あまりに減額物件ばかりを薦めてくる場合は、他の不動産会社を当たった方が良いかもしれませんね。
②:コンプライアンスを遵守していない
近年は企業に対して法令や規則を守る、コンプライアンスが問われています。社会人なら、十分理解していることでしょう。
しかし、中には「コンプライアンスなんて眼中にない!」と言わんばかりの不動産会社が見られます。
誇大広告を当然のように出しているところもそうです。今では社会常識であるコンプライアンスを守れないのに、信頼できるわけありませんよね。
法令や規則を守れないなら、消費者に対しても同じことをしてくる可能性は否めません。
そのような不動産会社は避けた方が良いでしょう。それでは実際に法令違反となるケースを紹介していきます。
路上看板の設置方法
歩道に看板が並んでいる光景は、街のいたるところで見かけます。
しかし、公道に看板を並べるのは法令だけでなく、条例違反にも当たるのです。
よく見る光景ですから、知らなかった人も多いでしょうが、店外に看板を出せるのは敷地内までと決まっています。
これなら大丈夫ですが、下記の場合は完全にアウトです
完全に公道にはみ出してしまっていますよね。実は路上看板が多く並ぶ繁華街の中でも、公道に堂々と立て看板をしているのはその大半が不動産会社ばかりです。
他の飲食店や商業施設はちゃんと敷地内に看板を出しています。
またこの路上看板を見た際は、先ほどの誇大広告でないかも併せて確認してください。
両方に該当する違反があるならば、その不動産会社は訪れない方がいいでしょう。
➂:ノルマ設定が多そうなところ
先に解説したように不動産会社には、営業ノルマの設定が高いところがあります。
基本的には大手不動産会社に多く見られますが、その他にも人通りの多い駅前などの好立地にある不動産会社もそれに当たります。
こういった好立地の建物は店舗家賃が高いことから、営業ノルマを高く設定しているところが大半です。この場合、消費者にとって不利益を被る可能性があります。
ノルマ設定が多い不動産会社のデメリット
まず考えられるデメリットは、先にも話した広告料が出ている物件です。
広告料とは売主が一押しでPRしてくださいと、宣伝費用として不動産会社に支払うのですが、その物件のすべてで仲介手数料の減額がされるわけではありません。
減額されない物件もあります。となればその物件で契約を成立した方が、不動産会社の収益は高くなりますよね。
それを狙ってノルマをクリアしようと、必死になって広告料の出ている物件ばかりを薦めてくるようになります。
また、ノルマをクリアしようという気持ちが強いため、すぐに契約したがる傾向があり、じっくりと時間をかけた物件探しができないこともあるようです。
出される物件が偏っているばかりか、時間をかけて選べないとなれば、満足いく物件を選べるはずがありませんよね。
このような傾向があまりに目立つ場合には、すぐに席を立って、他の不動産会社を訪れた方がいいでしょう。
④:得意分野が合っていない
不動産会社にはそれぞれ、得手不得手の分野があることはお教えしました。たとえ信頼性が高く安心して任せられる不動産会社であっても、ニーズが合っていなければ、何の意味もありません。
賃貸専門のところに、売却物件の相談に行っても良い取り引きが成立できるはずありませんよね。
しかし、地域密着型の不動産会社は、オールマイティに物件を取り扱うところも見られます。
だったら「そこならいいか。」という話になりそうですが、やはり目的に合った物件を取り扱う不動産会社を選んだ方が、確実に好条件で契約を結ぶことが可能です。
得意分野の確認方法
不動産会社の得意分野を見極めるのは、それほど困難なことではありません。
下記いずれかの方法で、扱っている主取引の確認をするだけです。
- HPを確認する
- 不動産情報誌を確認する
- 新聞の折り込みチラシを確認する
一番いいのは不動産業界に詳しい知人に聞く方法です。
そんな人がいるなら、おすすめの不動産会社をいくつか紹介してもらうといいでしょう。知人がいない場合は、上記方法で掲載している物件情報の傾向を確認してください。
掲載している物件を見れば、賃貸と売買のどちらが得意か見当がつきます。両方の物件を掲載しているところも多いのですが、その場合は掲載割合から検討を付けましょう。
また確認時には取り扱う物件種類の傾向の確認も、忘れないようにしてください。
- 戸建
- マンション
- アパート
物件種類を合わせることで、さらに目的に合った不動産会社選びが可能になります。
候補がいくつか上がったら、必ず直接店舗を訪ね、営業スタッフや店内の印象を確認するのを忘れないようにしてくださいね。
⑤:一括査定サービスはメジャーが良いわけではない
一括査定サービスは複数の不動産会社から、一括で査定見積もりが受けられるのが一番のメリットです。
ですが不動産会社の登録数が少ないと、最大6社と謳っていても、3社見積もりしか取れなかったということにもなりません。
そのため登録社数の多さは、一括査定サービスを選ぶ上で重要なポイントになってきます。一括査定サービスと言えば「スーモ」や「ホームズ」など、有名なところの方が、圧倒的に登録している不動産会社数が多いと思われがちです。
しかし、これは大きな勘違いで、「登録数の多さ=有名サイト」というわけではありません。
その理由は高い掲載料
一括査定サービスが無料査定を提供できるのには理由があります。
それは登録する不動産会社から得られる掲載料です。
有名どころと言われる「スーモ」や「ホームズ」は、大手不動産会社に登録してもらおうと、掲載料の値引きを行っていますが、そのしわ寄せを食っているのが、中小の不動産会社です。
掲載料が高額なサイトを避け、中小の不動産会社は掲載料の安い一括査定サービスサイトへ申し込む傾向にあります。
大手不動産会社の登録といっても、多いところでも30社前後くらいです。中小の不動産会社が登録しやすい掲載料のサイトの方が、登録社数が多くなってくるのは当然の話ですよね。
当サイトがおすすめしている、下記一括査定サービスは1,600社と業界一の登録社数を誇ります。
一括査定サービスの利用を検討している人は、申し込んでみることをおすすめします。
不動産会社の選び方のコツまとめ
大手不動産会社や地域密着型の老舗不動産会社が信頼性が高く、好条件で取引可能と言われていますが、こんな考えで不動産会社選びはしないようにしてください。
確かに安心感もあり、取引成立の可能性も高くなってきます。しかし、不動産会社選びはそれだけでは不十分です。
まずは自分が目的とする取り引きを成立させるための条件が揃っているのか、そして、真摯に対応してくれるだけの信頼度があるのかが重要なポイントになってきます。
今回解説した内容を参考にして、不動産会社選びにぜひ役立ててください。