とうとう昨年中から噂されてるマンションの2020年問題が、現実味を帯びる新年を迎えることになりました。
マンションの2020年問題とは、東京オリンピック開催後の夏以降に現在上昇を続けているマンション価格が、一気に下落に転じる可能性があると警鐘を鳴らす意見です。
現在は新築マンションの価格上昇に連動するかのように、中古マンションの価格も上昇傾向にあります。しかし、このマンションの2020年問題の信ぴょう性は、マンションの購入や売却を検討している人にとって、一番の心配事になっていることでしょう。
それでは本当にマンションの2020年問題が指摘するように、東京オリンピック開催後の夏以降にはマンション価格が下落してしまうのでしょうか。
今回は様々なデータを元に徹底検証していきながら、本当に2020年のマンション価格が下落するのかを予測します。マンションの購入や売却を検討している人は、ぜひ最後まで目を通してもらい、購入や売却のタイミングを判断する参考にしてください。
2020年のマンションの価格推移は?
まずは前提知識として、公益財団法人不動産流通推進センターが2019年に発表した「不動産業統計集」から、マンション価格がここまでどう推移しているのかを見ていくことにします。
現在、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のマンション価格が上昇傾向にあるのは、東京オリンピック開催が影響があることは確かです。
となれば、首都圏以外の地域が、同じ推移を見せているとは限りませんよね。
マンション価格が上昇しているのは、オリンピック景気に沸き立つ首都圏のみという可能性もあります。
そこでまずは首都圏以外にも、近畿圏と全国平均のマンション価格推移を比較しながら、その実態を見ていくことにします。
首都圏の推移
まずは首都圏のマンション価格の推移からです。
公益財団法人不動産流通推進センター「マンションの地域別平均分譲価格の推移」から、どう推移しているのかを見てみましょう。
区分 | 価格 | 単価 |
2011年 | 4,578 | 65.0 |
2012年 | 4,540 | 64.5 |
2013年 | 49,29 | 69.7 |
2014年 | 5,060 | 71.1 |
2015年 | 5,518 | 77.9 |
2016年 | 5,490 | 79.3 |
2017年 | 5,908 | 85.9 |
2018年 | 5,878 | 86.9 |
*(単位:万円、万円/㎡)
首都圏のマンション価格は東京オリンピック開催が決まった、2013年を機にマンション価格の上昇が始まったと言われています。
確かに2012年以前のマンション価格は、横ばいを続けていましたが、2013年以降は大幅な上昇を続けているので、この話は確かです。
これはオリンピック開催に向け、各施設の建設ラッシュを担う人口増加により、住宅需要の増加が大きく影響した結果でしょう。
マンションの2020年問題が懸念されているのも、オリンピック開催後に、この人口増加にストップがかかり、仕事が無くなった人たちが首都圏から流出してしまうことが不安視されているからです。
しかし、2012年に開催されたロンドンオリンピック開催後に、ロンドンの不動産市場に影響がなかったことを考慮すれば、安易にそう断定することはできません。
近年は地方創生が超え高々に叫ばれているので、将来的には地方移住をする人は出てくるでしょう。
ですが首都圏でしかできない専門職を求めて、全国から人が集まってくる流れは今後も止まることはないでしょうし、今後は在留外国人が増加して多様な人々が集まってくることも予測されます。
そうなれば自ずとマンション需要は大きくなるため、東京オリンピックが終わっても、急にマンション価格が下落傾向を見せるとは言い切れないのです。
近畿圏の推移
それでは次は近畿圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)のマンション価格の推移を見ていきましょう。
区分 | 価格 | 単価 |
2011年 | 3,490 | 49.9 |
2012年 | 3,438 | 49.1 |
2013年 | 3,496 | 50.1 |
2014年 | 3,647 | 52.8 |
2015年 | 3,788 | 58.2 |
2016年 | 3,919 | 61.6 |
2017年 | 3,836 | 63.0 |
2018年 | 3,844 | 65.9 |
*(単位:万円、万円/㎡)
近畿圏のマンション価格は2013年までは、横ばい傾向が続いていましたが、2014年を機に上昇傾向となり、ここ数年の上昇幅は特に目を見張るものがあります。
さらに2025年の大阪万博開催が決定したことで、このマンション価格の上昇はさらに後押しされることが予測されます。
また、大阪万博開催の他にも、下記開発も間違いなく大きな後押しとなるため、今後もマンション価格が下落するとは考えられません。
- うめきた二期開発
- なにわ筋線
マンション価格は上昇を継続していくことでしょう。
全国平均の推移
それでは次は全国平均の推移です。
区分 | 価格 | 単価 |
2011年 | 3,896 | 54.3 |
2012年 | 3,824 | 53.1 |
2013年 | 4,174 | 58.0 |
2014年 | 4,306 | 60.3 |
2015年 | 4,618 | 65.4 |
2016年 | 4,560 | 65.5 |
2017年 | 4,739 | 69.6 |
2018年 | 4,759 | 71.3 |
*(単位:万円、万円/㎡)
マンション価格の全国平均は、首都圏と全く同じ上昇傾向を見せています。
これはマンション価格が地方よりも高額となる、首都圏と近畿圏の価格上昇が影響した結果でしょう。
しかし、同じ上昇傾向を見せているということは、その他の地域で大幅に減少したところがないことの証でもあります。
上昇幅に違いはあるでしょうが、マンション価格は全国的に上昇傾向にあると考えていいでしょう。
マンション価格に影響する要因
日本におけるマンション価格は、上昇傾向を継続していることが分かったところで、ここではマンション価格を上昇させる要因について考えていくことにします。
きちんとこの要因を押さえていれば、今後のマンション価格に与える影響を予測することも可能です。
しっかりと目を通して、よく理解するようにしてください。
建築資材価格と人件費
マンションは建築資材価格と、建築に係る人件費を諸経費として、価格に含んで販売されています。
よって、マンション価格に直接影響してくるのは、まずはこの2つになってくるのです。
建築資材と建築要員は公共事業が優先されるため、公共事業として大規模な建築が増えるほど、建築資材と建築要員の需要は高まります。
需要増大によって、価格の高騰が引き起こされるというわけです。
よって、大規模な公共事業が行われると、自ずと需要過多となり、この2つの価格が高くなり、マンション価格も上昇します。
地価
土地はマンションをはじめとする建築物のように、価格が大きく変化することはありません。
自然災害による被害で、人が住めなくなったようなケースでは、人口流出による大きな下落傾向を見せますが、通常はほぼ大きな変化のない、横ばい状態を継続したままです。
つまり、突発的な事象が現れない限り、地価に大きな変化はもたらされません。
しかし、その事象として懸念されるのが、2022年の「生産緑地の制限解除」です。
生産緑地の制限解除が実施されれば、現状、建築物の新築や増改築ができない生産緑地で、その指定解除が実行されることになります。
そうなると現在受けている固定資産税の優遇措置が受けられず、人が住む建築物の建っていない更地には、高額な固定資産税が課されることになってしまうのです。
よって2022年には、その土地を手放す地主が多くなることが予測され、土地の市場相場が値崩れする可能性を声にする人も少なくありません。
このように土地の市場相場に影響を与える事象が出てくれば、基本的には大きな変化を見せない地価も下落したり、上昇したりします。
この地価への作用は、よく覚えておくようにしてください。
購入希望者の需要
購入希望者数もマンション価格に大きく影響を与えます。
先ほどの建築資材と同じで、需要と供給のバランスが崩れれば、マンション価格にも変化を及ぼすからです。
購入希望者が多ければ不動産会社は、わざわざ値下げをしてマンションを売る必要はありません。
値下げどころか、値上げに転ずるところも多くなってくるでしょう。
しかし、購入希望者が少なくなれば、逆に値引きしてでも売ろうとするところが多くなってきます。
このようにマンション需要が、マンション価格へ直接影響してくるというわけです。
そして、このマンション需要で忘れてはならないのが住宅ローン。
マンション需要には、住宅ローン金利の存在が大きく影響してきます。
高金利ならば買い控えに走る人が多くなりますが、低金利ならば買いに走る人が多くなるのは当然の話です。
金利が低くなるほど購入希望者は多くなり、マンション需要が高まりますが、逆ならば購入希望者は減ってしまい、需要は低くなるというわけですね。
投資家による物件購入
今話した通り、マンション需要はマンション価格に、大きく影響を及ぼします。
そこで忘れてはならないのが、投資家の存在です。
投資家がマンション購入に走れば、マンション需要を引き上げることになるため、確実にマンション価格を上昇させることになります。
事実、近年の首都圏マンション価格上昇の背景には、中国や台湾などの海外投資家の存在があります。
もちろん首都圏のマンション価格を上昇には、政府の金融緩和政策や東京オリンピック開催が大きく影響しているのは確かです。
しかし、下記に目を付けた中国や台湾などの海外投資家が、一斉に都内のマンションを買いに走ったことが、マンション価格の上昇に影響したことも事実なのです。
- 東京オリンピック開催による価格の上昇期待
- アベノミクスによる円安推進
特に巨額資金を投入する海外投資家の存在は、大きく影響を与えることになるでしょう。
近年、マンション価格が急上昇しているワケ
ここでは近年、マンション価格を上昇させている理由について分析していきます。
先ほど解説した、マンション価格を上昇させる要因を念頭に置きながら、読み進めていきましょう。
建築工事費の高騰
下記の表は国土交通省の「建設工事費デフレーター(平成23年度基準)」のデータを元に、作成した建設工事費の推移です。
区分 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
数値 | 99.2 | 101.8 | 105.3 | 105.5 | 105.8 | 108.0 | 111.5 | 112.6 |
*2011年度基準で求めた数値です。
この建設工事費デフレーターは、建設工事の各名目工事費を基準年度の実質額に変換するため、毎月作成の上、公表されています。
2012年は基準値を下回っていますが、2013年からは右肩上がりで上昇しており、数値が下落する様子は全く見て取れません。
この建築工事費の止まらない上昇が、マンション価格の上昇の要因の1つであることは、疑う余地はないでしょう。
地価の上昇
先に地価が大きく変化することはないと話しましたが、徐々にではありますが、地価は上昇傾向にあります。
下記の2つの表は国土交通省が2017年に発表した、住宅地と商業地の地価公示価格の地価動向をまとめたものです。
■住宅地
場所/年度 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
全国 | ▲1.6% | ▲0.6% | ▲0.4% | ▲0.2% | 0.0% | 0.3% |
三大都市圏 | ▲0.6% | 0.5% | 0.4% | 0.5% | 0.5% | 0.7% |
首都圏 | ▲0.7% | 0.7% | 0.5% | 0.6% | 0.7% | 1.0% |
近畿圏 | ▲0.9% | ▲0.1% | 0.0% | 0.1% | 0.0% | 0.1% |
中部圏 | 0.0% | 1.1% | 0.8% | 0.8% | 0.6% | 0.8% |
■商業地
場所/年度 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
全国 | ▲2.1% | ▲0.5% | 0.0% | 0.9% | 1.4% | 1.9% |
三大都市圏 | ▲0.5% | 1.6% | 1.8% | 2.9% | 3.3% | 3.9% |
首都圏 | ▲0.5% | 1.7% | 2.0% | 2.7% | 3.1% | 3.7% |
近畿圏 | ▲0.5% | 1.4% | 1.5% | 3.3% | 4.1% | 4.7% |
中部圏 | ▲0.3% | 1.8% | 1.4% | 2.7% | 2.5% | 3.3% |
本当に微々たるものではありますが、確実に地価は年々上昇を見せています。
0.1%の上昇だと1,000万円の土地価格で1万円の上昇ですから、住宅地では数万円の価格上昇にしかすぎません。
これがマンション価格に上乗せされたとしても、あまり気にはならないでしょう。
また商業地では1.0%を優に超える上昇を見せているため、数十万円単位での価格上昇になってきます。
住宅地よりは高額になりますが、マンション価格に大きく影響するほどのものではないでしょう。
しかし、些少ではありますが、確実にマンション価格を上昇させる要因の1つであることに違いはありません。
金融緩和政策による低金利
先に話した通り、マンションの購入希望者が増えればマンション需要は高くなり、自ずとマンション価格は上昇します。
その購入希望者増加の後押しをするのが低金利です。
日本では2016年1月29日にマイナス金利政策の採用が発表され、同年の2月16日から実行されました。
住宅ローン金利は2010年前後から徐々にではありますが、金利引き下げが継続されてはいましたが、このマイナス金利政策の実施によって、引き下げ幅は一気に加速したのです。
下記の数値は住宅金融支援機構が発表した、旧公庫融資基準金利の推移から、マイナス金利政策実行後の金利推移を抜粋したものです。
金利変更日 | 基準金利 | 変動率 |
2016年2月 | 1.88% | - |
2016年3月 | 1.81% | 0.07% |
2016年4月 | 1.41% | 0.40% |
2016年5月 | 1.36% | 0.05% |
2016年6月 | 1.26% | 0.10% |
2016年7月 | 1.10% | 0.16% |
実行月の翌月は大きな引き下げはありませんでしたが、翌々月の4月には大幅引き下げが行われ、金利はひと月ごとにグングン低くなっています。
現在もこのマイナス金利政策は継続されているため、多少の前後はありますが、下記のように2020年に入っても、金利が上昇する様子はうかがえません。
金利変更日 | 基準金利 | 当月変動率 |
2019年8月 | 1.12% | -0.01% |
2019年9月 | 1.06% | -0.06% |
2019年10月 | 1.07% | +0.01% |
2019年11月 | 1.12% | +0.05% |
2019年12月 | 1.16% | +0.04% |
2020年1月 | 1.22% | +0.06% |
このように住宅ローン金利が低金利のまま続いていることで、購入希望者数が減ることなく、マンション需要が維持されています。
そしてその需要維持によって、マンション価格も下落することなく、上昇継続しているというわけなのです。
景気の回復
景気が悪いと将来を見据えて、国民の間では、大きな買い物は避けようという気運が大きくなります。
アベノミクス効果は絶大なものではありませんが、内閣府の発表によると、緩やかですが景気は回復基調が続いているとのことです。
2012年を底として年々、徐々にではあるが景気が回復傾向にあります。
特に今年は東京オリンピック開催、5年後には大阪万博開催と引き続き内需拡大が予測されるため、2020年度も景気は上昇気運を継続することになるでしょう。
この景気回復に今回解説しているマンション需要を高める要因が加わることで、マンションの価格上昇を後押しているというわけですね。
マンション需要の引き上げ
近年のマンションは生活のしやすさを求めて購入する傾向が強くなっています。
マンションのチラシ等の広告を見てもらえば分かるのですが、「家から3分」といった立地条件がセールスポイントとして記載されていますよね。
これは下記のような生活しやすい環境にあることを購入条件としている人が多いからです。
- 交通の利便性(駅・バス停など)
- 都市機能の利便性(教育施設・医療機関・ショッピングセンターなど)
- 自然環境や街並み
- 防犯性
- 防災性
この生活がしやすい環境を提供していることで、デベロッパーや不動産業者はマンション購入希望者の底上げに繋げているのです。
デベロッパーの建設姿勢の変化が影響
2008年以前のデベロッパーはマンションの供給戸数を増やすことだけに固執しており、大規模マンションの建設を大量に繰り返してしていました。
しかし、リーマンショックによる失敗で、デベロッパーのマンション建設環境への考えが変わったのです。
リーマンショック後は大量の新築マンションが売れ残ってしまい、その物件を抱えたまま倒産する企業が多く出ました。
ですが立地条件の良かったマンションの売れ行きには、全く影響がなかったのです。
今ではこの経験を踏まえて、需要性の高い好立地のマンションを建設する方向に舵が切られています。
この方向転換は購入希望者の底上げをしただけではありません。
新築マンションの戸数が減ったことで需要バランスを回復し、結果的にマンション価格の上昇を引き起こしたのです。
厳選した立地条件のところだけにマンション建設をすることで、マンション価格にも影響を与えたということですね。
富裕層が購入する高級マンションが影響
また富裕層が高級マンションを購入する傾向が強くなってきていることも、マンション価格の上昇を後押ししています。
不動産経済研究所が2018年4月に発表した「超高層マンション市場動向2018」を見ると、大幅な伸びは見られませんが、ここ数年着実に高層マンション(*20階建て以上)が建設され続けています。
首都圏の推移
年数 | 棟数 | 戸数 |
2011年 | 24 | 8,312 |
2012年 | 38 | 8,874 |
2013年 | 35 | 9,611 |
2014年 | 24 | 5,620 |
2015年 | 33 | 13,624 |
2016年 | 18 | 7,857 |
2017年 | 20 | 5,900 |
近畿圏の推移
年数 | 棟数 | 戸数 |
2011年 | 12 | 3,435 |
2012年 | 13 | 3,473 |
2013年 | 18 | 6,133 |
2014年 | 17 | 5,091 |
2015年 | 10 | 3,015 |
2016年 | 8 | 2,200 |
2017年 | 7 | 2,676 |
その他地域の推移
年数 | 棟数 | 戸数 |
2011年 | 9 | 1,574 |
2012年 | 17 | 3,713 |
2013年 | 12 | 2,278 |
2014年 | 4 | 644 |
2015年 | 12 | 2,182 |
2016年 | 8 | 2,047 |
2017年 | 13 | 2,797 |
1990年代後半以降に首都圏や近畿圏といった大都市を中心に、建設経計画が増加した超高層マンションですが、その後は建設計画が縮小されていました。
しかし、2012年を境に高層マンションの建設計画が下記のように増加し、それ以降その伸びは続き、2020年には10年来の20,000戸突破が予測されています。
年数 | 首都圏 | 近畿圏 | ||
棟数 | 戸数 | 棟数 | 戸数 | |
2020年 | 39 | 16,102 | 5 | 1,032 |
2021年以降 | 82 | 46,000 | 12 | 4,799 |
*超高層マンションの完成予定年次別計画棟数・戸数
このように再び高額となる高層マンションの建設に火が付いたことで、マンション価格の上昇に影響を与え続けているというわけです。
2020年もマンション価格は下落しない
マンションの価格上昇に関するあらゆる知識を理解してもらったところで、最後は今回のテーマとなる2020年のマンション価格下落の可能性を検証していくことにします。
結論から言えば、2020年にマンション価格が下落するとは考えられません。
下記のようなマンション価格の下落要因となる、懸念事項を完全に否定できませんが、2020年にこれらが現実化する可能性は低いでからです。
- 住宅ローン金利の上昇
- 建築費の下落
- 地価上昇の沈着
- 景気の落ち込み
そのためマンション価格は下落することはないと推測します。しかし、下落しないと判断したのは、この推測だけに頼ったものではありません。
2020年にマンション価格が下落しないと言い切れる、事実に基づいた4つの理由があるからです。
それではどのような根拠に基づき、筆者がこの4つの理由を挙げるのか、順を追って見ていくことにしましょう。
金融緩和政策の継続
1つ目の理由は現在の金融緩和政策の継続が決定したことです。日本銀行は2019年4月に、現在の金融緩和政策を2020年春頃で打ち切る旨の声明を出していました。
しかし、2019年12月にはその声明を一転し、金融政策決定会合でこの政策運営方針を維持していくことを決定したのです。
現在のマイナス金利政策が打ち切られるとなれば、マンション需要は一気に落ち込み、確実にマンション価格の下落を引き起こしたことでしょう。
しかし、2020年も低金利時代が継続することが決定されたことで、今後も2019年以前と変わらない低金利で、住宅ローンを利用できることが確実になりました。
となれば、マンションの購入希望者が減ることもないので、マンション価格の下落要因となる、マンション需要に影響が出ることはないと判断できますよね。
消費税増税前の駆け込み需要が起きなかった
2014年の消費税引き上げ前には、税金対策を考慮して前年度は多くのマンション駆け込み需要者が発生しました。
駆け込み需要が起こった後は、消費の冷え込みが見られるのが通例です。
事実、前回増税時の2014年にはGDP成長率が0.4%減と、2009年以来5年ぶりのマイナスに転じています。
しかし、今回は2014年のような駆け込み需要はありませんでした。
今回も増税に向けて、2019年3月までの契約は増税後の引き渡しでも、8%の消費税が適用される前回同様の経過措置が取られています。
しかし、首都圏のマンション供給戸数と契約率は前年同月比で減少しており、2014年ほどの駆け込み需要はありませんでした。
- 供給戸数:7.7%の減少
- 契約率:72.2%
今回の増税では2014年のように駆け込み需要が多くなかったことは、2019年7月に株式会社帝国データバンクが実施した「消費税率引き上げに対する企業の意識調査 」の調査結果にも表れています。
この中の駆け込み需要の状況調査では、下記のような調査結果が出ています。
- 既に駆け込み需要がある:7.4%
- 今後出てくる:23.1%
- 駆け込み需要はない:48.2%
また駆け込み需要はないと答えた企業を業界別にみると、不動産業界は55.8%と半数以上にも上っていたのです。
それではなぜ、今回は前回のような駆け込み需要がなかったのでしょう。
これは政府が駆け込み需要による、消費の冷え込みを抑えるための対策を講じたことにあるでしょう。
今回の消費税増税に伴い、政府は下記のような支援策を前倒して実施しています。
- 住宅ローン控除の延長
- すまい給付金の増額
- 親や祖父母からの贈与で受けられる、贈与税非課税枠の資金援助額拡大
- 次世代住宅ポイントの制度開始
中にはポイント発行申請して得られたポイントで、様々な商品と交換できる次世代住宅ポイントというユニークなものもありますが、これらを上手く利用すれば増税分を埋めることも可能です。
これは対策を講じた政府に「あっぱれ!」と言いたいくらいのナイスプレーですね。
建設工事費が下がる要因が見当たらない
先の「建築費の高騰」でも話しましたが、建設工事費は2019年まで着実に年々上昇しています。
これは2020年も同様に、全く下がることはないでしょう。
東京オリンピックが終わった後も、国内では下記のように大規模な建設事業が目白押しだからです。
- 大阪万博
- うめきた二期開発
- なにわ筋線
- リニア中央新幹線の路線整備
- JR品川~田町間の新駅開業
- 新駅開業に伴う駅周辺開発
- 継続する東日本大震災の復興事業
- 慢性的な後継者、人材不足
下落どころか、今後も建設工事費の上昇は継続する可能性の方が高いでしょう。
また近年の建築要員の重要増大に伴い、建設業界では人員確保のために正社員雇用も増加しています。
となればマンション価格の引き下げに直接影響してくる、建設工事費が下がるなんてことはありませんよね。
土地の希少性から見て地価が下がることはない
先にデベロッパーのマンション建設への意識が変わったと話しました。
このデベロッパーが好立地を求めて土地を購入するようになっため、条件に適った土地の希少性は今後もさら大きくなることが予測されます。
マンション需要が変わらないならデベロッパーは確実に販売できる好条件を備えた土地に狙いを定め続けるため、その結果、その土地の地価は上昇していくといった具合です。
ここまでの解説でマンション価格が下落する要因が見当たらないことからも、今後もマンション需要が低くなるとは考えられません今後も上昇を続けることになるでしょう。
【2020年最新版】マンション価格のまとめ
2020年度もマンション価格は下落することなく、上昇傾向を維持していくでしょう。投資用にマンション購入している人にとっては、2020年はまだまだ売り時だということです。
数年後のことはまだ分かりませんが、今年の2020年に限っては下落の心配はいらないとみて良いでしょう。
マンション売却を検討しているならば一度査定して、自分のマンション価値を確認してみることをおすすめします。
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