離婚となると気になるのが慰謝料ですが、離婚時に話し合いの争点となるのは慰謝料だけではありません。
結婚中に築いた財産は共有名義となるため、離婚時には財産分与の話し合いが必要になってきます。この財産分与で面倒なのがローン返済中の家の問題です。
家は当然、財産分与の対象になりますが、ローン返済中となれば売却するにも問題が出ます。もちろん住み続ける場合も同様です。
そこで今回は離婚時にローンが残った家を、どう処分するのが最善な方法なのかを検証していきます。
離婚時に家のローンは財産分与の対象になる?
まず本題に入る前にテーマの根幹ともなる、何で家のローン返済が財産分与の対象になるのかを理解する必要があります。
「財産分与なんて言われても、うちには大した財産なんてないのに・・・」と思われる夫婦も多いでしょうが、財産分与の対象となるものは、思ったよりも意外と多いのです。
あやふやな知識しかない人は、この機会にしっかりと覚えておかなければ無駄に損をすることになるでしょう。
離婚時にはマイナス財産も財産分与の対象になる!
まず離婚時の財産分与で、勘違いしないように覚えておいて欲しいのは、財産分与の対象はプラス財産だけではないことです。
マイナス財産もシッカリ分与分に含まれます。該当するのは下記のものです。
- 銀行借入の残債
- 個人間借入の残債
- 各種ローンの残債
よって、今回のテーマとなる家のローンも完済できていなければ、離婚時にはローン残債がマイナス財産として、分与されることになります。
財産に相当するのはプラス・マイナスの双方を指します。これは離婚時等の財産分与に限らず、財産相続時でも同じですから覚えておくといいでしょう。
それでは引き続き離婚時の財産分与に関して詳しく解説していきます。
離婚時の財産分与とは?
民法768条には下記の通り、離婚時に財産分与の請求ができることが定められています。
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
財産分与の対象になるのは、夫婦協力のもと取得した共有財産です。名義が共有財産の判断基準とされることはありません。
婚姻期間中に取得した財産は、名義を問わす共有財産になります。基本的には婚姻期間中に取得した財産はすべて共有財産となると考えてもらって結構です。
また離婚調停中で注意しなければならないのは、共有財産とみなされるのは同居中のものだけという点です。
共有財産かどうかの判断は、原則、別居時が基準になります。離婚調停中で離婚が成立していなくても、別居状態にある場合に取得した財産は、夫婦が協力して取得した財産とは言えないため、財産分与の対象外です。
これはよく覚えておくようにしてください。
離婚時の財産分与の割合は?
財産分与の割合は、その財産取得の貢献度に応じて分配されるという考え方ですが、通常は「キッチリ折半」という形が取られます。
夫の退職金は長年、夫が苦労して得たお金だから、まったく係わっていない私がもらうなんてと思われる専業主婦もいることでしょう。
しかし、旦那さんが家のことを気にせず勤務できたのは、家のことを奥さんがキッチリと守ったおかげです。そのため共有財産とみなされるものは、「キッチリ折半」という形が取られます。
ですが共有財産の中で、どちらか一方の特別な能力や努力で取得した高額財産の場合は、その貢献度が考慮され、分与割合が修正されるケースもあるようです。そんな財産がある場合は、注意するようにしてください。
特有財産は対象外
特有財産は下記のような財産を指します。
- 一方が婚姻前から所有していた財産
- 婚姻中でも夫婦協力とは無関係で取得した財産
上記それぞれの特有財産で分かりやすいものとしては、一方が婚姻前に貯めていたお金や、一方が婚姻中に相続した財産が挙げられます。
しかし、特有財産として認められるものであっても、下記のケースでは貢献度に応じた分与割合で、財産分与の対象とされるケースがあります。
- 婚姻中に夫婦協力が合って資産の価値を維持できた
- 婚姻中に夫婦協力が合って資産の価値を増加できた
これも併せて覚えておきましょう。
離婚時に財産分与の対象になるのは?
離婚時の財産分与の対象になるのは、大きく分けると下記の3つです。
- 清算的財産分与
- 扶養的財産分与
- 慰謝料的財産分与
それではこれら3つの財産分与の内容について、簡単に見ていくことにしましょう。
清算的財産分与
この清算的財産分与がここまで話した、夫婦協力で取得した共有財産に当たります。今回のテーマとなる家もこの清算的財産分与に含まれるのです。
清算的財産分与は共有財産の分与割合となる「キッチリ折半」が基本的な考え方になるので、どちらに離婚原因があるかは考慮されません。
先に紹介した民法768条で財産分与の請求権が認められていることから、離婚原因を作った方からの請求も可能です。
扶養的財産分与
これは離婚によって配偶者が困窮する場合のみに生じる財産分与です。
下記のような場合に認められます。
- 離婚時に一方の配偶者が病気療養中
- 離婚すると経済的困窮が予測される
- 高齢者
困窮を防ぐため、経済的に立場が強い方が一定の生活水準が築けるまで、定期的に決められたお金を支払う方法が取られます。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与は慰謝料の性質を含んだ財産分与です。慰謝料とはまったく違うものですから、この点は誤解しないようにしてください。
この慰謝料的財産分与が生じるのは、下記のような相手を傷つけたケースです。
- 不倫をした
- DVを受けた
この慰謝料的財産分与が車両と違うのは、現金以外の財産分与でも認められる点です。
ペット愛好家の夫婦ならば、離婚後のペットをどちらが引き取るのかで揉めることが多いのですが、ペットを謝罪として財産分与するという形が取られます。
このような財産分与が慰謝料的財産分与です。
離婚時に必要な家のローン調査
家のローンが何で財産分与の対象になるのか、その理由はよく理解してもらえたかと思います。となれば財産分与の話し合いでは、家のローンをどうするかが話題の焦点となってくるでしょう。
そこで話し合いをスムースに進めてもらうためにも、事前にやってもらいたいのが家のローン調査です。
家のローンの契約内容
まず確認してもらいたいのが、夫婦が家のローン契約にどう係わっているかです。
近年は共働きが多くなったこともあり、夫婦共同名義のペアローンを組んでいる夫婦が多くなっています。
夫婦各人がローン支払いに対して、どのような責任を負っているかが重要なポイントです。これはローン契約書を見れば、簡単に確認できます。
下記のどれに該当するのかを、確認するようにしてください。
- 夫もしくは妻の単独名義
- 夫もしくは妻の単独名義で一方が連帯保証人
- 夫婦共同名義
それでは各契約で負うことになる支払責任について、簡単に解説していきましょう。
夫もしくは妻の単独名義
この場合は単独名義となるため、離婚後も名義人が問題なくローン支払いを継続できるだけの経済力があれば、何の問題もありません。
離婚時の話し合いでも、一番すんなりと事が進むでしょう。ですが離婚後に名義人でない方が住む場合には、その人に名義的拘束力はまったくありません。
名義人がローン支払いを滞納すれば、強制退去となると覚えておきましょう。
夫もしくは妻の単独名義で一方が連帯保証人
夫婦の場合、銀行側が配偶者を連帯保証人として求めてくるケースが多いので、このパターンが一番多く見られます。
この場合、連帯保証人は名義人と同じ返済義務が生じ、ローン完済時まで解き放たれることはありません。返済義務が生じるのは、銀行が滞納等で名義人に返済能力がないと判断した場合です。
この場合は、離婚していても連帯保証人に返済が求められることになります。連帯保証人は銀行が認めれば違う人に換えることはできますが、銀行審査を通過する必要がある上、連帯保証人を探すことが困難なため現実的には難しいでしょう。
夫婦共同名義
ペアローンの場合は共同名義となり、ローン負担額に応じた契約をそれぞれが単独で行い、互いがその契約の連帯保証人になります。
この場合も完済時まで、名義人としての返済義務と連帯保証人としての返済義務から解き放たれることはありません。
しかも、離婚後もローン支払いを継続していく場合、自分はちゃんと返済しているのに相手が滞納したばっかりに強制退去となる可能性もあります。
一方のローン残債を一方が買い取ることも可能なようですが、身内間の売買は銀行側が断ることが多いのが実情のようです。
家のローン残債
契約内容が分かれば、次に調べて欲しいのが家のローン残債です。
離婚時の財産分与では、このローン残債がいくらかによって、家のローンの処遇に大きく影響してきます。
家のローン残債は下記いずれかの方法で確認可能です。
- 返済予定表
- 残高証明書
- 銀行のWEBサイト
契約後に郵送される返済予定表があるなら、ローン残高以外の情報も記載されているので、ローン返済計画を立てる上で多いに役に立つでしょう。
また住宅ローン控除を受けているなら、控除申請する際に残高証明書が必要なので手元に残っているはずです。
返済予定表が見当たらないなら、残高証明書での確認がおすすめします。また近年では預金残高と取引明細をWEBサービスで照会できるところが多く、各種ローン残高照会ができるところも見られます。
返済予定表や残高証明書がなく銀行がこのサービスに対応しているなら、書類の再発行を依頼するよりも、この方法が一番おすすめでしょう。
家の査定調査
ローン残債が確認できれば、次に実施して欲しいのが家の査定です。
離婚時に家を売却するにしろ、しないにしろ、家にどれだけの資産価値があるのかは、はっきりさせておかなければ正確な財産分与ができません。
家の査定価格は不動産会社に依頼すればOKです。
ですが不動産会社の査定価格は依頼先によって確実に異なる額になるため、できるだけ多くの不動産会社へ査定依頼して、比較することをおすすめします。
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オーバーローンか?アンダーローンか?
ここまでの調査が終われば、次はローン残債と査定価格から、売却した場合、ローン完済が可能かを確認してください。
- オーバーローン:家を売却してローン支払いに充ててもローンが残ってしまう
- アンダーローン:家を売却してローン支払いに充てても残金が生じる
オーバーローンかアンダーローンかで、離婚後の家の処理方法に影響がでてきます。
それではどのような影響が出るのかを見ていくことにしましょう。
オーバーローンの場合
この場合は家を売却してもローンが残ってしまうため、売却するには残るローン残債を何らかの資金で全額返済する必要があります。
共有財産の現金で充当できるならば問題ありませんが、駄目なようだと売却できずに、離婚後も完済するまでローンを支払っていくし方法はありません。
アンダーローンの場合
この場合は売却して、ローンを完済し、残った金額を財産分与するのが一番スムースな方法です。
しかし、売却せずにどちらかが住み続けるとなれば、下記のような難しい諸問題が生じることになるでしょう。
- 離婚後のローン支払いの負担
- 家の名義
- 保証人
- 家に住まない側へ、代わりとなる財産分与額の支払い
戸建は住宅の中でも特に築年数が市場価格に反映されやすいため、下記のようにマンションよりも下落幅が大きくなります。
そのため大抵はローン残高に満たない、アンダーローンとなってしまうのが一般的です。
これら問題については次項で詳しく解説するので、ここでは売却しない時は面倒になるとだけ覚えておいてください。
離婚時に話し合うべき家のローンの処遇
離婚時の財産分与で一番話が難しくなるのが、家のローンの問題です。ここまで何度か話に出てきましたが、売却せず離婚後もローン返済を継続するする場合には売却時よりも、多くの諸問題が生じるため注意が必要になります。
それでは売却する場合と、ローン返済を継続する場合、どのような問題が生じるのか、パター別に分けて見ていくことにしましょう。
売却する場合の問題点
これは既に解説しましたが、問題となるのはオーバーローンで残ったローン残債にどう対処するかです。しかし現実問題として、完済できないのであれば、売却は無理だと諦めるしかないでしょう。
ローン完済できないと売却できないのは、完済しないと銀行が家の抵当権を解除しないからです。一応完済していなくても、銀行が唯一売却を認めてくれる方法がないわけではありません。
「任意売却」という方法がありはするのですが、銀行が任意売却に応じてくれるのはローン返済が滞った事故債権のみです。
離婚時の財産分与を理由に任意売却を求めても、銀行が応じることは少ないでしょう。相談してみない手はありませんが、離婚時の家の売却はローン完済が条件になると考えておく方が無難です。
夫婦のどちらかが住み続ける場合の問題点
離婚後、夫婦のどちらかが住み続けるケースは少なくありません。
特に子供がいる家庭では名義人である夫がローン完済をすることを条件に、下記の支払いの代用にすることも多いようです。
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
ですが、ここで問題となってくるのがローンの支払いです。
離婚後、自分が住むことなく何十年もの間、他人となった相手のために、延々と安くないローンを毎月支払うモチベーションを維持することは簡単ではありません。
途中で支払いを放棄してしまう可能性はあるでしょう。しかしローン支払いを約束したのに、滞納されてしまう懸念はぬぐうことはできないのです。
しかも、この問題はどちらが住み続けるかで生じる問題が異なってきます。
それではどのような問題が懸念されるのかを、住む人別に見ていくことにしましょう。
①夫の名義はそのままで妻が住み続ける場合
この場合はローン契約が夫単独のものかどうかで状況が違ってきます。
夫単独の場合
先にも話しましたが離婚後も妻が住み続けて、夫がローン返済を行うこのケースは、離婚後に最も多く見られるケースです。
妻にとっては生活環境が変わらず、離婚後の居住先の心配をしなくてもいい点がメリットとして挙げられます。
特に子供がいる場合は、その子供には安心感を与えることができるでしょう。
しかし、ローンが滞納されて強制退去になることも考えられますし、知らない間に夫に売却されるという懸念もあります。
妻が連帯保証人の場合
この場合で懸念されるのは、先の話でも出てきたように、妻に返済義務が生じるという点です。
妻が連帯保証人の場合は夫がローン返済を滞納し、銀行が返済不能と判断すれば、妻にローン返済を求めてきます。
しかも、銀行は一括請求してくるため、大抵の場合は返済できず家は売却されてしまうのです。
その上、家の転売益でローン残債を相殺できない場合は残ったローン残債の完済が求められます。
家をなくした上に、ローン支払いまで課せられ、しかも残ったローン残債が高額ならば、最悪自己破産等の債務整理も検討しなければなりません。
夫には家の対価分が他の形で財産分与として与えられているので、妻側は本当に悲惨な状況に追い込まれるというわけです。
妻が連帯債務者の場合
家のローンがペアローンである場合は、離婚後も両者で契約額のローン返済をしていくことになります。
ぺアローンは夫婦それぞれが、互いのローン契約で連帯保証人になるのが特徴です。この場合は妻がちゃんとローン支払いしていても、夫がローン返済を滞納すれば夫のローン残債の支払いが妻のもとに回ってきます。
もちろん先ほどと同じように返済方法は一括請求です。しかし、妻が夫に代わりローン返済できるだけの年収があるのなら、夫のローンを名義変更できる可能性はあります。
銀行がOKを出せば、妻の単独名義として、今後もローン契約の維持ができるでしょう。
ですがペアローンは2人で借入することで、単独で借入するよりも高額借入ができるのがメリットです。そのため単独ローンよりも、高額借入となる契約は少なくありません。
ローン残債すべてを単独返済できるかは、決して容易ではないということになるでしょう。妻が余程の高額年収でもない限り、銀行が単独名義への変更を認めることはありません。
②夫の名義はそのままで夫が住み続ける場合
この場合もローン契約が夫単独のものかどうかで状況が違ってきます。
夫単独の場合
この場合は何の問題も生じません。
自分が住んでいる家のローンを自分で返済するのですから、返済へのモチベーションが落ちることもないでしょう。
考えらえるとすれば離婚後の下記支払による資金難くらいです。
- 慰謝料(分割払いの場合)
- 養育費
- 扶養的財産分与
しかし、これらは離婚後の生活に支障がない範囲で決められるため、最終的には夫の自己責任ということになるでしょう。
離婚後に散財するような生活を送らなければ、返済不能に陥ることはありません。
ですが家を夫がそのまま住み続ける場合には、財産分与時に家の分与対価を妻に支払う必要があります。
この点はよく覚えておくようにしてください。。
妻が連帯保証人の場合
この場合、被害を被るのは別れた妻になります。夫が返済を滞納して、銀行が返済不能と判断すれば、妻は銀行からローン残債の一括返済が求められるからです。
家を任意売却にかけ、ローン残債と相殺できれば大事にはなりませんが、ローン残債が残るようだと、その後もローン返済の義務が継続します。
しかも離婚後の収入は妻の方が低いのが大半で、返済不能となった夫から養育費等の支払いもなくなってしまうため、ローン返済の負担は間違いなく大きくなってくるでしょう。
また家を売却後のローン残債が高額ならば、最悪は自己破産等の債務整理を検討する必要も出てきます。
「家の対価は他の形で財産分与してもらったからいいや。」と安易な考えは危険だと覚えておきましょう。
妻が連帯債務者の場合
こちらは先ほどとは打って変わって、被害を被るのは夫になります。
先に解説した「夫が連帯債務者の場合」とまったく同じです。
話し合った内容で公正証書を作成しておく
離婚協議で話し合ったことが、離婚後に守られていない。なんて話は珍しいものではありません。
「慰謝料を毎月分割で支払うと言ったのに」、「養育費を子供が成人するまで支払うと言ったのに」・・・等、特に金銭問題のトラブルはよく耳にします。
こういったトラブルを避けるためにも、協議離婚時に話し合った重要事項は、公的な形で証明できる書類にしておくことが重要です。
公正証書と呼ばれる書類がそれに当たり、書面に記載した内容は法律違反にならない限り、遵守することが求めらます。
さらに公正証書作成時に執行認諾約款を付けておけば、取り決めに反した場合、相手に対して強制執行の実行が可能です。
裁判所に申し立てることなく、相手の給与や財産を差し押さえして、未払い分に充てることができるというわけです。
離婚後も相手、もしくは互いに住宅ローン支払いが継続する場合は、絶対に執行認諾約款を付けた公正証書を作成することをおすすめします。
公正証書に記載する事項には、住宅ローン支払いだけでなく、下記のものが挙げられます。
- 養育費
- 慰謝料
- 財産分与
- 親権
- 子供との面会条件
近年の協議離婚時には公正証書を作成するのが普通になっており、公正証書を作成しての離婚を「公正証書離婚」と呼ぶくらいです。公正証書は公証役場で作成できます。
作成手数料は強制執行する目的価額によって、下記のように異なりますが、大抵は30,000円以内で納まるでしょう。
目的価額 | 作成手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円超え~200万円以下 | 7,000円 |
200万円超え~500万円以下 | 11,000円 |
500万円超え~1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円超え~3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円超え~5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円超え~1億円以下 | 43,000円 |
以下省略 | 以下省略 |
先に話したように、自分が住んでいない家の住宅ローン支払いは、モチベーションが低くなりがちで、滞納を引き起こしやすくなります。
そんな時、スムースに事を進めるためにも、離婚時には必ず執行認諾約款を付きの公正証書を作成するようにしましょう。
最悪の場合、任意売却も視野に入れよう!
住宅ローン返済を継続したまま離婚した際、一番の懸念事項となるのがローン返済が滞った場合です。
どちらか一方が連帯保証人、もしくは連帯債務者になっている場合、銀行から一括請求された上、競売にかけられて強制退去となるケースも想定されます。
競売では市場価格の60%から70%で売却されるため、競売後も多くのローン残債を抱えてしまうことになるでしょう。
そこで検討してもらいたいのが任意売却です。
任意売却は銀行にローン完済前の売却を認めてもらい、通常と変わらない売却方法が取れるため、市場価格相当で売却することができます。
できるだけ高額で売却し、ローン残債を減らすためにも、返済が滞った際には、早めに任意売却を検討するようにしてください。
しかし、離婚後は連絡を取ることもなくなるので、婚姻時のように返済状況を知ることはできません。
ですが一方が連帯保証人や連帯債務者であれば、ローンの返済状況を確認することは可能です。
金融機関に問い合わせれば、返済状況の確認は可能でしょう。
突然、支払い通知が来て対処の仕様がなかったということにならないよう、離婚後も定期的な確認を怠らないことをおすすめします。
離婚時には家のローン名義をどうするかを検討しよう!
ここまでの解説で離婚時に住宅ローンの完済ができない場合、後々、トラブルのもとになるのは、住宅ローンの契約者名義がそのまま残ってしまうことなのは理解してもらえたと思います。
離婚後も連帯保証人や連帯債務者になったままだと、相手の支払い状況によっては、大きな被害を被ることにもなりかねません。
そこで離婚時に検討してもらいたいのが、ローン名義の変更です。
ローン名義さえ変更できれば離婚後に住宅ローン返済でトラブルに見舞われることはありません。ここでは最後に住宅ローン名義の変更ができるのかを検証していくことにします。
住宅ローン完済後に家の名義変更する
一番簡潔なのは、離婚時に住宅ローンを完済する方法です。財産分与等で住宅ローンを完済できれば、互いにローン名義から自由になれます。後は住み続ける人に家の名義を移せばいいだけです。
また、離婚時に完済はできないものの、あと数年で住宅ローンが完済できるというケースなら、返済問題でトラブルに遭う可能性は少なくなるでしょう。
離婚協議時に住宅ローン完済後は、家に住み続ける人に家の名義を移す決め事をしておけばいいだけです。
この方法がとれるのは住宅ローンの返済期間が数十年に及ぼことから、大抵の場合は熟年離婚する夫婦が対象になるでしょう。
金融機関と話し合って名義変更する
金融機関との話し合いでローン名義から外してもらうという方法も、まったく可能性がない話ではありません。
現実的な問題として連帯保証人や連帯債務者から外れるには、自分の代わりになる人が必要になります。
しかもその相手は誰でもいいという話ではなく、金融機関が審査を取り行い審査通過することが条件です。
ですが住宅ローンは他のローンとは少々異なる性質を帯びています。住宅ローンが低金利で長期返済を認めているのは、家は自分の住処となるため、人は最後の最後まで手放したくないという心情が働き、きちんと返済を試みようとするので、貸し倒れとなる確率が低いからです。
この理由を考慮すれば、家に住まない人を連帯保証人や連帯債務者として認めることは難しいと考えておいた方がいいでしょう。
仮に離婚後に住み続ける人の再婚が決まっており、その相手を連帯保証人や連帯債務者に変更するというのであれば交渉の余地はあるでしょうが、それ以外はまず無理です。
代わりの候補がいる場合は交渉してみる価値はありますが、金融機関が簡単に首を縦に振ることはないと覚えておいてください。
住宅ローンの借り換えで名義変更する
住宅ローンの完済ができず、ローン名義も外せないという際に一番おすすめなのは住宅ローンの借り換えです。離婚後に住み続ける方の単独名義で、住宅ローンの借り換えを申し込めばいいのです。
しかし、ペアローンの場合は先に話したように、夫婦の収入合算で借入しているため、単独で返済するには高額すぎる借入となっているケースが多く見られます。
ローン残債にもよりますが、年収がネックとなって借り換えできないケースも出てくるでしょう。
まずは借り換える金融機関が認めている返済比率を確認し、ローン残債と年収からその返済比率をクリアしている金融機関へ申し込むようにしてください。
離婚すると家のローン返済や財産分与はどうなるのかまとめ
今回解説したように、離婚時には住宅ローンの処理が大きな問題となってきます。特に夫婦でローン契約にかかわっている場合は、離婚後も住宅ローンから解放されることはありません。
離婚協議時には、この点をよく話し合う必要があるでしょう。
しかし、家を売却して住宅ローンを完済できるなら話は別です。この方法が取れるならば、離婚後に住宅ローンのトラブルに見舞われることはないでしょう。
その際にはできるだけ高く売却してくれる仲介業者選びが必要になってきます。そんな時におすすめなのが一括査定サービスです。
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