不動産情報サイトというと、普通はSUUMOやLIFELL HOME’Sのような情報サイトを思い浮かべますが、実は不動産業者の人だけが見ることができる不動産流通情報サイトというものがあります。それが「レインズ(REINS)」です。
レインズを運営しているのはどこ?
建築大臣から指定を受けた「不動産流通機構」が運営しています。
レインズはREAL ESTATE INFORMATION NETWORK SYSTEM(不動産流通標準情報システム)の略称で、平成2年に公益財団法人不動産流通推進センターと国土交通省が共同で開発したサイトです。運営をしているのは、建築大臣から指定を受けた全国4ヶ所(東日本・中部圏・近畿圏・西日本)の不動産流通機構です。
レインズは何のためにあるの?
売却物件の情報を、日本全国に広く迅速に伝えるためにあります。
不動産流通システムの開発に国が関わっているということは、当然利益が目的ではなく、不動産流通の適性化・円滑化が目的です。レインズができるまでは、売却・賃貸不動産の情報は店頭の貼紙や新聞広告、知り合いの業者同士の情報交換などに頼っていたのですが、レインズができたことによって日本全国に広く迅速に物件情報を伝えることができるようになりました。
レインズの会員は誰?
全国の不動産業者のほとんどが、レインズの会員になっています。
レインズの会員は個人ではなく、不動産業者です。全国の不動産業者のほとんどが、レインズの会員になっています。
レインズにはどんな情報が掲載されているの?
全国のマンション・一戸建て・土地などの売却・賃貸物件情報を掲載しています。
レインズには日本全国のマンションや一戸建て住宅・土地などの売却・賃貸物件情報を掲載しています。全国の不動産業者が登録をしているため、その数は膨大な数に及びます。平成26年に新規登録されたマンションの売却物件は、およそ42万6千件です。
売主にとってレインズのメリットとは?
全国の人々を相手に、マンションを販売することができます。
日本全国の不動産業者がレインズを見ているので、どんな所に住んでいる人でも買手になる可能性があり、より広範囲に買手を探すことができます。
たとえば九州に住んでいる人が「生まれ育った長野に帰って、実家の近くに住みたい」と希望した場合でも、九州にいながら長野の物件を探すことができるので、長野で物件を売却しようとしている売主にもチャンスが広がります。
成約事例をもとに、適切な売却価格を決めることができます。
「同じマンションの物件がいくらで売れたか」「同じような条件をもつ物件が、実際にいくらで売れたか」といった情報を、レインズから引き出すことがきるので、成約事例をもとに適切な売却価格を決めることができます。
レインズにはどうやって登録したらいい?
媒介契約を結んだ不動産業者が登録します。
会員となっている不動産業者がサイト上で物件情報を登録することによって、レインズに掲載されます。マンションを売却したい人は、媒介契約を結んだ不動産業者に物件情報を登録してもらうことで、自分の物件が日本全国津々浦々の不動産会社の目に留まることとなります。
では売主が掲載を頼まないと、レインズに掲載してもらえないのかというと、そういうわけではありません。売主と不動産業者が媒介契約を結ぶと、専任媒介契約の場合は7日以内、専属専任媒介契約の場合は5日以内に、レインズに登録しなければならないという義務があります。
ただし一般媒介契約の場合にはその義務はなく、レインズへの登録は任意となっています。そのため、一般媒介契約をした人は、念のために不動産業者にレインズの登録が終わっているかどうかを確認しておいた方が良いでしょう。
レインズは、現場でこんな風にして使われている
売主側の不動産業者が、レインズに物件情報を登録
レインズが不動産会社で実際にどんな風にして使われているかを、例を挙げてご紹介しましょう。
たとえば高崎線の上尾駅から徒歩2分の立地に、築9年のファミリータイプのマンションを持っている人がいたとします。売却を考えて不動産業者に訪問査定をお願いし、「2,800万円で販売しましょう。媒介契約は専任媒介契約で」と話がまとまると、売主と不動産業者は契約書を交わし、不動産業者は契約から7日以内にレインズに物件情報を登録します。
購入者側の営業マンが、レインズに希望条件を入力して検索
かたや別の不動産会社には、マンションの購入を考えている人がやってきて、「上野まで直通で40分以内の、駅チカ・ファミリータイプのマンションを探しています。金額は2,000万円台で、築10年以内を希望します」と希望条件を伝えます。
すると営業マンは、「ではどんな物件があるか、調べてみましょう」と言ってレインズのサイトを開き、条件を入力して検索をかけます。そこで何件か出てきた物件のうちのひとつが、先に挙げた上尾のマンションというわけです。
レインズで成約事例を検索し、市場の動向を分析
売主にとって、同じような条件のマンションが実際にいくらぐらいで売れているのかは、非常に気になるところです。そんなときも、レインズが大いに役立ちます。データの種類区分に「成約事例物件」という項目があり、そこにチェックをすると、実際に売却されたマンションの成約事例を見ることができます。
成約事例によって市場の動向を分析することで、より高く確実にマンションを売却することができます。
レインズの情報を自宅のパソコンで見ることはできる?
自宅では見られないが、それに近いサイトがある
レインズは不動産会社のパソコンでのみ閲覧できるので、家庭のパソコンでは見ることができません。しかし、同じ公益財団法人不動産流通センターが運営している「不動産ジャパン」というサイトがあり、ここでレインズにほぼ近い物件情報を知ることができます。
(不動産ジャパン http://www.fudousan.or.jp/)
自分の物件情報を、見せてもらうことはできる?
不動産業者の営業マンに頼めば、見せてもらうことができる。
不動産業者の営業マンにお願いすれば、レインズに掲載された自分の物件情報を見せてもらうことができます。逆に、営業マンにお願いしても見せたがらなかった場合は、レインズの情報を適当に入力してしまっている可能性があります。
たとえば、営業マンにとってちょっと面倒なのが、「販売用図面」の作成です。販売用図面は、マンションの間取りがわかる図面のことで、不動産業者が作成する必要があります。熱心に売却活動を行ってくれる営業マンは、こうした面倒な部分もしっかりと作成して、少しでも購入希望者が増えるよう配慮してくれるものです。
また、レインズに掲載されている写真も、非常に重要です。物件の魅力が伝わるように撮影されているかどうか、必ず確認をしましょう。
レインズと他の不動産情報サイトとの違いは?
不動産市場に出ているほぼすべての物件を網羅している
SUUMOやLIFELL HOME’Sなどの不動産情報サイトは、掲載をするのにお金がかかるので、売却に出ている物件の中には掲載されていないものもあります。その点レインズは、ほとんどの不動産業者がレインズの会員になっていて、しかも一般媒介契約以外の物件は掲載を義務づけられています。
不動産市場に出ているほぼすべての物件を網羅しているのが、レインズの大きな特徴です。
成約済みの物件を閲覧することができる
SUUMOやLIFELL HOME’Sなどは販売中の物件は閲覧できますが、成約済みの物件は閲覧することができません。その点レインズは、販売中の物件はもちろん、成約済みの物件も閲覧することができます。たとえば「同じマンション内の物件は、いくらで売れましたか?」といった質問にも、すぐに答えることができます。
レインズに関するまとめ
どうでしたか?平成2年からスタートしたというこのレインズ、これからマンションを売却する人にとっては、とても便利なシステムとして活用できそうですね。不動産業者と密に連絡をとりながら、「同じマンションの何階が、売却決まったみたいですよ!売却価格はいくらです」といったリアルタイムの情報なども、積極的に入手しましょう。