この記事を読もうとしている人の多くは、資産を増やすための手段としてアパート経営に興味を持っているはずです。しかし、最近は専門家の間でもアパート経営についてはおすすめできない、するなという見解も多いです。
実際、少し調べればアパート経営で損をしたという体験談もよく耳にします。そこで今回はアパート経営をするなと言われている理由を6つ紹介しつつ、アパート経営に潜むリスクや失敗例なども解説していきます。ぜひ参考にしてください。
アパート経営をするなと言われる6つの理由
不動産ライターとして長年記事を書いてきた筆者は、今まで多くのアパート経営の経験談を聞いてきましたが、大体の人に共通する失敗談があります。
まずはその失敗談を基に、アパート経営をするなと言われている理由を以下の6つにまとめました。詳しく見ていきましょう。
借入金が多すぎる
アパート経営は、金融機関から借り入れをして始める人がほとんどです。中には相続税の対策として借り入れる人もいますが、多くの場合は用意した自己資金が足りずに借り入れするでしょう。
この借入金が、アパート経営において苦労の度合いを大きく左右します。つまり、借入金が多いほど長い間返済に苦労するということです。
そして年月が経ったアパートに発生する問題として
- 家賃が下がる
- 修繕費が増加する
この2つが挙げられます。
これらの問題が発生した場合、借入金が少なくすでに返済を終わらせている人は金銭的なダメージが比較的軽く済みます。
しかし、借入金が多くこの2つの問題が出てきた時点でまだ返済期間中だった場合、金銭的なダメージが深刻になってきます。つまり最初の自己資金を十分に用意できない人は、後になって苦労する可能性が高いのです。
そのためアパート経営をするなら自己資金と返済計画をよく考え、できるだけ返済期間を短くしましょう。
家賃が保証されない
アパートの管理を管理会社に依頼する場合、まずサブリース契約というものを結びます。このサブリース契約とは、満室時の賃料の内80%から85%の賃料を賃貸借契約として払うものです。一括借上げともいいます。
この一括借上げですが、例えば満室時の80%の賃料で契約した場合では空室が出ても80%の賃料の支払いが保証されています。一見、オーナーにとっては安心の保証に見えますよね。
当然、管理会社が回収する賃料よりオーナーへの賃料の支払いが多くなるというケースも出てきます。しかし、こうなった場合に管理会社はオーナーに対して賃下げを求めてくるのです。
このサブリース契約の中には、「家賃保証」や「空室保証」といった名目はあります。しかし、空室が多くなったり家賃の値下がりがあれば、管理会社は賃料自体を下げてきます。これにより、オーナー側がリスクを背負う形になるのです。
過去にはこのような賃下げの裁判が開かれたことがあります。その裁判で、管理会社は賃下げを要求できるという判決が出ました。そのため、賃下げの要求は当然のように行われるようになりました。つまり、賃料の保証は実質ありません。何事もうまい話はないのです。
修繕費
アパート経営において、建物の修繕はオーナー側の義務です。そして修繕には2つの種類があります。すでに壊れたものを直す”事後保全”と故障を事前に防ぐ”予防保全”の2種類です。
アパートの築年数が経てば経つほどこの2種類の修繕費は高額になります。特に事後保全の多くは突発的に起こるものです。修繕費を常にプールしておくことをお勧めします。
空室対策費用
アパート経営をする上で、最も回避したいことは空室リスクです。先述のように空室保証はあまりアテになりません。その空室リスクを回避するために空室対策費用をかける必要があります。
空室対策費の代表的なものに、リフォーム費用があります。アパート経営とは、何十年と続けていくものです。その間は建物の設備も進化を続け、人々の生活スタイルも時代に合わせて変わっていきます。
よって、アパートは定期的にその時代の流行や最新の設備を取り入れていかなくてはなりません。そうしなければ時代遅れのアパートになり、空室が増える一方になるでしょう。
それを防ぐための方法がリフォームです。設備さえ新しければ外見が古くても入居者は見つかりやすいので、アパートのオーナーは大規模なリフォームをする決断をしなければなりません。
税金が増える
ここまでの理由から、アパート経営は年数が経つほど厳しくなっていくということがわかりますね。そして、年数が経つほど増えていくものには税金もあります。不動産所得の費用の中に、減価償却費というものがあります。
減価償却費とは、アパートの取得費用を取得した年に全額を一度に経費として計上するのではなく、分割して1年ずつ計上することです。不動産所得は経費として計上されます。分割される期間は決められており、耐用年数という呼称です。
つまり、この耐用年数の期間中は経費が結果として少なくなるので節税できるのです。しかし、アパートが古くなり耐用年数を過ぎると、減価償却費がなくなるので節税効果が小さくなるという事態が発生します。これが、年数が経つほど税金が増えるという理由です。
経営プランを吟味していない
アパート経営はビジネスの一つといっても過言ではありません。それなのにアパート経営に関する勉強をしていなかったり、いい情報ばかりを鵜吞みにしているといったようなケースをよく耳にします。
これでは成功するはずがありません。経営プランは不動産の言いなりでなく自分で吟味できるくらいまで勉強し、いい情報と悪い情報を判断できるようになりましょう。
アパート経営をするなと言われるリスク
先述しましたが、アパート経営もビジネスです。当然リスクも付いてきます。ここからは、アパート経営に関するリスクを解説していきます。一つひとつの対策を考えて、アパート経営をするかしないかの判断をしましょう。
空室問題
これも先述したことですが、アパート経営において一番回避したいリスクが空室問題です。アパート経営というビジネスは、家賃という収入があって成り立ちます。
家賃収入が減れば所得が減るという単純な話しではありません。ローンの返済、管理費、維持費、修繕費用などにも影響が出ます。
- 空室発生
- 管理、維持、修繕ができない
- もっと空室発生
という悪循環を生みます。
アパート経営を始める前に、空室対策はしっかり考えておきましょう。
自然災害
次のリスクは自然災害です。地震や火災が発生すると、大金をかけたアパートが一瞬で無くなる可能性があります。
こればかりは火災保険などの保険に加入するくらいしか対策のしようがありません。
建物の老朽化・修繕費用の問題
建物の老朽化や修繕費用も無視できない問題です。時間が経てば老朽化するのはアパートも同じです。エアコンの交換から始まり、フォローリングと壁紙の張替えも必要になってきます。
しかし、それだけでは終わりません。年数が経過すればキッチンや風呂の交換、外壁の塗装などの大きな修繕が発生します。
しかも空室問題で取り上げたように、修繕やリフォームができないと空室を生む要因になりかねません。常に修繕費は十分確保しておく必要があります。
家賃の滞納
家賃の滞納も頭の痛いリスクです。家賃の滞納は空室が発生したのと同じことです。しかし、空室なら新しい入居者募集をすればいいのですが、家賃の滞納の場合はそうもいきません。
しかも滞納するような人間は一癖も二癖もあるケースが多いので、ある意味では空室問題より危険です。
立地の問題
立地もリスクを抱えていることが多い問題です。現在の入居者の多くが学生、または働く会社が近くにある社会人の場合、学校や会社が廃校、倒産、遠くに移転してしまうと需要が少なくなります。
その結果、空室が目立つようになるリスクが考えられます。
入居者トラブル
時折、ニュースなどでも入居者による騒音トラブルなどが取り上げられますよね。
そしてこのようなトラブルが発生した場合、最悪入居者が出て行ってしまいます。収益を減らさないためにも、入居者のトラブルが発生したら迅速に対応しなければなりません。
開始時の投資額が高額
土地活用の中でも、アパート経営は初期投資が高額になります。したがって、多くの資金をローンで賄って経営をスタートするのがパターンが豊富です。
そのため、万が一経営に失敗すると膨大な借金だけが残ってしまうリスクがあります。
アパート経営をするのならこれらのリスクを把握し、事前にリスクを回避するよう工夫することが大事です。
アパート経営をするなと言われる失敗例
ここからは、私がよく耳にするアパート経営に関する失敗例を紹介していきます。ぜひ参考にしたください。
利回りが高いということだけで購入を決めた
Aさんはある販売業者のお勧めで、地方の大学付近の物件を投資目的で数棟購入しました。この大学の周辺一帯では、そこに通う学生が賃貸住宅の市場においてかなりの比重を占めていました。
しかし大学付近の学生アパートは、入学時に入居した学生のほとんどが「アルバイトの面で不便」という理由で転居している物件でした。
空室も平均割合で2割。そんな状況と知らずに購入してしまいました。勧められた当時のそのアパートは満室だったので、利回りに惹かれて購入を決めたそうです。しかし、その入居者は全員がその年に卒業する4年生だったのです。
このアパートを販売した事業者が、Aさんがこのような事情に詳しくないことを利用し、近く退去することが確実な入居者を集めて満室と謳い販売したのです。
このような利回りがいいアパートには何らかの問題があるかもしれません。裏に何かないか十分確かめましょう。
目先の利回りだけで購入
こちらも投資目的で購入したBさんの失敗談です。利回り13%と販売業者に勧められ、東北・東海で中古物件を2棟、総額2億5千万円のフルローンで購入しました。
しかし利回り13%というのは満室になった時の想定利回りでした。現実は2棟合わせて約30戸中で空室が4割もあったのです。
これも事業者が物件を良く見せていた事例です。しかも、2棟とも20年近い築年数なのに大規模修繕工事がされていませんでした。
大損を回避するためにも、購入の判断はくれぐれも慎重にしてください。
管理が大変
Cさんは親からアパートを相続しました。収入が得られる物件が手に入り、期待も大きかったそうです。しかし実際は入居者のクレーム・家賃の未納・修繕費・目立ってきた空室、という状況でした。
このアパートに対してストレスも感じているそうですが、解体にも大金が必要なので売却を考えているそうです。Cさんからは相続したことに対する後悔すら感じます。
手放しで金銭が手に入ることはありません。その魅力の裏にある負担やリスクを理解した上でアパート経営を始めましょう。
中古物件の耐震構造をチェックしないで購入
利回りが良いと勧められてCさんは中古物件を買いました。しかし、その物件の耐震基準は旧耐震でした。震災が起きた時、その影響で物件にヒビが入ったそうです。
そのため売却しようとするも、旧耐震基準だったことが原因で全く売れずに困ったようです。当然、この中古物件を勧めた業者は修繕もしていません。
中古物件の購入に関しては、特に不動産に関する知識と調査が必要になります。損をしないためみも細かいところまで調べましょう。
結論:アパート経営はしないほうが安全
今回はアパート経営に関するリスクなどを解説してきました。たしかにアパート経営は一見魅力的な資産運用です。しかし、その裏には大きな金銭的負担、年数が経つほど必要になる経費など様々なリスクなどが転がっています。
失敗談からも不動産業者や販売業者が決して信用できるところばかりではないことがわかりますね。アパート経営をするには、相当の覚悟が必要になってきます。この記事を読んで、少しでも躊躇った人は手を出すべきではないかもしれません。
それでもアパート経営に魅力を感じる人は、まずは信用できる不動産業者探しから始めましょう。しかし、不動産業者の探し方が分からないという人も多いかと思います。
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