一戸建ての寿命は何年?木造鉄骨リフォームなど種類別に解説

一戸建ての寿命は何年?木造鉄骨リフォームなど種類別に解説

誰もが一度は夢を見ると言っても過言ではないマイホームの購入ですが、その寿命については意外と知られていないのではないでしょうか。

やっとの思いで購入したマイホームですが、国土交通省による調査ではたとえば木造の建物は22年しか持たないと宣言をしています。

これに対して日本人の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳と言われています。つまりマイホームの寿命と人間の寿命は釣り合いが取れていません。今回の記事では、そんな日本の一戸建てにおける寿命について掘り下げて見ていきましょう。

参照:国土交通省「平成30年度住宅市場動向調査」

構造別の一戸建ての寿命を紹介

一戸建て 寿命 構造別

まずは今回の記事の一番のテーマでもある一戸建ての寿命について見ていきましょう。一戸建ての寿命は建物の構造によって大きく違います。日本における一戸建ての場合、木造か鉄骨の構造で造る場合が殆どです。

木造の場合

日本で一戸建てと言えば、木造住宅が主流です。一口に木造と言っても2×4工法や在来工法など造り方は様々ですが、構造を木で造ることで湿度や温度を調整することができ、高温多湿な日本の気候においても快適に過ごすことが出来ます。

そんな木造住宅の場合、一般的には寿命は30年と言われています。30年と聞くと長いようにも感じますが、30歳で購入すると60歳で寿命を迎えることになります。

人の平均寿命が80歳~87歳と言われていることを考えると、30年で寿命を迎えるマイホームは終の棲家とは言えません。しかし、木造の一戸建て住宅が30年で住めなくなるかというとそうではありません。

参照:リフォームLab.より参照

この表は現存する一戸建て住宅が築何年かをアンケートして集計したものです。この表からは築30年を超えた住宅も約半数以上も存在しており、築30年を超えた住宅に住んでいる方もたくさんいることが分かります。

実際木造の住宅は、手入れをしっかり行うことで30年を超えても十分快適に暮らすことが出来ると言われています。

ではなぜ木造住宅の寿命が30年と言われているのでしょうか。それには大きく次の二つの理由があります。

寿命の算出方法

木造住宅の寿命は30年と言われている根拠は、実はあまりはっきりしていません。しかしその計算根拠の一つとして寿命を算出する方法としてサイクル年数を使っていることが考えられます。サイクル年数とは現在ある住宅の総戸数から、新築された住宅の戸数を割って求めます。

サイクル年数=住宅の総戸数/新築された住宅

この計算方法では、全体の住宅の総戸数が変わらないという前提で考えられています。核家族化が進んでいる現在のように住宅の戸数自体が増えている局面では、分母の増え方よりも分子の増え方の方がペースが速いため、サイクル年数はどうしても短くなってしまします。

もう一つ30年の根拠には、寿命を待たずして取り壊される物件が日本には多いことがあります。新築から20~30年経過して建物に不具合などが出始めたら、日本では建て替えを選ぶ方が海外などに比べると多いです。

そのため、建物がまだ使える状態なのにも関わらず取り壊されてしまう物件が多く、それが統計上の寿命を短くしてしまっています。

そもそも何故日本の住宅が早く取り壊されことが多いのでしょうか。これには歴史的に日本の住宅が建て替えを前提に作られていることが影響しています。日本は戦後、大規模な住宅不足に陥った背景があります。

その際とりあえずの住宅不足を解消するために、簡易的な住宅が数多く造られました。まずは住む所を確保するのが先決ということで、質よりも量を求めた住宅が数多く建築されました。

そして時代はそのまま高度経済成長期へと突入します。サラリーマンの給料もどんどん上がり、生活に余裕が出来た人々は短期間で住宅を住み替えたり、建て替えたりを続けました。

多くの方が10年後は引っ越すことを前提に住宅を購入しました。つまりこの時期に建てられてた建物は、取り壊しを前提としていますので長期にわたってメンテナンスをしながら住むことを想定していません。バブル時代は1986~1990年頃を指しますから、現在はその時期に建てられた建物がちょうど30年を迎えます。

現在の統計は、このようにバブル時代に建築された建物の取り壊しが平均年数に参入されています。そのためどうしても寿命は短くなってしまいます。

一方で現在の家づくりは当時とは変わってきており、60年や100年使える住宅造りを各ハウスメーカーは目指しています。そのため、今後は木造住宅の寿命も延びていくものと推察されます。

木造住宅の寿命

では実際、木造住宅の寿命はどれくらいでしょうか。一概には言えませんが、メンテナンス次第では後で説明する鉄骨よりも長持ちするのが木造の特徴です。現に法隆寺のように1,000年以上もたっている木造住宅も存在しているほか、京都には築100年を超えた町屋も数多く存在しています。

少し古いデータですが、2011年の研究結果によると木造住宅の寿命は65年とされています。こちらのデータでも、まだ使用可能であるにも関わらず取り壊された建物も算出の根拠に入っていますから、実際には木造住宅の寿命はこれより長いと考えて良いでしょう。

しかし先ほども説明したように木造住宅の場合、建築当初の作り方に加え日常のメンテナンスによって大きく寿命は変わります。65年はあくまで平均の年数であり、実際の寿命としては30~80年と幅があるのが木造の特徴です。

鉄骨の場合

日本の戸建て住宅と言えば木造が多いイメージがありますが、大手のハウスメーカーの住宅では鉄を使った構造を採用しているところも多くあります。名前の通り建物の構造に鉄を使っているのが特徴ですが鉄の種類によって、鉄骨・鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリートのように分かれます。

鉄骨の種類

鉄を使った建物の種類について見ていきましょう。鉄を使った建物の構造としては、鉄骨・鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリートの3種類があります。

まず鉄骨造りは、建物の主要な構造に鉄骨を使うのが特徴です。鉄骨の場合は、使用する鉄の厚さによって重量鉄骨と軽量鉄骨に分類され、厚さが6㎜未満の鉄を使った場合は軽量鉄骨、6㎜以上の場合は重量鉄骨と言います。

木材に比べると鉄は強い強度を持っていますから耐震性に優れ、また柱の数も少なくてすむため大空間の部屋を造りやすいです。

鉄筋コンクリートとは、名前の通り鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造で建物を造ります。鉄筋で枠を造り、その中にコンクリートを流し込んで固めたものを柱や梁として使います。

鉄骨に比べてもかなりの重量に耐えることが出来ますし、コンクリートが音を通しにくいという特徴があるため防音性にも優れています。

鉄骨鉄筋コンクリートとは、鉄筋コンクリートを更に鉄を使って補強した構造です。鉄筋コンクリートに比べても更に耐久性や耐火性などに優れており、タワーマンションのような大規模な建物に使用される構造です。建築コストも他の構造に比べると一番高いのも特徴です。

【鉄骨】

鉄を使った構造。厚さ6㎜未満で軽量鉄骨、6㎜以上で重量鉄骨と言われる。

【鉄筋コンクリート】

鉄筋とコンクリートを使用した構造。鉄骨よりも耐久性に優れている。

【鉄骨鉄筋コンクリート】

鉄筋コンクリートを更に鉄で補強。鉄筋コンクリートよりも耐久性に優れている。

このようにそれぞれ特徴がありますが、戸建て住宅に使われる構造は軽量鉄骨が主流です。大手ハウスメーカーが販売している鉄骨住宅も、軽量鉄骨を使った場合が殆どです。

鉄骨の寿命

では軽量鉄骨を使った戸建て住宅の寿命はどれくらいでしょうか。鉄を使っているため、木造よりも寿命が長いかというとそうではありません。こちらは2011年に行われた建物の寿命に関する研究データの抜粋です。

参照:早稲田大学「建築寿命に関する研究」

こちらのデータからも分かる通り、木造と鉄骨造りにおいて寿命の差は殆どありません。そもそも住宅における鉄骨造りが始まったのが1960年頃からと言われており、まだまだ歴史は浅いです。

当時は高度経済成長期を迎え、住宅の需要が高まっており木造住宅の建築が追い付かず、木造の代わりとして鉄骨を使ったプレハブ住宅が開発されました。

工場である程度の建物を組み立てて、建築現場ではボルトを締めるだけのプレハブ工法は、職人による建物の違いなどもなく工期が短いのも特徴です。

そのような背景もあり、木造住宅と同程度の耐用年数を目指して作られたため、寿命も同じような結果になっています。

しかし、ハウスメーカー等の改良によって鉄骨造りの寿命はどんどん延びています。現在の住宅はメンテナンス次第によっては100年持つとも言われています。

メンテナンスが必要なのは木造の場合と同じですが、近年は寿命が延びているのが鉄骨住宅の特徴と言えるでしょう。

リフォームをした場合

最近では築年数の経過した物件をフルリノベーションをして、新しく蘇らせて使用する方が増えています。このようにリノベーションやリフォームを行った場合は、どれくらいの寿命が延びるのでしょうか。

日本の住宅の平均寿命が短いことは先ほども説明しましたが、一方で法隆寺などの歴史的建築物を始めとして築1,000年以上経過した物件も多数存在しています。

これらの建物がこれだけ長い間寿命が続いているのは、定期的なメンテナンスとリフォームを行ってきたからです。このように木造であっても、鉄骨であっても適切なリフォームを適切に行うことで寿命は大きく伸ばせます。

具体的に、リフォームによって何年寿命が延びるかは、リフォームの内容や規模によって違います。例えば、クロスやフローリングなどの張り替えは快適に暮らせるようにはなりますが、建物そのものの構造には影響しません。

一方でフルリフォームと言われるような構造の補強まで行う場合のリフォームを行えば、寿命は大きく伸びます。つまり、リフォームにかけたお金のぶんだけ寿命は延びるとも言えるでしょう。

極端に言えば、先程の歴史的建造物の例のように新築以上に費用をかければ寿命を大きく伸ばすことが可能です。しかし戸建て住宅の場合は、建て替えという方法もありますから大きな費用をかけて寿命を延ばしつつづける方法は現実的ではありません。建て替えとリフォームにかかる費用と効果を比べて、良く検討することが大切です。

寿命と耐用年数の違い

一戸建て 寿命 耐用年数

一戸建てにおける寿命をこの記事では説明してきましたが、そもそも住宅における寿命とはどのような意味でしょうか。人間の場合、寿命が無くなるということは人生の終末を意味します。

つまり人間としての生活が出来なくなった状態を言います。同じように考えるのであれば、住宅の場合は住宅としての機能を果たせなくなったとき、つまり人が済むことが出来なくなったときが寿命と言えるでしょう。

しかし不動産の場合には、耐用年数というものが定められています。耐用年数とはどのような意味で、寿命とはどの違うかについて見ていきましょう。

耐用年数とは?

不動産を購入した経験のある方であれば、耐用年数という単語は一度は耳にしたことがあるでしょう。不動産における耐用年数とは、正式には法定耐用年数と言います。

この耐用年数とは、簡単に言えばその不動産の使用が可能であると国が定めた期間のことを言います。そしてこの耐用年数は、物件の構造毎に次のように定められています。

構造 耐用年数
木造 22年
鉄骨造(骨格の肉厚が4㎜を超える場合) 34年
鉄骨造(骨格の肉厚が3㎜を超え4㎜以下の場合) 27年
鉄骨造(骨格の肉厚が3㎜以下の場合) 19年
鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート 47年

上記の耐用年数は、住宅における場合のものです。店舗やオフィスなど建物の用途に応じてそれぞれ耐用年数は定められています。また、耐用年数が定められているのは不動産だけではありません。

固定資産と呼ばれる一定の資産には、不動産と同じように耐用年数が定められています。不動産以外の耐用年の一例は、下記の通りです。

固定資産の種類 耐用年数
普通自動車 6年
軽自動車 4年
事務用の机(金属製) 15年
テレビ 5年
自動販売機 5年
植物 15年
動物(鳥類) 4年

自動車や事務机などの機器だけでなく、動物などにも耐用年数が定められています。

実際に住める年数は?

ではこの耐用年数が実際に住める年数、つまり建物の寿命かというとそうではありません。先ほども説明しましたが木造住宅の場合、寿命は30~80年であるのに対し耐用年数は22年となっています。

実際の建物の寿命は使い方やリフォーム、周辺の気候や天候などで大きく変わるのに対して、耐用年数は構造のみで年数を決めていますから多少荒っぽい決め方ではあります。

ではこの耐用年数はどのような場合に使われるかというと、主に税金の計算の際に使われることになります。事業を行っている方であればよくご存知でしょうが、法人の場合も個人の場合も毎年の収入から経費を差し引いて、あまった利益(=所得)に対して税金を払います。

払う税金=(収入−経費)×税率

事業に必要な資産を買った場合、その費用は経費として計上できます。しかし不動産のような高額な資産の場合、購入した年に全額を経費に入れてしまうとその年の経費がとても高額になってしまいます。

のため、高額な資産については何年かに分けて経費として計上することが認められています。これを減価償却と言い、各資産ごとに、何年に分けて経費として計上するかの年数が耐用年数になります。

例えば4,400万円の木造物件を購入した場合の耐用年数は22年ですから、4,400万円÷22年で毎年の減価償却は200万円となります。しかしこのような考え方は、事業を行ってる場合の税金の計算方法に使われる際の考え方です。

事業用ではない自宅用として戸建て住宅を購入する場合には、耐用年数の考え方は関係ありません。実際に建物に何年住むことが出来るかは、寿命年数を参考にするようにしましょう。

一戸建ての寿命の見分け方

一戸建て 寿命 見分け方

一戸建ての寿命についてこれまで説明してきましたが、結局のところ寿命は物件によって違います。建物の構造だけでなく、メンテナンスやリフォームの有無によっても変わりますし、日本は気候の変動が大きいですから周辺の環境によっても違います。

自分の住んでいる建物の寿命を延ばすのも、寿命を見極めるのも結局は住んでいる方が行うことになります。

住宅に劣化や破損が見られたときはもちろん、表面上何の変化はない箇所でも実は劣化が進んでいる場合もあります。建物を長く使うためにも、傷んだポイントを住んでいる方が的確に把握することが何よりも大切です。

ここでは、建物の寿命を見極めるうえでチェックすべきポイントを見ていきましょう。

床下

普段日常生活をしていると、建物の床下を見る機会は殆どないでしょう。しかし床下は建物の基礎や水回りの配管、そして木造住宅の一番の敵であるシロアリ被害を確認するうえで重要な場所です。

業者の方に点検をしてもらうのが一番ですが、定期点検を依頼するには費用がかかる場合もあり、自分で定期的に行うことが出来れば痛んだ箇所の早期発見にもつながります。

床下を点検するには、防塵マスクや懐中電灯、ツナギなどの汚れても良い服装を選びましょう。また虫の苦手な方や、肥満の方、高齢の方、持病のある方などは止めておいた方が良いです。

健康な成人男性が、きちんと準備をしたうえで行いましょう。床下の点検は、家の中にある下記のような床下点検口から行います。

床下点検で見るべきポイントは次の5つです。

  1. 床下の湿度が高くないかを確認しましょう。湿度が高いとカビやシロアリの原因となります。
  2. 配管の漏れや錆びを確認しましょう。水漏れがあると湿度があがって木が腐ったりシロアリの原因になります。
  3. 断熱材の劣化を確認しましょう。劣化によって剥がれ落ちている場合もあります。
  4. 基礎のコンクリートにひび割れがないかなどを確認しましょう。
  5. シロアリの痕跡がないかを確認しましょう。蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリの道や、木材がシロアリに食べられていないかをチェックしましょう。

蟻道とはシロアリの通り道です。シロアリは砂や土で道を造って移動するため、シロアリがいるとこのような道が出来ます。

この写真は空中に蟻道が出来ているパターンです。コンクリートや木にそって蟻道が走っている場合が多いので注意して確認しましょう。

外壁

外壁は風雨や紫外線から家の構造や内装を守ってくれている重要な箇所です。

それだけに傷みやすい部分でもあり、外壁にひび割れなどの劣化があると雨漏りの原因になり、木が腐りやすくなるため建物の寿命にも影響を与える可能性もあります。外壁を点検する際のポイント次の5つです。

  1. コケや藻が付いていないかをチェックします。コケの付着は外壁の防水性が切れているサインとも言えます。
  2. 外壁の色あせがないかを確認します。色あせは外壁の塗り替えの時期です。
  3. 外壁を手で触って粉が付く場合は、塗装の劣化が起こっていて塗り替え時期がきています。
  4. クラックと呼ばれる外壁のひび割れを目視で確認します。
  5. 外壁と外壁をつなぐゴム部分も重要です。ヒビがないかなどの劣化を確認しましょう。

クラックとはこのようなひび割れを言い、湿気などの原因になります。

屋根

屋根も外壁と同じように建物の構造や内部を風雨から守る重要な役割を果たしています。外壁と同じように屋根を自分で点検することは重要ですが、屋根に登るのは危険なのでやめておきましょう。

屋根を点検する際にはベランダや窓から見える範囲内での点検に留めておくようにしましょう。屋根を点検する場合もチェックポイントは次の3つです。

  1. 屋根材の浮きやはがれがないかを確認しましょう。屋根材に隙間があると雨漏りの原因にもなります。
  2. 塗装の状態や、金属製の屋根の場合は錆びが無いかもチェックしましょう。
  3. 屋根と同時に雨どいなども外れや破損がないかも確認しておきましょう。

内装

続いて内装のチェックポイントです。普段居住している室内だけに、意外と気づきにくい箇所もあります。また一見構造などには関係ないような箇所でも、早めに修繕・リフォームをしておくことで寿命を延ばすことが出来ます。主に内装で注意すべきポイントを紹介します。

  1. 床に著しい沈みがないか、歩くと沈む箇所が無いか。また気づかない箇所に雨漏りによるシミなどが出来ている場合もあります。
  2. 壁も雨漏りなどの後が無いかをチェックしましょう。またひび割れなどもリフォームのサインです。
  3. 天井は雨漏りのシミなどに注意してみるようにしましょう。
  4. キッチンや洗面台などの水回りの配管付近も定期的に確認しましょう。漏水や錆があると湿気の原因にもなります。

寿命を長くするためのコツ

一戸建て 寿命 コツ

建物の寿命は、手入れや使い方次第で伸ばすことが出来るのはこれまでも説明してきましたが、具体的にはどのように手入れやメンテナンスを行ったていけば良いでしょうか。建物を出来るだけ長く使えるよう、どのような手入れを行っていけば良いかを見ていきましょう。

メンテナンスとリフォーム

建物の寿命を長くするには、適切な時期に適切なメンテナンスやリフォームを行うことが大切です。とは言うものの、いつどのようなリフォームを行えば良いかは分かりづらいでしょう。物件毎に建物の傷み方も違うので、一概には言えませんが一般的な築年数と必要なリフォーム箇所について見ていきましょう。

築5年

築5年程度だとまだまだ家は新しく、内装外装ともに特に大きなリフォームは不要です。しかし、木造の一戸建ての場合は、白アリ駆除の予防工事を5~10年毎に実施するのが望ましいとされていますので、必要であれば実施するようにしましょう。

また和室がある場合、畳を長持ちさせるために表と裏を入れ替える裏返しという方法があり、この時期から畳の傷み具合などを見ながら実施しましょう。

築10年

築10年程度経過してくると、室内の細かいキズや汚れ、外壁の汚れなども目立ち始める時期です。特に室内のクロスの寿命は10年と言われていますから、汚れなどが気になる場合は早めに張り替えるのが良いでしょう。

クロスの張り替えを見極めるポイント、下記のような症状を参考にしましょう。

  • クロスの変色や汚れが目立ってきた場合
  • ケバ立ちや、たわみ・シワなどが目立ってきた場合
  • クロスの表面にカビが出てきた場合
  • ひび割れや穴が開いた場合

築15年

築15年になるとある程度の規模のリフォームが必要になってきます。まずユニットバスや給湯器などの水回りの一部が交換の時期を迎えます。

水回りなどは不具合のまま放置しておくと、カビや湿気の原因になる場合もあるので、早めの交換が大切です。またこの時期になると、外壁や屋根も注意が必要です。

外壁や屋根などは一見汚れているように見えなくても、塗装が傷んでいる場合もあります。傷んだ状態で放置しておくと雨漏りなどが発生したり、白アリが発生しやすくなったりと高額の費用が必要になる場合もあります。

先ほど説明したチェックポイントを参考に、不安な場合は専門業者にチェックをしてもらい、適切にリフォームを行うようにしましょう。

築20年

この時期になるとキッチンやトイレ本体、洗面台などの交換も必要になります。水回り機器は故障や不具合が出たときが交換のサインとも言えますが、放置しないように気を付けましょう。

またこれくらいの時期になると、和室にはかかせない畳も交換が必要になってきます。畳には畳表と呼ばれる畳の表面部分と、畳床と呼ばれる畳の中心部分にあるボードがあります。

この畳床は使い方にもよりますが、寿命は20~25年程度とされています。

築25年

築25年になるとフローリングの張り替えも必要になってきます。フローリングの寿命は20~25年程度と言われていますし、湿気やシロアリなどの被害が起きやすい床下に直結している部分ですから、早めの交換が必要です。

フローリングの張り替えのサインは次のような症状が出た場合です。

  • フローリング材のめくれや剥がれなどが多数出てきた場合
  • あるくと沈んだり、ギシギシと音がなる箇所が多数ある場合
  • 日焼けなどによる色あせが目立ってきた場合

築30年

築30年を超えてくると、建て替えとの比較が始まる時期と言えます。これまで説明したリフォームをきちんとしていれば、築30年で建て替えは早すぎますが、40年50年と経過していくにつれリフォーム費用はかさんできます。

そのため、築年数が経過するほどリフォームや建て替えの業者の専門家の意見を聞くことが大切ともいえるでしょう。合わせて、次の項で説明している専門家による点検も重要になってきます。

専門家による点検

住宅の寿命を長持ちさせるために適切な時期に適切なリフォームを行うためには、自分自身で点検することも大切ですが、定期的に専門家に点検してもらうことが重要です。

特に築年数が30年を経過した場合、リフォームが必要な箇所が多くなってきますので素人の判断では難しく専門家の意見が必要です。

近年日本では、インスペクションという制度が広がっています。インスペクションとは、建築士などの建物に詳しい専門家が第三者的な立場で、建物の状況を診断することを言います。

アメリカなどでは一般的に行われている制度ですが、これまで日本で似たような制度はあっても統一された基準はなく、あまり知られていませんでしたが2013年に国土交通省がガイドラインを制定したことで徐々に広まりつつあります。

公平な立場で専門家が建物の診断を行うことで、中古住宅の売買やリフォームなどの参考になることを目的としています。建物の寿命を延ばす場合や、建て替えと比較する場合にはこのように専門家の意見を参考にすることも重要です。

寿命が来た場合の方法

一戸建て 寿命 方法

人間の命と同じように、どれだけメンテナンスやリフォームを行っていてもいつかは寿命を迎えます。人間の場合は寿命を迎えたら、永遠の眠りにつくだけですが不動産の場合はそうはいきません。

建物が寿命を迎えた場合でも、土地が残るからです。建物が寿命を迎えたとき、残った土地をどのようにするかは人によって違うでしょう。残った土地をどうするかは、それぞれの事情に応じて3パターンに分かれます。それぞれの場合について見ていきましょう。

建て替え

先祖代々の土地や自分で選んだ土地で、今後もその土地に住み続けていたい場合は建て替えをが選択肢となるでしょう。建て替えとは元々の建物を取り壊し、一度更地にして建替えることを言います。そのため建替え後の建物は、新築と同様ですから長く住み続けることが出来ます。

一般的にはリフォームに比べると、建て替えの方が費用が高くなります。そのため、その土地に住み続ける意思が固まっている場合は、リフォームと建て替えの費用を比べながら、建て替えの時期を判断することがとても重要です。

売却

建物が寿命を迎えた後、他に住むところがありその土地の管理を続けることが難しい場合などは、売却という選択肢もあるでしょう。売却をする場合、寿命を迎えた古い建物を残しておくかどうかもポイントです。

一般的には建物を取り壊し、更地にして売却した方が買い手も付きやすく良い値段で売れる場合が多いです。一方で更地にするためには、解体費を負担する必要もあります。

古屋付の土地でも売却しやすいかどうかはその土地の立地に大きく影響されます。駅からの距離や、周辺の環境を考慮しながら上手く売却するようにしましょう。土地を売却する場合、その土地の相場を知ることが何より大切です。

そのためには、この記事の一番下で案内しているような、不動産会社による一括査定がとても役に立ちます。売却の場合には、ぜひ活用を検討してみると良いでしょう。

有効活用

その土地には住む予定はなくても、手放したくない場合もあるでしょう。先祖代々の土地を引き継いだりした場合、こう言ったケースは多いでしょう。このような場合その土地を保有し続けることになりますが、土地を更地のまま保有すると経済的にはデメリットが多いです。

土地は家を建てて住んだりすることで本来の目的を果たすという考え方があるため、更地の状態では固定資産税や相続税などの税金が高くなるように設定されています。

そのため土地を売却しないで保有し続ける場合には、その土地を有効活用する必要があります。具体的には、その土地を誰かに貸してその土地を使ってもらう方法があります。自分で費用を負担してアパートを建てて人に貸す場合もあれば、土地のまま人に貸して使ってもらう場合など様々です。

建物の寿命を迎えた後は、このように土地の目的に応じて有効に活用することが大切です。

一戸建ての寿命に関するまとめ

一戸建て 寿命 まとめ

今回、一戸建ての寿命について下記の内容を中心に説明してきました。

  • 一戸建て住宅の寿命は、木造と軽量鉄骨で違う
  • 建物には寿命の他に耐用年数という考え方がある
  • 耐用年数は税務上における考え方であり、実際の寿命とは大きくかけ離れている
  • 建物の寿命を長くするためには、適切な時期に適切なリフォームをすることが大切
  • その為には定期的にインスペクションと呼ばれる専門家による建物診断が有効
  • 建物が寿命を迎えた場合、その土地を保有し続けるかどうかで建て替え・売却・有効活用の選択肢がある

人間と同じように建物にも寿命が有り、日常の診断や手入れで寿命は大きく変わります。特に日本の建物は寿命が短いという説が定着していますが、その説に惑わされず愛情を持って住み続けることで寿命は長くなります。

やむを得ず売却する場合には、その不動産の価値を知ることが重要です。寿命を過ぎた古屋が有る場合と無い場合では、売却価格も変わってきます。迷う場合には、下記に紹介しているような無料一括サイトを活用することで複数の不動産会社から査定を取ることが出来ますのでオススメです。

査定を通じて保有している不動産の価値を知ることができ、建て替えや売却などの意思決定になることもあります。土地の売却などを検討している場合には、ぜひ活用すると良いでしょう。

今回は、建物の寿命に関して説明をしてきました。今回の記事が建物の寿命について不安に感じてるいる方の参考になれば幸いです。お読み頂きありがとうございます。

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