住宅ローンの「つなぎ融資」とはいったい何?つなぎ融資を受けずに済む方法は?

住宅ローンの「つなぎ融資」とはいったい何?つなぎ融資を受けずに済む方法は?

住宅ローンを組んで注文住宅を建てる場合などに、多くの人は「つなぎ融資」を受けることになります。できることなら利用せずに済ませたいつなぎ融資ですが、どうしても利用せざるを得ないケースが多いのが現実です。

つなぎ融資を利用せずに済む方法は、ないのでしょうか? やむを得ず利用したとしても、手数料をなるべく抑えるにはどうしたらよいのでしょうか?そんなつなぎ融資について、お話ししましょう。

「つなぎ融資」とは、いったい何?

つなぎ融資とは、住宅ローンを申し込んだ人が融資実行までの短期間だけ、一時的なつなぎとして組むことができるローンのことをいいます。

金融機関が融資をしてくれるまでの短期間だけ、つなぎ融資を利用する

住宅ローンを組む場合、金融機関はすぐに代金を支払ってくれるわけではなく、建物が完成したときにはじめて融資を実行してくれます。しかし、そうなると建築会社は着工から引き渡しまでの資材購入代金や人件費などを立て替えなければならず、「それは困る」ということでつなぎ融資が必要になってくるのです。

住宅建築に関するつなぎ融資の総額は、工事代金の3分の2程度

工事着工時から引き渡し時までの間に、建築会社に支払わなければならない金額は…

  • 契約時:着工金として工事代金の3分の1
  • 上棟時:中間金として工事代金の3分の1
  • 引き渡し時:工事代金の残額(3分の1)

会社によっては着工金25%・中間金25%など、若干の違いはありますが、概ねこのような割合で建築会社への支払いが発生します。

引き渡し時は本融資になるのでつなぎ融資は必要なく、住宅建築に関してつなぎ融資を受けなければならないのは、着工金と中間金です(建築会社によっては、引き渡し時の代金もつなぎ融資で支払うケースがあります)。たとえば工事請負代金が2,400万円の場合、着工金800万円・中間金800万円、合計1,600万円のつなぎ融資が必要になります。

着工金のつなぎローンの方が、中間金のつなぎ融資よりも期間が長いので、より多くの利息が発生します。そのため、何とかがんばって着工金のみ自己資金でまかなう人もいます。

土地を購入してから融資実行までの間も、つなぎ融資が必要

また土地を購入して注文住宅を建てる場合は、その土地に合わせて建物の設計をスタートするため、まずは土地を購入しておかなければなりません。ところが、金融機関は建物引き渡し後に本融資となるので、土地の売主は売却しても数ヶ月間お金を受け取ることができません。「そこまでは待っていられない」ということになり、土地を購入してから融資実行までの期間は、つなぎ融資を利用する必要があります。

つなぎ融資から本融資までの流れ

つなぎ融資を受けて住宅ローンを借りる場合、実際に住宅ローンがスタートするまでの流れはこうなります。
                       (※□部分はイラストを挿入)   

             ⇒              ⇒              ⇒ 

① 土地の購入            ②建物の着工開始       ③建物の上棟         ④建物の完成・住宅ローン開始   
(頭金を差し引いた土地代金の  (着工金のつなぎ融資を    (中間金のつなぎ融資を  (住宅ローンの本融資となり 
つなぎ融資を受ける)        受ける)              受ける)             融資された金額で
つなぎ融資を清算し
                                            住宅ローンの返済をスタート)

「つなぎ融資」のための費用は、いくらかかる?

つなぎ融資は住宅ローンと違って低金利では借りられないので、建築中のわずか数ヶ月間であっても、かなりの費用がかかります。つなぎ融資のための費用は、「利息」のほかに「事務手数料」や「印紙代」「保証料」などの諸費用がかかります。利息だけでなく、諸費用が意外と高く、トータルで20万円~60万円程度は見込んでおいた方が良いでしょう。

つなぎ融資の「事務手数料」は、かなり高額

つなぎ融資の金利を心配する前に、気にかけなければいけないのは「事務手数料」です。これはつなぎ融資の第1回目に支払うもので、融資金額に関わらず一定額を支払う「定額型」の銀行もあれば、借入額の何%を払うという決まりになっている「定率型」の銀行もあります。

たとえば楽天銀行やARUHIの事務手数料は「定額型」で108,000円。イオン銀行の事務手数料は「定率型」で、借入額×1.08~1.625%です(2017年8月現在)。※利率は毎月変動します。

意外と馬鹿にならない「収入印紙代」

意外と馬鹿にならないのが、収入印紙代です。収入印紙代は、借入金額によって異なります。

借入金額 収入印紙代
100万円以上 500万円以下 2,000円 
500万円以上 1,000万円以下 10,000円
1,000万円以上 5,000万円以下 20,000円
5,000万円以上 1億円以下 60,000円 

住宅ローンの多くは1,000万円~5,000万円の中に収まるので、その場合印紙代は2万円かかります。ネット銀行などの場合、細かい説明はすべて書面やメールで行われる場合も多く、つなぎ融資が実行される時点で「印紙代がそんなにかかるとは知らなかった」と驚く人もいるので気を付けましょう、

つなぎ融資の利率は、2~4%程度が一般的

つなぎ融資の利率は、おおよそ2~4%が一般的です。住宅ローンの固定金利が1%台と考えると、かなり高い利率です。

つなぎ融資の利息の計算方法は

借入額×金利÷365(日)×借入期間(日)

となります。

つなぎ融資の費用をシミュレーションしてみましょう

では、一例を挙げてつなぎ融資の費用をシミュレーションしてみましょう! 2,400万円の建築費用と1,500万円の土地代金を楽天銀行から借り入れ、土地は180日(6ヶ月)・着工金は120日(4ヶ月)・中間金は60日(2ヶ月)のつなぎ融資を受けたとします。着工金・中間金ともに借入額は800万円。楽天銀行のつなぎ融資の利率は2.610%(2017年8月現在)とします。

つなぎ融資の利息

・土地購入費用:1,500万円×2.610(%)÷365(日)×180(日)=193,068(円)
・着工金:800万円×2.610(%)÷365(日)×120(日)=68,646(円)
・中間金:800万円×2.610(%)÷365(日)×60(日)=34,323(円)

193,068円+68,646円+34,323円=296,037円

諸費用

・事務手数料  108,000円
・収入印紙代   20,000円
・保証料        0円

296,037円+108,000円+20,000円=424,037円

となり、この場合のつなぎ融資の総費用は424,037円です。

つなぎ融資を使わずに済む方法は?

多くの人が利用するつなぎ融資ですが、何とか使わずに済む方法があれば、それに越したことはありません。つなぎ融資を使わずに済む方法は、まったくないわけではありません。一番現実的なのが①の方法ですが、つなぎ融資が不要である代わりに手数料などが発生するため、つなぎ融資とどちらが得かは細かくチェックする必要があるでしょう。

① 「すまいとマネープラン」を使う

つなぎ融資を受けずに住宅ローンを組む方法として、「すまいとマネープラン」(http://www.sumaito.com/)を利用する方法があります。これは、建築工事が始まる前に住宅ローンの全額を融資してくれるという、つなぎ融資利用者にとってうれしい条件を備えたプランです。

さらにこのプランを利用すると、万が一建築会社の手抜き工事が発覚したり、建築会社が倒産したりしても、そのためのサポートを受けることができます。

ただし、すまいとマネープランのつなぎ融資を受けられるのは、埼玉りそな銀行・三井住友銀行・ソニー銀行・千葉銀行・スルガ銀行・八十二銀行の6行のみ(地域によっては受け付けていない場合もあります)。つなぎ融資の費用はかかりませんが、信託口座設定料6万円(消費税別)と、1%の手数料がかかります。

1%の手数料というのは、たとえば工事請負代金が2,500万円の場合は、その1%なので25万円が手数料です。口座設定料と合わせると31万円になるので、なかなか馬鹿にできない金額です。金融機関によっては、普通につなぎ融資を受けた方が安い場合もあるかもしれません。

② つなぎ融資分の金額を自己資金でまかなう

これはかなりハードルが高いかもしれませんが、つなぎ融資の分を自己資金で何とかまかなうことができれば、つなぎ融資は受けずに済みます。もっとも、それができる人は一握りかもしれません。

怖いのは、つなぎ融資を自己資金ですべてまかなって、一時的にスッカラカンになってしまう人がいることです。本融資までの間に何も起こらなければ大丈夫ですが、急な出費があった場合には、家計がマイナスになる可能性があることも考慮しておきましょう。

③ 一時的に親から借りる

「それができるなら、最初からつなぎ融資は考えない」と言われてしまうかもしれませんが、一時的に親から借りることができれば、つなぎ融資の費用はかかりません。

ただし、不動産の購入費用を親から借りる場合には、たとえ親子の間とはいえ金銭消費賃貸契約書や返済計画書を作成するなど、それなりの対処をしておく必要があります。「娘の結婚費用を親が支払った」というようなことはよくありますが、こと不動産に関しては、「贈与をしたのに申告していない」といった無申告を疑われる可能性があるからです。

その辺は不動産業者や司法書士など、専門家に相談するのが賢明な方法です。

④ つなぎ融資不要の住宅ローンを利用する

「つなぎ融資不要なんて、そんな住宅ローンがあったの?」とビックリするかもしれませんが、たとえば常陽銀行の住宅ローンは、建物の着工前に融資が可能です。ただし、本当にお得なのかどうかは、住宅ローンに関わる費用をすべて洗い出した上で判断しましょう。

⑤ つなぎ融資の必要のないハウスメーカーで建てる

大手ハウスメーカーは、契約締結時に契約金を払うだけで、建築費用に関してはすべて引き渡し時という会社も数多くあります。その場合、つなぎ融資は必要ありません。ハウスメーカーが会社の規模的に大きいということもありますが、工事着工から引き渡しまでの工期が短いということも、関係しているでしょう。

ただし、ハウスメーカーは建物代金そのものが高いので、「つなぎ融資を受けたくないからハウスメーカーにしよう」という選択肢には入らないかもしれません。

つなぎ融資に関するまとめ

つなぎ融資は、これから住宅を建てる人にとってはまさに“目の上のたんこぶ”のようなもの。「どんな買い物でも、もらったときにお金を払うのが当たり前なのに、なぜ住宅だけは先に払わなければならないのか?」と、ムッとしている人もいるかもしれません。

そこで思いつくのが、「何とかつなぎ融資を受けずに済む方法はないだろうか?」ということですが、現実としては“つなぎ融資もすべてひっくるめて住宅ローン”と思った方が、賢明な判断ともいえそうです。

とにかく、住宅ローンを組む際は「つなぎ融資がないかどうか」といった部分的なことだけでなく、「住宅ローンの完済まで含めて、いったいいくらの費用がかかるのか」という点に着目することが大切です。

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