憧れのマイホームを購入するとき、避けて通れないのが住宅ローンです。特に初めて住宅ローンを借りる場合、どれぐらいどの程度の金額であれば審査に通って借りられるのか気になるはずです。
今回の記事では住宅ローンをどれぐらい借りられるかについて、年収別の借入可能額や計算方法とともに詳しく解説していきます。
年収別!住宅ローンの借入可能額
一般の方にとって住宅ローンの審査は未知の世界とも言えます。金融機関がどのような方法で住宅ローンの審査をしているかは中々知ることは出来ません。
年収の5倍や6倍ぐらいであれば大丈夫、ということを聞いた事のある方もいるかもしれませんがそれだけでは不安に感じる方も多いでしょう。
住宅ローンの審査は金融機関によってそれぞれですが、多くの金融機関で審査の際に重要視しているのが返済負担率です。
詳しい計算方法は後ほど解説しますが、返済負担率を見ることで住宅ローンの返済が無理のない水準かどうかを判定しています。住宅ローンの借入可能額の目安を知りたい場合は、この返済負担率をチェックすると良いでしょう。
返済負担率から計算した年収別の借入可能額は下記のようになります。
年収 | 借入可能額の目安 |
300万円 | 1,970万円 |
400万円 | 2,630万円 |
500万円 | 3,290万円 |
600万円 | 3,950万円 |
700万円 | 4,610万円 |
800万円 | 5,260万円 |
900万円 | 5,920万円 |
1,000万円 | 6,580万円 |
※返済期間35年・金利4%・返済負担率35%で計算
住宅ローン借入可能額の計算方法
上記の表は返済負担率から逆算した借入可能額の目安です。あくまで目安なので必ずしも審査が通る訳ではないですが、住宅ローンを借りる場合の参考にはなるでしょう。
続いてここでは借入可能額を計算する際の、返済負担率の計算方法について解説をしていきます。
返済負担率とは
返済負担率を計算することで、おおよその借入可能額を計算することが出来ます。返済負担率とは名前の通り、収入に対する住宅ローンの負担割合を表したもので下記の計算式で算出します。
【返済負担率】
今回の住宅ローンの年間返済額/年収×100 |
上記の通り、簡単な計算式で算出することが可能です。少し注意が必要なのが、年間返済額を算出する際の金利です。現在は低金利の恩恵で住宅ローンの借入金利はとても低いですが、返済負担率を計算する場合は審査金利を使います。
審査金利とは今後の金利上昇の可能性を織り込んで、審査の際に使う高めの金利です。金融機関によって審査金利は違いますが、今であれば3~4%程度の設定が多いです。
上記の式を使って算出した返済負担率が35%以下であれば、返済に問題のない水準とされています。この基準も金融機関によって差があり、フラット35の場合だと年収400万未満の場合は30%以下、年収400万円以上で35%以下を目安としています。
金融機関や年収によっては、返済負担率が40%以下であれば審査が通る場合もあります。
他に借入がある場合
車のローンなど、既に住宅ローン以外の借入がある場合もあるでしょう。その場合は他の借入の返済額も返済負担率の計算に組み込んで計算する必要があります。他に借入が有る場合の具体的な計算式は下記のようになります。
【返済負担率(他に借入がある場合)】
今回の住宅ローンの年間返済額+他の借入の年間返済額/年収×100 |
このように他の借入の返済額も計算に入るため、返済負担率は悪くなり借入可能額が下がることになります。住宅ローンを借りる際には、他のローンが有る場合は可能であれば返済しておいた方が良いでしょう。
ちなみに上記の計算式で分母となる年収は、配偶者の方にも収入が有る場合は配偶者を収入合算させることが出来ます。しかし収入合算とする場合には、配偶者の方を連帯保証人とする必要があります。
連帯保証人となることで、将来返済が滞ったりした場合には配偶者の方にも返済義務が生じることになるリスクもあります。また離婚の際の財産分与でトラブルになる可能性もありますので、慎重に判断するようにしましょう。
担保の金額
ここまでは審査の大きなポイントである返済負担率について説明をしてきましたが、担保の評価の審査の大きなポイントの一つです。住宅ローンでは、購入する物件を必ず担保に取るため物件の担保評価額を金融機関が独自に計算をします。
担保評価額とは、名前の通りその物件を担保として見た場合の評価額です。物件の価格は基本的には年数が経過すると価値が減少するので、その減少分も織り込んで担保評価額は時価に比べると低めの金額で計算をします。
住宅ローンの借入可能額が、担保評価の金額までかと言うとそうではありません。担保評価額が借入金額を下回った場合でも、先ほどの返済負担率なども含めた審査次第では借入することは可能です。
担保評価の方法は金融機関によって違いますが、戸建てよりも新築マンションの方が評価が出やすい傾向にあります。そのため物件だけで選ぶなら戸建てよりもマンションの方がローンが通りやすいと言えるでしょう。
住宅ローンを借りる際の注意点
これまでは住宅ローンの審査のポイントについて説明してきました。住宅ローンを借りる場合は、初めてのマイホーム購入と同時の場合が多いでしょう。
住宅ローン以外にも引っ越しの準備や物件購入の打合せなど決めることがたくさんある中で、住宅ローンを借りることになります。そのため住宅ローンについてあまり検討しないまま借りてしまって後悔してしまう場合もあります。そのようなことにならないように、住宅ローンを借りる際の注意点を紹介いたします。
借入可能額は借り過ぎの場合もある
借入可能額の目安として返済負担率を説明しましたが、返済負担率の範囲内であるからと言って決して楽な返済とは言えません。例えば年収400万円で偏差負担率35%ギリギリの2,600万円を借りた場合を見てみましょう。
年収400万円の場合はボーナスの有無にもよりますが、毎月の手取りは24~25万円程度が一般的です。これに対し、毎月のローン返済は約73,000円となります。
充分払えるようにも思いますが、後ほど説明するようにマイホームを所有すると毎月の管理費や固定資産税などで月数万円の負担が発生します。
そうすると手取り給料25万円の内10万円程度が家の固定支払いとして払うべき金額で、残った15万円で毎月の生活費や子供がいれば教育費などを払うことになります。
家族構成によっては、余裕のある返済とは言えないでしょう。このように返済負担率が35%ギリギリで借りてしまうと、家族構成などによっては借り過ぎな場合もあります。
また今は問題なくても、将来金利が上昇したり収入が減少する可能性も十分あります。住宅ローンを借りる場合は出来るだけ余裕を持った返済にすることが重要です。そのため借入可能額は、「返済に無理のない金額」ではなく、「返済が出来る上限金額」と認識しましょう。
借入期間は出来るだけ長く借りる
住宅ローンを借り際、出来るだけ早く返済したいと考えるあまり返済期間を短めに設定する方も多いでしょう。もちろん、返済期間が短い方が支払い利息が少なくてすむので、得であることは間違いありません。
しかし余裕を持った返済にするためには出来るだけ長く借りておいて、毎月の返済額を押さえた方が良いです。住宅ローンは一度借りてしまうと、期間を短くすることは出来ても途中で伸ばすことは出来ないからです。
特に小さいお子様がいたりなど、これから教育費がかかることが予想できる場合は尚更です。現在は低金利の恩恵で住宅ローン金利は、過去最低水準に低いです。
そのため利息負担は最小限に抑えられていますので、出来るだけ借入期間を長くして毎月の返済額に余裕を持つことをおすすめいたします。
管理費や固定資産税なども忘れないようにする
マイホームを購入した場合の支払いは、ローンの返済だけではありません。代表的なものが固定資産税で、物件の価値にもよりますが都内のマンションなどであれば年間20~30万円以上になる場合も珍しくありません。
またマンションの場合であれば管理費や修繕積立金で月数万以上も必要になりますし、駐車場が必要な場合はこちらも月数万円が必要になる場合もあります。
5年や10年毎に火災保険や地震保険の更新が来るので、その都度10万円以上が必要になりますし戸建ての場合は白アリ予防工事なども定期的に必要になります。
このようにマイホームを購入すると、ローンの返済以外でも月に数万単位の出費が必要になります。住宅ローンの返済だけでギリギリの計画を組んでいると大変な思いをすることになります。
また金利上昇リスクも意識しておきましょう。日本は長い間金融緩和が続いており、低金利が当たり前になっていますが今のような金利は本来は異常事態です。今後景気が上向けば、金利は上昇する可能性は十分あります。
そうなると毎月の返済負担も増えることになります。そのような事態になった際に慌てないように、資金計画は余裕を持って考えておきましょう。
住宅ローンをどれくらい借りれるかのまとめ
住宅ローンは何千万という大きな金額の借金で、30~35年という長い期間をかけて返済をしていきます。一生をかけて返済をすると言っても過言ではないぐらいです。
これだけ大切な住宅ローンですが、借入時にじっくりと検討する時間が少ないという特徴もあります。
また一度借りてしまうと、後からの借入条件の変更は出来ない場合も多いです。そのため借入をする際には、とにかく出来るだけ余裕を持った返済額にすることが大切です。今回の記事が住宅ローンを借入する方の参考になれば幸いです。